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乳がんから生き延びて43歳で離婚、退社。人生にがまんする時間はない

坂元希美
2021.01.22

●がんだからこそ、がまんしない。会社を辞める選択肢だってあっていい

そのイベントを終えた頃、2015年の労働者派遣法改正を受けて私を契約社員として雇用したいという打診を受けました。
このときの改正では、給与や待遇が正社員同様に引き上げられるわけではありません。私に提示された条件は、給与は派遣としての現状と同程度、昇給も賞与もなし。
派遣より安定しますが、この先はどんなにがんばっても給料は増えないわけです。

「残業してがんばれば、その分は払うから」と言われましたが、年を取って体力も気力も下降気味な上に体調不良を抱えているし、帰宅しても休日もぐったりしている時間がほとんどなのに、残業前提なの? と思いました。
そして、やっぱり私にはがまんする時間はないだろう、と会社を辞めてフリーランスになる決意をしたのでした。

フリーになると、もちろん収入は減るし不安定です。でも、具合が悪ければいつでも寝込めるし、あまり混んでいない平日に通院することもできて、ある程度の健康を保つことができます。
体調がよければ、なにかしら副業もできる。自由に時間が使えて低収入なら、納得ができるわけです。

腕組をする女性
乳がんサバイバーの坂元希美さん【撮影/幡野広志】

がんという大きな病気をすると、安定した収入や保障はとても大切ですから、ショックや勢いで仕事を辞めない方がいいとよく言われます。私はがん後に、思うように仕事も生活もできない期間が長かった。「がんをやったのだから○○すべきではない」という圧力もありました。

だから、今後は苦痛をがまんするのは肉体的にも精神的にもまっぴらごめんだし、乏しい体力をかけるなら、好きなこと・やりたいことを優先したいのです。
もちろん、そうすべきだとおすすめはしませんが、がんサバイバーが働き方を大きく変えたり、見直すお話はけっこう聞きます。体力的にも精神的にも「がん以前」と同じようにはできないからだと思います。

今、コロナ禍で経済状況が悪くなり、派遣社員が仕事に行けず月収が大幅に減っているという記事がありました。もしあのとき退社の決断をせず、なんの準備も覚悟もなく突然の景気悪化に巻き込まれていたら、もっと後悔していたと思います。

ぜひこの記事の続きもご覧ください。
乳がん後14年を生き延びた47歳。「がんになる前の体には戻れない」

●教えてくれた人
【坂元希美さん】

ライター。1972年生まれ京都府出身。作家アシスタントや業界専門誌、紙の編集者を経て、フリーライターに。医療や健康の情報を執筆する「がんサバイバー」。

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