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コロナ禍で夫が突然死。いちばん時間がかかった遺影選びで気づいたこと

2020.11.26

元気だった家族が突然亡くなってしまったとき、抱えきれないほどの悲しみに暮れながらも、見送りの準備という現実的な作業も待ち受けています。

ESSEなどさまざまな雑誌で活躍するライターの佐藤由香さん(52歳)は、新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言措置が実施されていた今年の5月に、単身赴任中だった夫(当時56歳)が突然死するという経験をされました。

夫が赴任先で倒れているという連絡を受け、東京から現地に急行し安置されていた警察署で対面を果たしたのち、棺を飛行機に乗せ連れて帰ることができた佐藤さん。今回は東京で行う葬儀までの準備についてつづっていただきました。

戒名を考えることも遺影選ぶことも、夫を偲ぶための貴重な時間だった

お寺
夫の戒名の相談に菩提寺へ(※写真はイメージです)

単身赴任先の自宅で突然死した夫(死因は致死性不整脈の疑い)と警察の安置室で対面を果たしてから、4日がたっていました。800km以上離れた赴任地から、棺を飛行機に乗せて東京に連れて帰るまでで(私は東京でライターの仕事を続けながら、月に一度夫の住む街に通うという二重生活を送っていました)、すでに疲労困憊でしたが、夫の見送りはここからが本番。

子どものいない、夫婦2人暮らしの私たち。夫や私のきょうだいたちが助けてくれますが、大きなことから小さなことまで、妻の私がすべて決めなくてはなりません。

東京に戻り、棺を夫の実家に安置した翌日、私は夫の弟とともに菩提寺に向かいました。
突然死にまつわる煩雑な連絡や確認のなかで、唯一悩まずにすんだのがお墓でした。夫の家はお寺に代々のお墓があり、夫もそこに入ることが決まっていたので、私はお願いに行くだけ。これがなにも決まっておらず、お墓選びから始めるとしたら、本当に途方に暮れたでしょう。

もし、お墓や遺骨をどうするか決まっていないなら、夫婦やパートナー間で一度は話しておいたほうが安心です。今は、いろいろな選択肢があります。お墓をつくるかつくらないか、つくるならどんな形、場所にするのか、散骨ならどこにするのかなど。イメージを少しでも共有しておけば、突然死のような「まさか」に直面したときでも、遺された人の負担は少し軽くなるように思います。

●戒名は夫のもうひとつの名前

夫とも面識がある住職と会い、戒名の話になりました。
正直なことを言うと、夫も私も信仰心はありません。お金もかかることですし、思い入れもなかったのですが、どうせつけていただくなら、親しみやすいものがいい。高尚な位は必要ないから、夫らしい戒名がいいなと思っていました。

「生前の名前から一文字入れます。それから、本人をあらわす漢字を入れますので教えてください」とおっしゃるので、私は『和』と答えました。夫が亡くなったあと、東京に来る前に弔問に来てくれた方たちの話を聞いているうちに、和を重んじる人だということがよくわかったのです。

人のために動くことを惜しまず、人と仲よくすることを大切にしていて、明るく元気な声で人を和ませる。そんな人柄をあらわすのは、「温和」「調和」「平和」の和。夫が生まれた「昭和」、命を終えた「令和」にも使われています。

しばらくして住職が見せてくれた戒名は、シンプルでわかりやすく、見た瞬間、夫だと思えるとてもいい戒名でした。仏教では、人が亡くなって四十九日までの間に来世での行き先が決まること、その戒名に込められた意味などを伺っていたら、夫がときを同じくして仏門に入った方と仲間になり修行に出かけていく様子がなんとなく想像できたのです。生前の性格のままの夫が、違うステージで生きているような、そんな不思議な気持ちになりました。

●中年にもなると笑顔の写真がなかなか見つからない…

菩提寺との打ち合わせを終えた私には、もうひとつの大きな仕事が残されていました。

そう、遺影選びです。

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