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ものは減らし、楽しみを増やす。60代一人暮らしが機嫌よく生きるコツ

桜田容子
2020.09.10
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今は家族がいても、配偶者との別れ、子どもの自立などで、いつか一人になる日が来るかも…。一度は想像したことがあるかもしれません。

夫の死に続き、子どもが自立して広い戸建てに一人暮らしをするようになった、シニアブロガーのりっつんさん(62歳)。一人暮らしを楽しむノウハウを、『未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし』(扶桑社刊)につづってっています。
今回、改めて12年目の一人暮らしを振り返っていただき、ともすれば寂しくなりがちな一人生活をどう楽しく過ごすか、コツを教えていただきました。

パソコンの前に女性
シニアブロガーとして人気のりっつんさん

60代一人暮らし。住まいの工夫や身だしなみ、人づき合いでご機嫌に生きる

36歳のときに当時38歳だった夫と死別。50歳のときに2人の息子が独立し、人生初となる一人暮らしを始めたりっつんさん。庭つきの戸建て4LDKで、一匹の猫と暮らしています。現在のその暮らしぶりを教えてもらいました。

●住み替えもせず、一人になった4LDKの家で「ダウンサイジング」を実行

4LDKもある家での一人暮らしは、寂しくもあり、管理も大変だと思われますが…。

「やはり覚悟していたとはいえ、夫、長男に続いて次男が就職で家から出ていったときは、大きな戸惑いがありました。これから先はもう話しかける人も食事をともにする人もいない。20年前からわが家に住み着いている猫はいますが、会話はできませんからね(笑)。それに、部屋は2つのフロアに4つもあります。一人で住むには広すぎるのはもちろん、管理も大変です」

猫
長老猫との暮らし。りっつんさんは「同居生物」というのがいちばんしっくりくるそう(りっつんブログより引用)

そこでりっつんさんは、まずものを大幅に処分し、掃除しやすい“空室”をどんどんつくっていきました。

「夫の遺品も、2人の子どもたちが置いていった学習机や本棚なども潔く処分していきました。そうして残ったのは、1人につき段ボール1~2箱分に収まる最低限のもの。これらを押し入れにコンパクトに収めたら、4LDKのうち2部屋を、普段まったく使わない“空室”状態にすることに成功。今は『2LDK』で暮らしているようなものです」

さらに自分の衣類も、ワンシーズン着なかった服を始め、「自分がきれいに見えない服」も一切合切処分してクローゼットもすっきり。手入れが大変な庭も、少しずつ木や草を減らし、管理に困らないようにしたそうです。

ソファやテーブルなどが置いてあるリビング
リビング。お孫さんたちが遊びに来るとにぎやかに(※りっつんブログより引用)

昨今では、広い家を手放して1LDKなど必要最低限の広さのマンションに住み替える「ダウンサイジング」も注目されていますが、りっつんさんは戸建て内で「ダウンサイジング」を実現したといえます。

「家を売って住み替える方が、かえって高くつくと思ったんです。断捨離して思うのは、空間を残しておくと、意外と融通が利く。たとえば、ほぼ“空室”にした2部屋は、2人の孫娘が夏休みに長期で泊まりに来た時などに大活躍。いつでもだれかが泊まりに来てくれる部屋があるって、楽しいですよ」

●シニアこそ自分を機嫌よくする生活習慣を大切に

ものを減らし、すっきりすると掃除などの負担が減ります。りっつんさんは、そうしてできた余白の時間を、もとからある一人時間に加えて、自分をご機嫌にするために使っています。

そうめんやハンバーグなど
冷凍の豆腐ハンバーグを使った「ひとりランチ」(※りっつんブログより引用)

「シニアの独り身女性は、意識しないと楽しく過ごせません。ですから、自分の気持ちが“上がる”生活習慣を大事にしています。たとえば、食事。内容は大したことなくても、見た目には気を使います。ちなみに今日のお昼は、おにぎり、おみそ汁、小鉢でしたが、これらをすてきな器に盛って並べて気分を上げました。ほかにも、ある日のランチは自宅でもお弁当箱につめ、またある日はカフェのようにワンプレートにするなど、入れ物でも“遊ぶ”ようにしています。お総菜を買ってきたとしても、パックのまま食べるなんてことは絶対にしません。見た目だけでも大事にすると、本当に気分が違うんですよ」

