今月100歳の家事達人・吉沢久子さんの老けない発想力!新しい発見を日々の喜びに
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2018.01.31
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今年の1月に100歳を迎えた生活評論家の吉沢久子さん。書店にずらりと並ぶ彼女の新刊を目にするだけでも、今なお精力的に活躍する様子がうかがえます。
そんな吉沢さんと、雑誌の対談がきっかけで8年ほど前に知り合ったのが、脳科学の権威で医師の加藤俊徳さん。当時の驚きをこう語ります。
「取材で脳のMRI画像を撮らせていただいたとき、90代と思えないイキイキと若々しい脳に驚きました。日々の家事のなかでも、五感をフルに活動させ、新鮮な感動や驚きを忘れない吉沢さんの暮らし方は、まさに、家事することで脳トレーニングを実践していると言ってもいいでしょう」

はたして、「若々しい脳」でいられる秘訣はどこにあるのでしょう? 吉沢さんの日常生活を覗いてみました。

吉沢久子さん

歳のせいで行動範囲が狭くなったら、逆転の発想で!人に来てもらうことにすればいい

テーブルには花都内にある日当たりのよい一軒家で、ひとり暮らしをする吉沢さん。玄関を入ってすぐの部屋には、書棚にたくさんの本が並べられ、テーブルには花が飾られています。
「手入れの手間のいらない丈夫な花を飾っています。花があるだけで、お客さまをおもてなしする気分が伝わるかしらと思って」
吉沢さんのひとり暮らしは、“ひっそり”といったイメージとはほど遠く、甥や姪が毎週様子を見に来て家事を手伝ってくれたり、近所に住む友人が訪ねてきておしゃべりをしたり。自宅で毎月十数人のメンバーが集まり、「むれの会」という歴史や文化の勉強会を開くこともあります。多くの人との交流を、日々楽しんでいる様子です。

世代を超えて人と交流することは、脳に新しい刺激を与えてくれるもの。脳科学者の加藤さんも、さまざまな立場・年代の人と交流することが、吉沢さんのイキイキ脳の理由のひとつと考えています。

とはいえ、吉沢さんは、足も悪くなり、若い頃と同じように外出するのは難しくなったと語ります。
「年をとると、行動範囲が狭くなってくるから、社会から孤立するようになってしまいます。でも、それなら、人を招いて社会を家に取り入れればいいの。家の中に人を入れるのは抵抗がある方もいると思いますが、私は多少整っていなくても隠し立てせず、人を招くようにしています」

勉強会だけでなく、数十年来のつき合いの友人、近所の人や読者が不意に訪ねてくることもしょっちゅう。
「会っておしゃべりすることはもちろんですが、遠くに住む方との手紙のやりとりも楽しいもの。旬のものや食べたことのない土地のものを送っていただき、どうやって食べようか考えたり、楽しみはつきません」

料理は自分を喜ばせるための大切な家仕事

好奇心いっぱいで、活力にあふれた吉沢さんですが、一緒に暮らしていた姑と夫を3年の間に続けて見送った頃、大好きだと思っていた料理をするのがおっくうになった時期もありました。
「家族や来客のために忙しいなかでも時間を見つけ、工夫してつくっていたのですが、急に料理をするのが面倒に感じられて、自分でも驚きました。おいしいと言ってもらうことがはり合いになっていたんですね。半年ほど、でき合いのお総菜や外食ですませていました」

そんなある日、銀座に用事があってホテルの和食屋さんにひとりで入ったときのこと。
「つき出しの柿の白あえがとってもおいしくて。でも、つき出しですから、ほんの少ししか食べられなかったんです」
もっと食べたいという気持ちが高まり、帰宅後、たっぷりの柿の白あえを自分のためにつくりました。
「久しぶりに自分でつくったものはおいしかった。これからは、自分の口を喜ばせるために料理をつくろうという気持ちになりました」

できなくなったら、嘆くことなく、工夫してやりくりすることを楽しみにする

今では、吉沢さんは自分のために、毎日の食事を用意しています。
「以前は、トーストに半熟の目玉焼き、ホウレンソウのバターソテー、ミルクティーが朝食の定番でした。最近は朝目玉焼きを焼いたフライパンを片づけるのが大変になったので、メニューを変更。時間があるときに、大きなフライパンでチヂミを2枚焼いて、4回分に分けて冷凍しておくの。チヂミには、牛乳と卵、ニラ、桜エビ、ハムなどをたっぷり入れます。これを朝、トースターか電子レンジで温めて、お茶や果物といただけば、栄養バランスもよくて、手間もありません」

夕食は、日によってさまざまな献立を用意します。吉沢さんにとっては楽しい作業ではありますが、これは同時に骨の折れる家仕事。
「年をとってくると、体が以前のように動かなくなったり、力が入らなくなってきます。そうしたら、無理をせずちょっと工夫をすることに。すると、まだまだできることはたくさんあるものですね」
たとえば、かたくて力を入れないと切れない野菜は、電子レンジで温めてから切ったり、まな板は軽くて洗いやすいプラスチック製の小さなものにしたり…。

不便を感じたら、なにかほかのやり方はできないか積極的に新しいことを試してみる。「発想力」を駆使して工夫を忘れない姿勢が、脳のトレーニングにつながっていると加藤さんも考えています。
「大好きな白あえは、お豆腐をさっと湯にとおして水きりし、ゴマをおろしたすりこ木とすり鉢で混ぜていましたが、最近はすりこ木を使うのが大変に。ミキサーを使うようにしたら、すりこ木でおろすのとは違った、ねっとりとした食感のあえ衣になっておいしいの。今まで使わなかった道具を使うことで、新しいおいしさを知りました。あえ衣はまとめてつくって冷蔵庫で保存し、旬の野菜とあえればおいしい一品になりますよ」

年齢を重ねて、できなくなったことを嘆くのではなく、工夫をして新しい発見に喜びを見つける。そんな柔軟な発想力こそが、若々しい脳を保ち、人を成長させる力の源なのでしょう。

●教えてくれた人
【吉沢久子さん】

1918年生まれ。生活評論家、エッセイスト。文芸評論家・古谷綱武氏と結婚。家庭生活を支えつつ、メディア出演、執筆、講演など広く活躍。60代で姑、夫と死別後、ひとり暮らし。著書に『ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記』(清流出版刊)ほか

【監修/加藤俊徳さん】
脳内科医・医学博士、加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳活動計測法fNIRSや脳番地トレーニングの開発者。MRI脳画像を用いて、胎児から超高齢者まで1万人以上の脳を診断し治療。著書に、『アタマがみるみるシャープになる!脳の強化書』(あさ出版)、『悩まない脳の作り方』(辰巳出版)、『脳科学者 加藤俊徳の脳若返り革命ドリル』『今日からお金が貯まる脳トレ』(共に主婦の友社)など多数。

<撮影/難波雄史 取材・文/ESSE編集部>

ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記


今に生かす「もったいない」の心、すこやかな一人暮らしの衣食住、小さなしあわせの見つけ方。伝えたい、簡素な美しい暮らし。暮らしの知恵にあふれた四季のエッセイ。


アタマがみるみるシャープになる!脳の強化書


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