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74歳、月7万円のひとり暮らし。それ以外の生活費はすべて献金している理由

浅野裕見子
2021.06.04

そしてミツコさん自身は、月7万円の年金で生活のすべてをまかなっているのです。
その内訳は、おおよそ次のようなものだといいます。

《ミツコさんの支出内訳》

公営住宅の家賃 6000円
社会保険料 約4000円
水光熱費 約8000円(月平均)
通信費(スマホ・固定電話) 約10000円
食費・雑費 約40000円

私たちの目から見たら、必要最小限度の出費のように思われます。が、ミツコさんは7万円でも「なかなかの収入」と書いています。

スマホを操作する様子
月々の出費のうち、通信費が占める割合が多め。牧師という仕事柄、いろいろな方の相談に乗ることが多いためです

生まれたときからキリスト教徒として生きてきたミツコさんにはあるものに感謝して、その中でどうにかする習慣が身についているのです。子育てや夫の看病、教会の運営で精いっぱいだったころから比べれば、ひとりでこれだけのお金が使えるのは「お金持ち」の感覚なのだそうです。

カードなど
お金の管理は電子マネーやクレジットカードで。電子マネーはチャージ式なので、使う分だけ入れておけます。クレジットカードは何に・いくら使ったか記録が残ります

「花はごくたまに、1本しか買いません。それでも、その1本がものすごくうれしい。お金があればたくさん買えるでしょうけれど、それでは1回の感動が薄まってしまう。今はむしろ、お金がないほうが幸せだとも思えるようになりました」

そんなミツコさんですが、年金のほかにも収入があります。地域のシルバー人材センターに登録して、主に共働き家庭での掃除や料理など、家事の補助の仕事を週に2日ほどしているのです。
そうして得た収入は…? なんと、ほぼ全額を教会への献金に充てているのです。
なぜそこまでできるのでしょう?

ミツコさんに代わって、本書の担当編集者である、すばる舎の水沼さんが答えてくださいました。

「私たちが考える『寄付』とミツコさんの『献金』は少し意味が違うようです。私たちは、生活費に多少なりとも余裕があれば考えますが、敬虔なキリスト教徒であるミツコさんにとって、教会への献金は神様との約束。だから、生活費は最小限でも献金の優先順位は高いんです」

暮らしは慎ましく。その一方で人に尽くし、社会に奉仕する価値観は、ミツコさんならでは。若いころから、心の中にそうした指針を持ち続けている人だからこそできること。
「とてもそんな風にはなれないわ」と思う人も多いでしょう。
すべてをマネするのは難しいかもしれませんが、前向きな生き方の参考になりそうですね。

<写真提供/すべて『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』(すばる舎刊)より、林ひろし撮影 取材・文/浅野裕見子>

【牧師ミツコさん】

1946年生まれ。牧師の家庭に育ち、自身も牧師を志す。神学系の大学を卒業後、同じく牧師の夫と結婚。夫婦二人三脚で47年間教会を運営するかたわら、4人の娘を育てる。夫を2016年に見送り、その後は公営住宅でひとり暮らし。現在も協力牧師として週2回教会に通う。心に常にあるのは「牧師の仕事は富とは無縁の仕事。お金がないならないで、工夫して楽しく暮らす。過去を振り返ったり、将来を心配したりせず『今ここ』に心を込めて生きることを大切に」。著書『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』(すばる舎)が多くの読者の共感を得て話題に。

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