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80代両親と叔母が認知症に。離れて暮らす子どもたちの対応と決断

2021.04.12

地方に住む親が高齢になると、その後どうしていくかを考える必要があります。
今回、80代のご両親と叔母の3人が施設に入所したという、50代の兄妹にお話をうかがいました。

食事をする様子
ご両親、そして叔母を施設に。その経緯をうかがいました(※写真はイメージです)

地方にいる両親と叔母が次々と認知症へ。東京にいる50代兄妹がしてきたこと

東京都在住の涌井美奈代さん(仮名・53歳)とお兄さんの孝昭さん(仮名・59歳)は、この数年間で80歳を超えた両親と叔母の三人を、地元愛媛の特別養護老人ホームに入所させました。美奈代さんはパート勤務、孝昭さんは防犯関係の会社を経営、それぞれ家庭をもっています。ドミノ倒しのように次々と三人の認知症が始まった経緯を話してもらいました。

●電話代を払っていない?地方に住む母の認知症が発覚

今から3年前、2018年の夏ごろ、最初に母・勝子さんの異変に気づいたのは兄の孝昭さんでした。この時愛媛の実家には、当時89歳の父・正一さん、82歳の母・勝子さん、父方の祖母で84歳だった相子さんの三人が暮らしていました。

ある日孝昭さんが実家に電話をすると、「お客様のご都合により、通話ができなくなっております」というメッセージが流れたといいます。

「電話代を払っていないときに流れるあのメッセージです。びっくりしました。それで『あれ? オフクロ、電話代払ってないのか?』と思ったんです」(孝昭さん)

コロナ禍で廃業するまで80代になっても鉄工所を営んでいた父・正一さんはいわゆる“亭主関白”。そんな正一さんを内でも外でも支えた母・勝子さんは、公共料金の支払いや各種手続きなど、こまごましたことをすべて取り仕切っていました。

「母は賢くて聡明で、とてもしっかりした人でした。それまで電話代を払い忘れるなんてことは一度もなかったんです。兄から話を聞いて、これは大ゴトだと思いました」(美奈代さん)

ただ少し前から兆候はあったといいます。勝子さんは美奈代さん、孝昭さんの誕生日はもちろん、4人いる孫の誕生日にはお祝いの電話やプレゼントを贈ってくるのが常でした。ところがそのプレゼントが、その年は送られてこなかったのです。

「電話で話していても、同じことを何度も繰り返すことが増えていました。兄もそれは気づいていて。少し前から兄と『お母さん、大丈夫かな? ボケてきたのかな?』と話していたんです」(美奈代さん)

●何もかもが滞っていた実家。父が母の面倒を見ることに

女性を支える男性電話代を払っていないことがわかって、まず孝昭さんがとある週末、地元へ帰りました。調べてみると電話代のほか、水道代や電気代など、さまざまな支払いや手続きが滞っていることがわかりました。その後しばらく、美奈代さんと孝昭さんは交代で実家へ帰り、勝子さんなしでも生活できるような体制を整えたといいます。それまで勝子さんが事務的な処理をすべて行っていたため、父の正一さん、叔母の相子さんは、なにも把握していなかったからでした。

一方、認知症がはじまった勝子さんの介護は、父・正一さんが引き受けると宣言しました。

「父も89歳だったので心配でしたが、そのときはがんばってもらうしかありませんでした。私は子どもが二人いてパートもしていたし、頻繁に愛媛に帰るわけにもいきませんでしたから」(美奈代さん)

正一さんの介護の負担を軽くするために、母・勝子さんには週2~3回、デイサービスを利用してもらうことにしました。ところがそれからしばらくして、勝子さんがちょっとした段差につまずき、股関節のつけ根の大腿骨を骨折してしまったのです。

父からの連絡で、あわてて愛媛に帰った孝昭さん。医者と相談の末、結局手術はしないことにしました。勝子さんの82歳という年齢を考えると、手術に耐えられるだけの体力があるか、手術後に順調に回復できるかどうか不安があったからでした。

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