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なんでも手を出すのが愛情ではない。家事を手放すことで子どもの成長に

2021.09.12

<幸栄のゆらゆらと、つらつらと。日々のささやかな幸せをパンと一緒に。>卵とバターを使わないパン教室「toiro(トイロ)」を主宰する幸栄さんの暮らしのエッセー。

2人の娘をもち、簡単につくれるおやつや、だれでもまねできるインテリアアイデア、家事を楽しくする方法など、なにげない暮らしを楽しむコツが人気の幸栄さん。

今回は、自身の入院をきっかけに家事を手放したことで、気づいたことを教えてもらいました。

家事を手放して、子どもたちにゆだねる

暑い暑い8月が始まったばかりの頃、手術のために病院に入院をしました。今思い返すと、あの入院は必要な出来事だったな…と感じずにはいられません。

食卓にパンが並んでいる
パンを焼く娘

7月の頭、お医者さんに「手術したほうがいいね~」と言われました。ええっ! と驚きましたが、ふたりとも帝王切開で出産しているので、手術の恐怖は経験済。手術日は、ちょうど夏休みが始まった8月の頭でした。

あれこれ考えながら帰宅し、子どもたちにそのことを話すと「ええっ! だいじょうぶなの!? 死なないの!? 死なないよね!?」とびっくりしている様子。
死にませんよ、ご安心を。(笑)

わが家は私と2人の娘と3人暮らし。入院前は、それまでに仕事を早めに片づけたりしながら、入院中に家に来てくれる母の負担が減るようにあれこれと準備をしました。ですが、私が家事を「あれこれやってしまう」ことがいけないところだったようです。

●娘たちが自然と夕食の準備ができるように

たまごトースト手術を無事終えた5日後、へっぴり腰で退院しました。気持ちは元気なのですが、体が思うように動きません。寝転がったり起き上がったりするだけでも一苦労で、とほほという気持ちに。そりゃもう、家事なんてできるはずがありません…。

卵のせトーストを食べている女性ですが、私が入院している間や退院してから、ふたりの娘が自然と「自分でごはんをつくり」「自分でお皿を洗う」「夕飯のお手伝いをする」ことができるようになっていたんです!
ごはんをつくるといっても、パンを焼いたり卵を焼いたりするくらいなのですが、今まで食事はほとんど私が用意をしていたので、大きな成長です。
…いや、私が「毎日ごはんをつくって出してあげる」から、子どもたちにとってそれが当たり前のことになっていたのかもしれません。

●自分が満足するから家事をしてあげていた

今までの私は家事を「自分が満足するから、してあげていた」んだと思いました。娘たちのためだと思い込んでやっていましたが、実はそうではなかったんです。

「手伝って!」と声をかけることが、だんだん面倒になり、自分がしたほうが早いし楽だな、となっていました。
でも、手術でどうやっても動かなくなった体のおかげで、ようやく家事を手放し子どもたちにゆだねることができたのです。

焼き上がったスコーンが並んでいる最近は、子どもたちでレシピ本を開き、材料を調べて買ってきて、お菓子をつくるまでに成長しました。写真は、二女が焼いたスコーンです。不揃いでかわいいですよね。

私が手を出すことはじつは簡単で楽な解決法でした。でも、それが娘たちのためになっているのかというと、決してそうではないこと。日々成長する我が子たちのために、たくさんの家事を手放そうと思った夏休みでした。

【幸栄(ゆきえ)】

1979年広島県生まれ。「はな」と「ひな」2人の娘をもつ。モデルとして活躍したのち、長女の出産を機にパンづくりに出合う。ベッカライダブルハウスにて、製造補助をしながらパンについて学び、2010年から卵とバターを使わないパン教室、toiroを始める。現在はオンラインパン教室『パン教室toiro【パンとひとさら】』にてレッスン中。 近著に『日々たんたんとパン』(光文社刊)、『でっかいパン バターも卵も使わない。「3分こね」でかーんたん!』(主婦と生活社刊)

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