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50代・夫婦で新型コロナ感染。2回の危篤状態から復活するまで

磯 由利子
2021.06.13

●新型コロナ感染と同時に糖尿病を発症。入院翌日にエクモ治療に

11月13日 橘さん入院。意識不明になり、酸素吸入治療開始。
11月14日 橘さんの夫・裕策さんもPCR検査の結果陽性となり自宅療養に。
11月14日深夜 橘さん危篤に。軽症・中等症患者病院から重症者用の病院へ救急搬送。直ちにエクモ(ECMO)治療開始。

11月13日の午後、保健所の車で病院療養に行った橘さん。19時ごろ病院から夫の裕策さんに電話が入り「奥さんは糖尿病ですか?」と質問があったそう。

「糖尿病と聞いてびっくりしました。一江はコロナ感染と同時に糖尿病を発症したようでした。そして一江の状態が悪いので酸素を入れるというのです」と裕策さん。

その2日後には病院から「橘さんの容態が悪く呼吸ができず危篤状態。親族に来てほしい」と連絡が。裕策さんは新型コロナ陽性で自宅療養中のため病院に行けないため、橘さんの弟が病院に行き、重症者用の病院への搬送が決まりました。

女性と男性
一般病棟に移った12月22日、入院後初めて夫がお見舞いに来てくれたときの写真。11月13日に病院療養に入ってから1か月以上ぶりの再会でした。

「救急隊員に『もし、搬送中に亡くなったらごめんね』と言われて私も覚悟を決めました。病院到着後、すぐに手術をしてエクモ治療になりましたが、それから2日間、病院からの電話はありません。電話がないということは妻の容態は悪くなっていない、と信じるしかないと思って過ごしていました」と裕策さん。

●エクモにつながれている間、ずっと悪夢にうなされていた

11月16日~11月23日 重症者用の病院のICU(集中治療室)でエクモと気管挿管。
11月24日 ICUからHCU(高度治療室)に移り、エクモを外す。
11月25日 橘さんの経過が悪く危篤に。再びICUでエクモ治療に。

ICU(集中治療室)に運ばれ、呼吸不全のため、人工呼吸器で肺に高濃度の酸素を送り呼吸を補助する人工心肺装置、エクモにつながれた橘さん。

「私はこの間ずっと意識不明で、頭の中では、現実か夢なのかわからず、いろんな人や悪魔が出てきたりするんです。そして本当に悪魔がいると思ってしまい、エクモにつながれていることも“変な液体が挿入されて、殺される!”と思い違いをして頭の中はパニック状態に」

手紙
ICUから感染病棟に移ったとき、看護師さんから「ご主人に持ってきてほしいものはありますか?」と聞かれ、アイテムリストと一緒に橘さんが書いた手紙。「まだ力が入らず、頭もモウロウとしていました」

「“悪魔が私の体に槍を入れている”と思い込み、槍を食いちぎろうとして、歯を食いしばって詰め物が取れちゃったくらい。すごく遠くのほうで『管を食いちぎろうとしています!』『食いちぎれないから大丈夫だよ』という会話が聞こえたり…。
とにかく苦しいから早く管を取ってくれ、取ってくれと思っていたので、お医者様の『エクモの管がとれたよ』という声が遠くから聞こえたときに、ふっと楽になったことをすごくよく覚えています」

●意識が戻ったときにはICUで、防護服を着た看護婦さんに囲まれていた

12月1日  橘さんが自力での呼吸に回復し、ICUから感染病棟へ。
12月22日 一般病棟に移り、リハビリを開始。
1月9日 退院

「意識が戻り、気づいたら2重扉の部屋で、防護服を着た看護婦さんに囲まれていました。エクモを外したあともしばらくはICU病棟で過ごしましたが、ICUは光が入らないため、朝昼晩、何時なのかがまったくわからないのです。そのため、あとで聞いた話では幻覚・妄想・幻聴で暴れてしまう人もいるそうで、私も手足を固定されていました。意識が戻ると、とにかく1日が長いことにも驚きました」と橘さん。

12月1日に自力で呼吸ができるようになり、病室もICUから感染病棟になりました。

ベッドに女性
感染病棟で初めて自撮りした写真

「この写真は、携帯電話を見る元気がやっと出だしてきたあたりです。LINEに友人、知人から沢山メッセージが届いており、とんでもなく心配をかけていたんだと知り、生還したよ! と言う意味で自撮りし、LINEで送りました」

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