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成功する男の子の育て方。母は「やりっぱなし」を叱ってはいけない

ESSEonline編集部
2020.11.14
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「どうしてうちの息子はこんなに思いどおりに育たないの?」「お姉ちゃんと同じように育てているつもりなのに、男の子は難しい…」そんな想いを抱きながら、息子を育てる親は少なくないのではないでしょうか。これに対して、「女性が男性脳を育てることは難しいんです」と語るのは、脳科学者の黒川伊保子さんです。

47万部のベストセラー『妻のトリセツ』、16万部のベストセラー『夫のトリセツ』など男性脳と女性脳の違いを浮き彫りにしている黒川さんに、男女の脳の違いや、男の子を育てる際のトリセツを伺いました。

笑う子ども
男の子を育てる際のトリセツとは

黒川伊保子さんに聞く子育て。「男女の持つ脳のスペックは同じ。ただ、とっさに選ぶ回路が違う」

「近年は『脳に性差はない』という論説があります。たしかに、男女ともに脳に搭載されたスペックは同じなので、そういう意味では『男女の脳は違わない』と言えます。しかし、子育てをする母親から見れば、泣き方や意地の張りどころ、機嫌の直しどころ、動きや身に着けるものの好みなど、男児と女児は明らかに違う。子育て経験がある母親ならば、いくらでも『女の子あるある』『男の子あるある』を挙げることができるはずです。育てる側から見れば大きな性差があるのに、『男女の性差がない』と言われても、現実味を感じないお母さんは多いはずです」

では、男性と女性の脳には、どんな違いがあるのでしょうか。

「脳はどの機能を搭載しているかよりも、『とっさにどの機能を選択するか』で性質が決まります。多くの男性が選ぶ回路モデルと多くの女性が選ぶ回路モデルは違う。ほとんどの男子は『空間認知優先型の脳』で生まれてきます。これは自然に『遠く』まで視線を走らせ、空間の距離を測ったり、ものの構造を認知する神経回路を優先する脳の使い方です。一方、女子は、多くが子育て『コミュニケーション優先型の脳』として生まれてきます。こちらは自然に『近く』に集中して、目の前の人の表情や所作に反応する神経回路を優先する脳の使い方をする傾向にあります」

●男の脳は狩り仕様。だから「ぱなし」癖がつく

この脳の違いは、狩り仕様・子育て仕様と考えるとわかりやすいのだとか。家族に危険が迫ったとき、男は遠くの危険物に瞬時に照準が合い、女性は目の前の大切なものから一瞬たりとも意識をそらさないで守り抜く。とっさの判断にどう動くかが男女によって違うからこそ、母親は息子を育てるときにイラ立ちを感じるときも多いのだとか。

「遠くの目標に潔くロックオンする男性の性質は、時として母親からすると理解不能になります。たとえば、わかりやすいのが『ぱなし』癖です。男の子はなんでも脱ぎっぱなし、やりっぱなし、置きっぱなしの『ぱなし』癖を持ちがちで、いくら注意しても、同じことを繰り返します。あれはやる気がないのではなくて、とっさに『遠く』を選択する脳の才能なのです。遠くの獲物にロックオンしているから、足元は見えないし、見ているわけにもいかない。このロックオン機能があるから、『あれをやろう』と目標を決めたら、それ以外のものは目に入らなくなってしまう。でも、こうした『遠くを俯瞰して、全体を見極め、ものの構造を察知する才能』が、冒険心や開発力につながるのです」

●男の子の「ぼんやり」や「ぱなし癖」を咎めてはいけない

しかし家庭内では、「遠く」をロックオンし、「近く」が手薄という優秀な男性脳をもつほど、「役立たずな、ぱなし男」に見えてしまいがち。ただ、母親がそれを責め立てるのはよくないと黒川さんは続けます。

「脳が子育てモードにあって、『一生でもっとも気が利く状態』になっている母脳としては、そうした男児の様子が気になって仕方ない。だからこそ、『こうしなさい』『早くしなさい』『どうしてできないの!』と急き立ててしまう。でも、男児に『近くを注視して、先へ先へと気を利かせる』という脳の使い方を強制すると、本来もっているはずの『遠く』を見る能力が得られず、冒険心や開発力が弱体化してしまうのです」

まさにあちらを立てれば、こちらが立たず。欠点をゼロにしようとすると、長所が弱体化してしまうということ。

「息子の脳に男性脳らしさを根づかせたければ、その弱点を飲み込むしかありません。そのためには、息子の『ぼんやり』『ぱなし』を許す必要があります。これが、息子育ての法則の第一条と言っても過言ではありません。息子のために多少しつけることはあっても、女性脳レベルを目指して叱らないこと。男の子はやる気や思いやりがないのでも、人間性が低いわけでもなく、脳の性質として『できない』だけなのですから」

●多数の失敗を経験させれば、開拓力のある男性に育つ

では、開拓力を持つ男性脳を育てるためには、どうしたらよいのでしょうか? そのなかで大切な要素のひとつが、「子どもの失敗を恐れすぎないこと」。

「人工知能を学習させてみると、失敗をさせない人工知能は、学習時間も短くてすむし、定型業務は確実にこなしますが、新しい事態への対応力は低くなる。一方、失敗させた人工知能は、学習時間は長くなるものの、新しい道を開拓することができる。これは人間の脳も同じです。戦略力や開拓力を備えて冒険に出る男性脳を育てるには、失敗を恐れないことが大切です。『失敗しないように』と母が子どもを追い詰めると、失敗回路が活性化される上、やる気の信号が低下するため、残念ながらその子は十中八九失敗します。これは本当に勇気のいることですが、母が小さな失敗をたくさん経験させることが、息子を開拓力のある男に育てるカギです」

●子どもが失敗したとき、効果的な一言は「〇〇してあげればよかった」

とはいえ、目の前で子どもが失敗してしまったとき、つい叱ったり、怒鳴りたくなってしまうもの。しかし、そこで有効なのは「私も、〇〇してあげればよかった」と声をかけることです。

「たとえば、試験の前日に『いろいろ用意して、必要なものは確認してね』と伝えても、朝になってから『やっぱりスリッパが必要だ!』といいだして、母親を慌てさせるような息子はたくさんいます。思わず『だから言ったでしょ!』と怒鳴りたくなりますが、あえて『お母さんも一緒にプリントを見てあげればよかったね』と言い添えて、スリッパを探しに走りましょう。そうすることで、子どもにとって母親は『心の痛みを分かち合ってくれる存在』になりますから」

黒川さんの最新刊『息子のトリセツ』(扶桑社刊)では、脳科学的な見地から見たさまざまな息子育てのコツをはじめ、黒川先生ご自身の実体験をもとに、いかに母親がテーマと愛情をもち、いかにエンタテインメントとして「息子育て」に取り組んでいくかを解説しています。ぜひチェックを。

<取材・文/ESSEonline編集部>

●教えてくれた人
【黒川伊保子さん】

脳科学・人工知能(AI)研究者。1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業後、コンピュータ・メーカーにてAI開発に従事。2003年より(株)感性リサーチ代表取締役社長。語感の数値化に成功し、大塚製薬「SoyJoy」など、多くの商品名の感性分析を行う。また男女の脳の「とっさの使い方」の違いを発見し、その研究成果を元に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(ともに講談社刊)を発表

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