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退職後、怒りっぽくなった父。暴言をやめさせるには?

瀧波ユカリ
2020.02.28
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テレビのニュースやゴシップに腹を立てて罵倒している人、周りにいませんか? そのような暴言は聞いているだけで気が滅入ってきますよね。

漫画家、エッセイストの瀧波ユカリさんに、読者から実際に寄せられたお悩みをズバリ解決してもらいました。

怒りやすい父…満たされない承認欲求が「当たり屋」のように怒る原因かもしれません

【お悩み】実家の父が怒りやすくて困っています

父に叱られる女性のイラスト父は以前から怒りっぽい性格でしたが、58歳のときに病を患い、会社を早期退職してひどくなったように感じます。怒りの対象は近所の人やテレビのニュースなどさまざま。「クズだ」「死ね」などの暴言は、聞いているだけで心がすさむし、息子たちにも聞かせたくありません。

実家で暮らす母、祖母、兄は「なにを言っても仕方がない」と、父の暴言を無視していますが、私としては、できるだけこの状況を変えたいと思っています…。(愛知県・33歳)

【瀧波さんからのアドバイス】全身運動できる趣味がおすすめ。でも、根本的には本人の問題

お父さまが怒る理由、すごくわかります! だって若い頃の私とそっくりだから。

フリーター時代の私は、とにかくいろんなことに腹を立てていました。役所の窓口、政治のニュース、有名人の発言、満員電車で寄りかかってくる人…今も同じことでイラついたりするけど、当時はもっと爆発するような怒りを感じていたし、相手に敵意をむき出しにすることもありました。

あの頃の私は肩書きも活躍の場もなく、だれにも興味をもたれることのない存在でした。自分はほかの人より劣った存在なのではという不安と、本当の自分を評価しない世界への怒り。そのふたつの感情に苦しんでいました。

・「他人の落ち度」は感情をぶつけるのに最適
そんな感情をぶつけるのにうってつけだったのが「他人の落ち度」。わかりやすい落ち度に腹を立てて指摘することで怒りを発散し、「こんな人よりも自分の方が優れている」と思うことで、不安を解消していたのです。ほとんど「当たり屋」と変わりませんよね。

でもそれから漫画を投稿してデビューして、私生活でも家族ができて…と状況が変わっていったことで、私のなかの当たり屋はいつしか消滅しました。病で早期退職を余儀なくされ、健康と肩書きを同時に失ったお父さまも、きっと当時の私と同様の感情を抱えているのではないでしょうか。

「私にできるのはここまで!!」イラスト自分はもうなに者でもないのでは? という不安。世界から評価してもらえない怒り。それらがお父さまを当たり屋にしているのだと思います。

・「脱・当たり屋」するためには?
では、どうしたら「脱・当たり屋」できるのか? 退職後の男性への提案としては月並みですが、趣味に取り組むのがいいのかなと思います。なにかしら目標に向かって挑戦すれば、達成感を得たり承認欲求を満たすことができるからです。

60代であれば、頭や手先を使うことよりも、全身運動の方が向上が望めそうです。たとえば登山やマラソン。スローペースでもゴールすることで達成感が味わえます。遠出するのが難しければ、ジムでのトレーニングでもいいと思います。

そういった趣味をすすめてみて、もし興味をもつようであれば情報提供したり、一緒にやってみるのはいかがでしょうか。お子さんがもう少し大きくなれば、一緒に楽しむこともできますしね。

でもお父さまが興味をもたないようであれば仕方がないです。そうなったら、心から嫌いになる前に距離をおくのもひとつの手。罪悪感をもつ必要はありません。どんな態度で生きるかは、根本的にはお父さまご自身の問題なのですから。

●教えてくれた人
【瀧波ユカリさん】

1980年、北海道生まれ。漫画家、エッセイスト。アニメ化もされた『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社刊)でデビュー。著書に『モトカレマニア』(講談社刊)など