正しい乳がん検診の受け方は?異常に気づいたら定期検診を待たないで
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2018.09.01

女性のがんでいちばん多いのが乳がん。患者数は9万人にのぼり、日本女性の11人に1人が乳がんになる計算です。

「乳がんは早期に発見し、適切な治療をすることで克服できる病気です。自分の身を守るために、まずは乳がんを正しく知って、正しい検診を受けることが大事なのです」と話すのは、認定NPO法人乳房健康研究会副理事長・島田菜穂子先生。

ここでは、乳がん検診ではどんなことをするのかを、島田先生に教わりました。

乳がん検診
早期発見のために、定期的に検診を受けましょう

乳がんの発見には、マンモグラフィーと超音波検査の2種の検査を組み合わせた検診が理想

乳房の内部を診るマンモグラフィーと超音波検査が、乳がん検診の柱となります。

「マンモグラフィーは乳房専用のX線検査で、上下左右からはさむことで内部の様子を的確に捉え、放射線の被ばく量を最小限に。小さながんの兆候まで映し出せる半面、乳腺が密な人の場合は、乳腺にまぎれて見落としやすいという弱点があります。超音波(エコー)検査は、超音波を乳房に当てて組織から跳ね返った反射波を画像にする仕組み。被ばくがなく、妊娠中でも安心して受けられます」

いずれにしても、検診は症状がない人の早期発見を目的としたもの。異常に気づいた人は定期検診を待たず、乳腺の専門医で受診することが大切です。

●乳がん検診の流れ

問診から始まり、医師が乳房の状態を見て触る視触診を経て乳房内部を診るマンモグラフィーと超音波検査へ。両方の検査を受けることでリスクを減らせます。自治体などからの検診クーポンを利用し、上手に検診を受けましょう。

・問診
一般的には問診票に記入する形式。自覚症状があるか、今までかかった病気、今かかっている病気や服用している薬、家族にがんにかかった人がいるかどうか、などを聞かれます。

・視触診
乳房の左右の大きさに違いはないか、皮膚の陥没や発疹、乳頭の陥没などを視診し、さらにかたさや動き、乳頭から分泌物が出るかをチェック。痛いところがあれば必ず医師に伝えて。

・マンモグラフィー
乳房を上下左右から透明な板に挟んで内部を撮影するX線検査。薄くのばして撮影することで診断に必要な画像を撮ることができ、放射線被ばくを最小限に。乳房のはる月経前を避けた方が、痛みが少なく受診できます。

メリットは、小さながんの兆候(石灰化)が白い点状に鮮明に映し出され早期発見しやすいこと。デメリットとしては、しこりは乳腺と同じ淡い白色に映るため、乳腺が密な人は紛れてしまうこと、妊娠中は受けられないことが挙げられます。

・超音波検査
あおむけに寝てジェルを胸に塗り、検査用の端子を乳房に当てて画像を映します。しこりのあるところは黒く映り、数mmのしこりも発見可能。しこりを重点的に見ていくと、良性か悪性かを知ることもできます。

メリットは、微細なしこりも発見でき、X線被ばくがないので妊娠中や可能性のある人も受診可能なこと。デメリットは、がんの兆候である石灰化を詳しく映し出せないこと。
超音波とマンモグラフィーを組み合わせるのがおすすめです。

ステージ0の早期発見!だけど術後がつらく…読者の乳がん体験記

ESSE世代を直撃する乳がん。病期も進行のタイプもさまざまです。
ここでは乳がんを乗り越えた読者・中澤さん(仮名・46歳)の体験談をご紹介します。

●運よく、乳腺専門医によりステージ0の早期発見

夫の会社から配偶者検診の案内がきたのが婦人科検診を受けるきっかけでした。最初の年は無視していたのですが、何度も催促状がきたので、2年目に渋々行ったその検診で、まだ、しこりにもならない段階のがんが見つかったのです。

周囲には、がんで亡くなった親類もおらず、なんの不安や疑いももたずに、44歳で初めて受けた検診でした。たまたまその日の医師が乳腺科の専門医だったおかげで発見できたと言われるくらいの、ごく初期の異常をマンモグラフィーで読み取ってもらえたのです。

再検査でグレーと言われ、組織をとって調べる組織診へ進む頃に、ようやく「がんかもしれない」とよぎったくらいで、ほとんど不安はありませんでした。
結果がステージ0のがんとわかったときも「もしかしたら切らずにいられるのではないか」と思いましたが、不安を抱えながら過ごすのも大変なことと思い直し、夫と相談して手術を受けることにしました。

乳房の下方1/4ほどを切る部分切除手術でしたが、ありがたいことに水着を着てもわからない程度の傷ですみました。

●手術後の体調不良を乗り越えてボランティアで活躍中

大変だったのは術後で、麻酔とその後の放射線治療で自律神経が弱り、めまいと息切れ、湿疹に悩まされ、1か月でパートの仕事に復帰するはずが、2か月、3か月と休みが長引き、ついに仕事を辞めてしまいました。

その後も体調不良が続き、ふとしたきっかけで鍼灸に通ってみることに。私には合ったのか体力も回復してきました。
そんな経験から今はペット鍼灸のセラピストになりました。保護された老犬がわが家にいるので、まずは愛犬のために、そして保護された犬たちのためにと活動を開始。

それまではボランティアに気持ちを向けたことはなかったのですが、がんにかかってみると、弱い存在に目がいくようになり、自分にできることはなにかを考えるように。
病気をきっかけに視野が広がり、これから老後へ向けて取り組んでいく目標ができました。

【監修/島田菜穂子先生】
認定NPO法人乳房健康研究会副理事長、ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。筑波大学付属病院放射線科などを経て、東京逓信病院で1993年に乳腺外来を開設。2007年より現職。ピンクリボン運動を通じて乳がん啓発活動に取り組む

<イラスト/macco 取材・文/ESSE編集部>