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発達障害同士の夫婦の別居生活。4か月ぶりの再会でも別行動する理由

ESSEonline編集部
2021.04.23

●愛情ゆえにお互いの「苦手」を取り除く関係を築きたい

ピーマンの肉詰め――それでも楽しい時間は過ごしたんですよね。

弥加 はい。近所の公園でたくさん写真を撮ったり、あとは料理も一緒にしました。ピーマンの肉詰めをつくりました。

 僕はタマネギのみじん切りをしました。

包丁でカットする様子弥加 光くんは1つのことならかなり集中してくれるから、タマネギのみじん切りだけお願いしたんです。以前、大さじとか小さじを使う調味料を任せたら苦手だったらしく、それ以来同じ失敗をしないようにと、いったんは1つの作業だけお願いしました。光くんのタマネギのみじん切りは、すごく粗い。それがたまらなくおいしかった。

 こうやってお互いの苦手なことを取り除けば失敗することもないし、穏やかに過ごせるだろうと思ったんです。今回も大きなトラブルは起きなかったですね。

弥加 私の現状での“苦手”は「長く一緒にいること」や「電車に乗ること」、光くんは「マルチタスク」など。お互いに超えたらいけないキャパを持っている。私たちは凸凹夫婦なので、その時々に合っている、適切な距離感で補いながら過ごすと、良好な関係でいられます。
そして今回、光くんはいろいろと気づかいをしてくれました。おふとんやタオルをきちんとたたんでくれたり、食器をたくさん洗ってくれました。それは一緒に住んでいたころ、私がすごくうるさく言ったことでした…。今では言い過ぎたかなというくらい、こちらが申し訳ないくらい気づかいしてくれるようになりました。でもすごく自然にしてくれます。

●私たちの愛情は距離をとること。今がいちばん幸せ

入浴剤
光さんが弥加さんを気づかって買ってきてくれたという入浴剤

――お互いがお互いのことを考えて気遣っているからこそ、できることですね。

弥加 光くんは苦手なことはたくさんあると言っているけど、相手のことを気遣える能力が高くて、私が嫌だなと思うことを、こちらが話さなくても気づいてくれているし、そのつど気づかってくれて、心地いい距離を取ってくれる。私が今穏やかに過ごせているのは100%光くんのおかげです。大切な人とのコミュニケーションに関して、私は傷つきやすいのですが、光くんから傷つく言葉を言われたことがありません。驚きです。

 僕は弥加さんと出会って、ADHDとわかって自分がどれだけできないことが多いかが身に沁みましたし、「できることだけやればいいい」がベースにあるから、決して無理しているわけでもないのです。弥加さんのためにできることとしてやっています。

弥加 家族だからこそ、互いに適切な距離があるように思います。そしてそれは時間が経ったり場所が変わるにつれて変動するかもしれません。もし今でも私たちが同居していたら「この日は話さないようにする」など、なにかルールを決めていたかもしれません。
私は、光くんに「愛は自分のペースで与えるものではなく、相手のペースに合わせて渡していくものだ」ということを教えてもらいました。

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<取材・文/ESSEonline編集部>

【西出弥加さん】

絵本作家、グラフィックデザイナー。1歳のときから色鉛筆で絵を描き始める。20歳のとき、mixiに投稿したイラストがきっかけで絵本やイラストの仕事を始める。オフィシャルブログ「私とリトルさやの徒然日記」、Twitterは@frenchbeansaya

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