これでイライラにさよなら!瞑想で疲れない脳をつくる
2017.09.24
  • この記事を
    シェア

「イライラして家族に当たってしまう」「やることが多すぎて全部が中途半端になってしまい、ストレスを感じる」…。それは脳が悲鳴を上げているサインかもしれません。そんなときは、「マインドフルネス」を試してみて。マインドフルネスとは心理学的治療のひとつで、意識的に今ここで起きていることに最大限に集中している脳の状態のこと。この状態を保つとストレスやイライラが減り、生活や仕事の質が向上すると期待されています。

マインドフルネス

瞑想をして、生活習慣を改善すれば脳が疲れなくなる

パソコンやスマートフォンなどの普及によって、現代人の脳への負担は想像以上です。予防医学研究者で、マインドフルネスに関する著書のある石川善樹さんによると、「人間が一日にできる意思決定の量は限られており、今日はどの服を着ようか、メールの返信をどうしようか、と決定するたびに私たちの心はすり減っていきます。心がすり減ってしまうと、私たちは理性でなく、欲望に支配されるように。注意が散漫になり、思考が暴走してしまうんです」とのこと。子どもにイラッとしたり、暴飲暴食に走ってしまうのは、まさに脳が疲弊したサインです。

「そこで注目されたのが、瞑想。仏教の修行僧の習慣である瞑想は、脳を疲弊させる“判断”の作業を一時停止するのに有効です。瞑想のように、ありのままを観察し、“今この瞬間に集中すること”をマインドフルネスと呼び、世界じゅうの企業やアスリートに取り入れられています」。

私たちが挑戦そこでESSE読者が、石川さんに瞑想のやり方をレクチャーしてもらいました。写真中央の清水佑子さんは、カッとなって、つい感情的に子どもを叱ってしまうことが悩み。写真右の三島さおりさんは、家事とパートに追われ、常に心と体が疲れ気味だそう。石川さんの指導で、どう変わっていくのでしょうか?

姿勢、呼吸、心を整えて、緊張やイライラをなくす

瞑想の基本は、姿勢を整える「調身」、呼吸を整える「調息」、心を整える「調心」の3ステップです。

●Step1:姿勢を整える調身(ちょうしん)

現代人が抱える心身の不調の大きな原因のひとつが、姿勢の悪さにあるそう。「スマホやノートパソコンなどに長時間向かうことが多いので、どうしても猫背になりがち。背中が曲がった姿勢では横隔膜を使えないので呼吸が浅くなり、十分な酸素が脳にも体にも行き渡りません。心身が不調になるのも当然です」と石川さん。

マインドフルネス=疲れない脳を手に入れる第一歩は、肺いっぱいに酸素が入るよう、背筋を伸ばして姿勢を整えること。「猫背の人が姿勢よく座ろうとすると、肩に力が入って上がったり、反り腰になりがち。肩の力を抜き、おへその下に力を入れて骨盤を立てるのがポイントです。この姿勢なら、長時間座っても疲れませんよ」。

Step1-1(1)脱力して座る脚が地面に着く高さのイスで、まずはだらんと脱力して座る。背もたれのないイスに座るとやりやすい。視線は3mほど先を見る。

Step1-2(2)背筋を伸ばすおへその下にある丹田に力を入れるようにして、骨盤を立てる。ほかの部分に力が入らないよう注意して背筋を伸ばす。

Step1-3(3)姿勢を整える両肩をすくめるように力を入れ、一気にすとんと力を抜くと、適切な姿勢に。「普段、肩が上がっていたのがわかりました!」(清水さん)。

【ポイント】
・肩が上がらないように
・背中を反らさない
・骨盤と立てる
・おへその下に力を入れる

●Step2:呼吸を整える調息(ちょうそく)

ストレスやイライラ、心身の疲れは、浅い呼吸となってあらわれます。「疲れやストレスがたまっている人は、『調身』のやり方で姿勢を整え、深呼吸をしてみてください。ポイントは、ゆっくりと時間をかけて吐くことです」。

息を吸うときには気持ちを高める交感神経が、吐くときには気持ちを静める副交感神経が働くため、ゆっくりと長く息を吐くことで副交感神経が優位になり、リラックスした状態に。「また、ゆっくり息を吐くことで気分や感情の高ぶりや、衝動的な行動を抑制したりする効果もあります」。1日1回、2~3分、背筋を伸ばして深呼吸するだけでも、脳の疲れがぐんと軽減されます。

