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嫌いな母の老後を見たくない…モヤモヤしないためにできること
瀧波ユカリ
2019.12.23
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年末年始は帰省などがあり、親とのつき合い方を考える機会も増えます。

親の老後問題は避けて通れませんが、家族との関係が改善しないまま時がたつと、見放してしまいたいと思ってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、どうしたらいいのでしょうか。
漫画家、エッセイストの瀧波ユカリさんに、読者から実際に寄せられたお悩みにズバリ答えてもらいました。

イラスト老後頼むわよ
嫌いな親の老後をみたくない…そう思うのは悪いこと?

自分がいかに機嫌よくいられるかが、いちばん大事。自分ファーストで考えて

<相談>嫌いな母の老後を見たくない

昔から、妹ばかりかわいがり私には冷たかった母。「嫌い」「死ね!」などと言われたこともあります。

母は家事嫌いで、買い物しすぎのため、家の中はグチャグチャです。近所に住んでいるので、つい見かねて手伝ってしまいますが、「余計なことをするな」と言われるだけで、まったく感謝されません。

最近、70歳を目前に「長女なんだから、老後を見るのはあなたの役割」と言われました。今までの経緯を考えると、見放したいです。私は悪人なのでしょうか?
(Tさん 宮城県・44歳 夫52歳、長男15歳)

<瀧波さんからのアドバイス>「母親自身の問題」と「自分の問題」を分けて考えましょう

母親との関係が改善しないままときが経ち、老後の話なども出てきて悩みが増してくる。そういう苦しい時期にさしかかってきたのだろうと思います。

Tさんはお母さまのことを見放したいと思っているけど、実家が散らかっているとつい手を出してしまう。このことから、Tさんは「自分の問題」と「母親の問題」を分けて考えることができていないのかもなあと思いました。このふたつの違い、おわかりになるでしょうか。

・母親の問題に、周囲ができることはあまりない
たとえば、お母さまが部屋を片づけられない、買い物をやめられないのは「母親自身の問題」です。それを解決するもしないも、お母さまが決めること。周りにできることがあるとすれば、助けを求められたときにできる範囲で手を貸すくらいです。

その一方で、あなたのお母さまへのさまざまな感情をどう整理するかは「自分の問題」です。お母さまが汚い部屋に住んでいて「いやだな」と思った時、すべきことはその部屋を片づけることではありません。できるだけ無関心になれる方法を探すことです。

見放したいと思ったときにすべきなのは自己嫌悪ではなく、「見放したいと思うだけのことをされてきたのだ」と自分を思いっきり擁護すること。自分の問題についてはとにかく自分ファーストで考えていいんです。自分がいかに機嫌よくいられるかが、いちばん大事。

イラスト分けて考えようこのように、なにかモヤモヤしたら必ず「自分の問題」なのか「母親自身の問題」なのかを分析して、タグづけする習慣をつけましょう。そうすれば、自分が悪いのかもと悶々としていたことも、割りきって考えられるようになります。

言ってしまえば老後の生き方だって丸ごと「母親自身の問題」なわけです。それにしっかり向き合わないで、長女だから面倒見てよと子どもに丸投げしてくるのはおかしなことなのです。丸投げに対応できないことに罪悪感をもつ必要はありません。

・もらった愛情をどう返すかは、自分次第
しかし、もらった分の愛情(それがごくわずかでも)をどのような形で返すかは、あなた自身の問題。どんなことを、どこまでしてあげるのかを想定しておくといいでしょう。
でもそれが「母親自身の問題」に手を突っ込むような形にならないようにだけ注意してください。お願いされてもいないのに部屋の片づけなどをすることは、「母親が自分の問題に向き合う機会を奪う」ことにほかならないのです。

お母さまの「長女だから老後を見るのも役割でしょ」という言葉は、単なる屁理屈だとあなたは気づいているはず。愛情って、もらった分しか返せません。たとえ悪人と呼ばれてもいい、冷たいとののしられてもいい、もらった分しか返さないぞ、と腹をくくってください。あなたはあなたのいちばんの味方でいてくださいね。応援しています!

●教えてくれた人
【瀧波ユカリさん】

1980年、北海道生まれ。漫画家、エッセイスト。アニメ化もされた『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社刊)でデビュー。著書に『30と40のあいだ』(幻冬舎刊)『ありがとうって言えたなら』(文藝春秋刊)など