また、身だしなみにも若いとき以上に気を使うようになったそう。

「若い頃は多少手を抜いてもなんとか若さでカバーできていましたが、シニアになると、手をかけている人とそうでない人とでは、歴然とした差が出ます。気を抜いてると、鏡に映る自分を見て、『ああ、老けたな…』と思うのは必然。だからこそ、服は“自分がキレイに見えるもの”だけを残し、美容院にも、白髪染めとカットを使い分けて、それぞれ2か月はあかないよう、マメに通っています。お化粧も、つい手抜きしてクリームとファンデーションが一体型になったBBクリームを使いたくなりますが、自分がキレイに見えるファンデーションの方を使うようにしています」

ハンドクリームと手袋
寒い日はハンドクリームと手袋をしたり、コスメをアップデートさせたりと気を使っています(※りっつんブログより)

食事にも見た目にも気を使うのは、自律的に見えますが、自分を喜ばせ、一人暮らしを楽しむ最大の秘訣のようです。

●血縁より地縁。近所にいる友人といい関係を築く

そして、ご近所づきあい。これは、シニアの一人暮らしには欠かせないと強調します。

「なにかあったときに助け合えるのは、遠くに住む息子夫婦でなく、ご近所の友人。血縁よりも地縁です。私は近所に数名の友人がいます。普段から、とくに用事がなくても通りがかったらピンポンを押して、お部屋には上がらず玄関先で『元気にしてる?』とお話するようにしています。『つくりすぎたからどうぞ』『もらったからどうぞ』というおすそ分けも、いい口実ですね」

カゴにたくさんのお野菜
ご近所さんから新鮮野菜のおすそわけがよくあるそう(※りっつんブログより)

この友人たちは、じつは、かつて子の小学校のPTA活動で知り合いになったママ友。そのときはそれほどつき合いがなくても、時を経るにつれ、関係は変わっていきます。

「関係性はどう変わるか分からないから、会えば挨拶するくらいはしておくと、将来、宝物のような存在になっているかもしれません。逆に、当時は違和感があったママ友たちは自然と離れていき、今は本当に必要な、そして一緒にいて居心地のいいママ友だけ残っているものです」

●なににも縛られないのが独り身のメリット

とはいえ、りっつんさんは、現在の地域に永住することは考えていないそう。

「『ダウンサイジング』のために住み替えはしたくないと言いましたが、じつは、将来的には奈良に住みたいと考えているんです。奈良は、亡き夫と新婚旅行で行った思い出の場所ですし、神社仏閣が好きなので、雨の日は雨に似合うお寺に行き、好天の日は遠くのお寺に足を伸ばす――なんてことをしてみたいんです」

将来的にさらに自分を喜ばせる計画も立てているりっつんさん。
「だれにも、なににも縛られない。それが、シニアの一人暮らしの最大のメリットだと思うんです」

いかがでしょうか。こう聞くと、一人になっても「孤独」が怖くならないはず。
未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし』(扶桑社刊)には、一人暮らしを楽しむノウハウがたくさんつづられています。こちらもぜひチェックを。

りっつんさんのインタビューはこちらもあります:
60代一人暮らし。26年前に夫と死別、でも「孤独」じゃなかった半生

●教えてくれた人
【りっつんさん】

1957年宮城県生まれ、埼玉県在住。宮城学院女子大学日本文学科卒業。現在は在宅にて日本語の字幕製作をしている。36歳の時に当時38歳だった夫と死別。50歳の時に2人の息子が独立し、人生初となる一人暮らしを始める。2016年、59歳のときに「りっつんブログ」を開設。ブログは月間15万PVを集め、シニアブロガーとしてライフスタイルブログジャンルで人気に。初の著書『未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし』(扶桑社刊)が発売中

未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし

人気シニアブログ「りっつんブログ」を書籍化! 36歳で夫を亡くし、未亡人になって26年。現在62歳の著者・りっつんがひとり暮らしの日々を綴ったエッセイ集。

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