Step2-1(1)鼻から3秒かけて息を吸い込む。おなかではなく、肺を満たすように意識して。いっぱいに吸い込んだら、そのまま2秒間息を止める。

Step2-2(2)10秒以上かけ、細く長く息を吐く。口からでも鼻からでもOK。吐く息が吸う息よりもやや高い温度であることに意識を集中して。

吐く時間を長く「吐く時間を長くとりましょう」という石川さんのアドバイスに従ったところ、「緊張していたのに、ゆっくり深呼吸しただけですーっと落ち着きました!」と、三島さんに変化が。
●Step3:心を整える調心(ちょうしん)

調身、調息でリラックスしたら、いよいよ調心=瞑想です。「瞑想は、集中力、想像力、記憶力、意思決定力、家事などの処理能力、コミュニケーション能力などのパフォーマンスの向上が期待されます。つまり、瞑想によって脳の基礎力を鍛えることができるんですよ」。瞑想を長期間続けている人の脳は、瞑想をしたことのない人の脳に比べ、脳の神経細胞の密度が増していることが、脳科学の研究でも報告されています。具体的な瞑想の方法は、「集中瞑想」と「観察瞑想」の2種類。たったこれだけで、脳力の底上げができますよ!

調心

●まずは集中瞑想にチャレンジ

瞑想の基本で、ひとつのことに意識を集中して行います。集中瞑想は、頭の前の方にある前頭前野という部分を活性化。集中力、記憶力、意思決定力が鍛えられます。集中する対象はなんでもかまいませんが、初心者には自分の呼吸がおすすめ。呼吸を数えるだけなので集中しやすく、どこでもできます。「瞑想してしばらくすると、つい別のことを考えてしまいますが、焦らずに『あ、注意がそれたな』と自分の状態を冷静に観察し、また集中に戻るプロセスが大切です」。

調心(1)<集中>自分の呼吸をひと~つ、ふた~つと数え、呼吸だけに意識を集中させる。カウントすることで、余計なことを考えず、一点に集中しやすい。

(2)<気づく>最初は集中できても、続けているうちに注意が散漫になり、ほかのことを考えてしまいがち。大切なのは、集中できていない自分に気づくこと。

(3)<意識のシフト>「あ、まずい」などと焦らず、自分の状態を観察し、落ち着いてゆっくりと意識を呼吸に戻していく。(1)~(3)のプロセスを繰り返す。

立ったままでもいつでもどこでも、立ったままでもできるのでカンタン。「瞑想しているとはわからないから、通勤電車の中でもできますね」(三島さん)。

●慣れてきたら、観察瞑想にチャレンジ

ひとつの対象に集中する集中瞑想に対し、思考や感覚を観察して受け流すのが観察瞑想。「思い浮かんだ考えや感じたことを、もうひとりの自分が幽体離脱しているかのように観察し、『私はイライラしている』『不安に感じている』など、声に出さずに実況中継します。自分を客観視できるようになることで、暴走しがちな感情に振り回されない心をつくることができます。また、ひらめき力をつかさどる脳の領域の活性化にもなります」。

観察瞑想(1)<気づく>今の自分に、湧き上がってくる感情に気づく。たとえば、肩にコリを感じているな、なんとなく不安を感じているな…など、なんでもOK。

(2)<観察する>湧き上がってきた自分の状況や感覚を、もうひとりの自分が見ているかのように、声に出さず心のなかで観察する。よしあしなどは考えない。

(3)<受け流す>湧き上がった感情に名前をつける。たとえば不安を感じているなとわかったら、感情に「不安」という名前をつけて受け流す。それ以上のことは考えずに、感情を深追いしない。

自分の感覚を客観的に実況中継瞑想を終えてみた感想をふたりに聞いてみました。
「普段、いかに浅い呼吸をしていたかを実感しました。深呼吸するだけでも、全然違いますね」(三島さん)、「子どもをカッと怒ったとき、やっぱり感情に振り回されていたんですね。瞑想をしてみたら、そこまで怒ることでもなかったかも…と反省しました」(清水さん)と、ふたりとも、大きな変化を感じたようです。瞑想は継続することで、脳の構造が変化し、ストレスが軽減するといわれます。暮らしに取り入れて疲れない脳をつくり、生活習慣を見直していきたいですね。

●教えてくれた人
【石川善樹さん】

予防医学研究者。企業、組織の健康づくりを研究する「CampusforH」の共同創業者。東京大学医学部を経て、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。専門は行動科学、ヘルスコミュニケーションなど。近著に『疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座』(プレジデント社刊)

<撮影/林 紘輝 イラスト/サノマキコ 取材・文/ESSE編集部>

疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座


アスリートからグローバル企業のパワーエリートまで、過酷な環境で最高のパフォーマンスを出すために実践しているマインドフルネス。ストレスコントロール、糖質コントロール、睡眠のコントロールを効果的に行うための科学的なアプローチが注目されています。その内容を今日から実践できるレベルにまで落とし込みました。