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僕を漫画に描いてほしい…怖がり5歳児ががんばったこと<古泉智浩の養子縁組やってみた>
2020.01.13
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50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した長男・うーちゃん、里子の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回の主役は、車のタイヤ交換を手伝う(?)うーちゃんです。

雪国で暮らす古泉一家。5歳児うーちゃんはタイヤ交換に興味があるようで…?

5歳の養子、うーちゃんは男の子らしくロボットや機械、武器などが大好きです。今年は暖冬でまだ雪が積もったり、路面が凍結することはないのですが、しかしいつそうなっても不思議ではありません。普通タイヤから冬用のスタッドレスタイヤに交換することにしました。

業者さんに頼むと1回2千円、春になって戻すときにも2千円、ワンシーズンで4千円、それが2台なら8千円です。以前は業者に頼んでいましたが、いくらか機材を買いそろえても2年で回収できるため、もっぱら自宅の駐車場で交換しています。

車のタイヤの硬いボルトを外したり締めたりする際に、「インパクトレンチ」という工具を使います。高級品は充電するタイプですが、僕のは車のボンネットをあけてバッテリーに洗濯バサミのような電極をつけて給電します。

タイヤ交換をする男性普段あけることのないボンネットをあけているので、うーちゃんは大興奮。しかもインパクトレンチは拳銃のような形をしていて、ボルトのあけ閉めでダツンダツンと攻撃的な音がします。

「やってみる?」
「いい」

うーちゃんは音が怖いようですが興味はあるようで、何度か誘うと恐る恐る手に取りました。それほど危険のない機械ですが、使い方を教えたうえですぐ横から様子を見ていました。

タイヤ交換をする男の子うーちゃんがインパクトレンチの先端をボルトに当てて引き金を引くと、ヒュイーンというモーターの回転音の後にダツン! とボルトに強い負荷がかかる音がします。それを数回継続させるとボルトが勢いよく回転して外れます。
ところが、うーちゃんは最初のダツンで、引き金から指を外してしまうので途中でボルトが止まります。

トイレの音に耳をふさぐ男の子じつは、うーちゃんはトイレで水が流れるときに、音が怖くて両耳を手でふさいでいるような臆病者だったのです。

そうして、またインパクトレンチの先端をボルトに当てがってやり直して、1回でまた放すを繰り返すため、こっちもだんだん面倒くさくなってきました。
作業はボルトを外すだけでなく、重たいタイヤを取り外して新しいタイヤを持ち上げてはめて、インパクトレンチでボルトを締めて、ジャッキを下げて場所を変えてまた上げてと、非常に面倒です。
インパクトレンチ以外はけっこうな力仕事でうーちゃんに手伝ってもらえるところはありません。

何度教えても1回で手を放す割に、その作業が気に入ったようで何度もやりたがるので、早く別のところに遊びに行ってくれないかなあと思いました。

男の子「まんがにかいてほしい」でも、ようやく作業を終えると「タイヤを交換するところを漫画に描いてほしい」と言いました。どうやら誇らしかったようです。

【古泉智浩さん】

漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69)をチェック!

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