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仕事で忙しく子に関心の薄かった母。70代の今がいちばん「親子」らしい

2021.04.17

若松美穂のおいしい生活主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。

東日本大震災を機に、実の母と同居を始めた若松さん。家族だからといって、最初からスムーズにいったわけではないと言います。
同居生活で感じたことを執筆していただきました。

母と私のドタバタ暮らし~母は私を知らない~

お花母はドライブが好きです。田舎ゆえ、車がないと行動範囲が狭まりますし、父は運転が趣味のような人だったので、歳を重ねた休日は父と母、母の双子の妹も乗せて、よく3人で出かけていました。母も叔母も自営業ゆえ、あちこちで自由に話すことをはばかられることもあり、車の中では、気楽になんでもおしゃべりができるのがいいのだと言っていました。

震災後、母の気持ちを癒すのにひと役買ったのがお花です。家にいると、どうしても考えこんで、気が滅入るので、母の好きなドライブ+お花を組み合わせ、お天気のいい日には連れ出しました。陽の光を浴びて歩くと、体も疲れてぐっすり眠ることもできますものね。

昭和記念公園・国営武蔵丘陵森林公園・大宮公園・しば桜の羊山公園・国営ひたち海浜公園・大宮花の丘農林公苑・巾着田曼殊沙華公園・あけぼのやま農業公園・染谷花しょうぶ園・新宿御苑・明治神宮(御苑の花菖蒲)・所沢航空記念公園・筑波山梅林・吉見町のコスモス・六義園・浜離宮恩賜庭園・上野恩賜公園・千鳥ヶ淵・靖国神社・日比谷公園・小石川後楽園・代々木公園・飛鳥山公園・よみうりランド・あしかがフラワーパーク・湯島天神・としまえん・清澄庭園・椿山荘の中庭・肥後細川庭園・アジサイが有名な鎌倉の本土寺、熊谷の能護寺…。まだまだあります。

ドライブ中は、いろいろな話をしました。震災の心の整理、過去のこと、今のこと。母は仕事で忙しい人でしたから、ともに食卓を囲んだ記憶は少なかったので、ゆっくり話すこともなくて…。私たちは、震災後の今「親子」をしているのかもしれません。

驚いたのは、母が私のことをなにも知らなかったこと。小さいとき、私が父や祖母と過ごした時間。どうしてあの大学に行くことになったのか、都会での子育て期間中のこと。母の口からついて出るのは「そうなの? 知らなかったわ」「あらそう~、初めて聞いたわ」。笑ってしまいます。そんな親もいますし、それでも子は育つってことですね。

子どもの頃、母が忙しかったゆえの寂しさは、確かにありました。でも親が子どもに関心をもてないほど仕事に没頭することは悪いことばかりでもありません。おかげで私は、人生選択に制限を設けられることもなく、さらに余計なことを言われないというありがたい状況でした。
自分のすすむ方向を、自分の意思で決めることができたことには、感謝しています。それに、どんなにがんばっても母のようには成功できないから、追いつくことのできない一人の仕事人として、尊敬もしているのです。

【若松美穂(わかまつみほ)】

お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「“いま”と“みらい”のへや」にて最新情報を更新中

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