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コロナウイルス感染症対策に。次亜塩素酸水を買うときの注意点

ESSEonline編集部
2020.09.17
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新型コロナウイルス除去に有効、として名前を聞くようになった「次亜塩素酸水」。ですが、どのような特徴があり、どのように扱えばいいのか、よくわかっていない人も多いのではないでしょうか。

長年に渡って一般住宅、大学病院、老人介護施設など異なる環境に存在する「真菌・細菌・ダニ・微小昆虫」などを総合的に調査・研究してきた博士(農学)の川上裕司さんに、詳しく解説してもらいました。

テーブルを拭く様子
弱酸性次亜塩素酸水とは(画像はイメージです)

新型コロナウイルス感染症対策に有効。弱酸性次亜塩素酸水とは

新型コロナウイルス感染症対策に必要な「消毒用エタノールの代替薬剤」としての「弱酸性次亜塩素酸水」の安全性と微生物に対する効果について解説します。

●次亜塩素水と次亜塩素酸ナトリウム水溶液の違い

「次亜塩素水」と「次亜塩素酸イオン水=次亜塩素酸ナトリウム水溶液」は、名称が似ていることから混同されやすいのですが、安定性の観点からは大きく異なります。
図42に両者の違いを示します。殺菌力の主体は、どちらも「次亜塩素酸」で、pHに依存して性状が変化するのが特徴です。

弱酸性次亜塩素酸水と次亜塩素酸イオン水の違い
図42

「次亜塩素酸イオン水(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)」は、アルカリ性ですので、皮膚刺激があります。読者の皆さんが日常的に使われているキッチン用漂白剤やカビ取り剤の主成分が「次亜塩素酸ナトリウム」です。製造上の理由から、多量の『苛性ソーダ』を含むため、皮膚のタンパク質を溶かし、吸引すると口腔内や鼻腔内に炎症を起こします。また、不安定で、多量の『有害塩素ガス』を発生しやすく、強い酸化力を持つのに、強いアルカリ性であるため、金属腐食や有機物を分解する危険がついて回ります。

これに対して、「次亜塩素水(弱酸性次亜塩素水、微酸性次亜塩素水)」は、pHが中性付近(pH4.5~pH7.5)であり、皮膚刺激性が極めて少ないのが特徴です。そのため、手指の除菌に使うことが可能です。

「次亜塩素酸水」は、従来の次亜塩素酸ナトリウムが持つ極めて高い殺菌力の利点を活かしたまま、「皮膚に優しい」「誤って口に入っても安心」「漂白や金属腐食の心配がない」「空間噴霧が可能」などの注目すべき特徴があります。
また、使用する際の利点として、次の6つが挙げられます。

(1) 反応後は塩と酸素と水に分解して安全である
(2) 食品に使える
(3) 強い殺菌力がある
(4) 抗菌スペクトルが広い
(5) 引火しない
(6) 低コストで製造できる

●国の「次亜塩素酸水」についての見解

令和2年6月26日付け、経済産業省、消費者庁、厚生労働省合同で『「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)』という公報が出されました。公報の文章は以下のとおりです。

(独)製品評価技術基盤機構(NITE)及び経済産業省において、新型コロナウイルス除去の物品に対する有効性を検証した結果、「次亜塩素酸水」については、一定の条件で有効性が確認されました。これを受け、有効性・使い方・販売方法等でお気をつけて頂くべき点をお知らせします。

<有効な「次亜塩素酸水」の範囲と使い方の注意>
→ 流水でかけ流すとき:有効塩素濃度35ppm以上のもの
→ 拭き掃除に使うとき:有効塩素濃度80ppm以上のもの

※汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去すること。
※ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かしたものは有効塩素濃度100ppm以上(その他の製法によるものは、製法によらず、必要な有効塩素濃度は同じです)
※元の汚れがひどい場合は200ppm以上が望ましい

・NITEと経済産業省が国立感染症研究所等の専門家の協力のもとで行った、「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価」事業の成果をもとにしています。
・対象物と接触させて消毒する場合の効果を評価したものです。
・手指等への影響、空間噴霧の有効性・安全性は評価していません。

●使用上の注意と今後の課題

この公報で、次亜塩素酸水を使って対象物から新型コロナウイルスを除去する場合は、以下の点に注意が必要と明記されています。

・塩素に過敏な方は使用を控えるべきこと。
・飲み込んだり、吸い込んだりしないよう注意すること。
・次亜塩素酸水を、まわりに人がいる中で空間噴霧することはお勧めできないこと。

これを読むと、弱酸性次亜塩素水の使用について関係省庁と製造・販売元の意見の相違が見られます。

「次亜塩素酸水」は非常に不安定な物質であることは事実で、そのため製品の組成安定性が不可欠です。消費者が安心して使用するためには、正しい製造と使用方法の啓発が必須となります。
しかしながら、これまで明確な規格基準や運用ルールがなかったことから、さまざまな製法による製品、なかには組成の安定性に問題がある粗悪品や製品独自の安全性データ(経口毒性・皮膚刺激・吸入毒性)を得ていない製品、過剰な表示があるなどの粗悪品が市場に流通し、消費者に混乱を与えていました。

一般の方々が購入する際の注意点として、第一に、「製品表示が明確であるかどうかを確認する」こと。第二に、「製品の安全性データと微生物殺菌データがあるかどうかを確認する(パンフレット・ホームページ)」ことが賢明です。
表示については、下記に準じた事項は必須です。

<表示例>
商品名:ジアパワー(仮称)
内容量:200ml
液性:微酸性(pH5.5~6.5)
主成分:次亜塩素酸(原料:次亜塩素酸ナトリウム、希塩酸)
塩素濃度:100ppm(製造時)
使用期限:ボトル記載の製造年月日から1か月間
使用上の注意:明確に列記されていること!

今後、今年設立された2つの社団法人「一般社団法人次亜塩素水溶液普及促進会議」「一般社団法人次亜塩素化学工業会(Hypochlorous acid Chemical Industrial Association、略称「HCIA」)」と、経済産業省、消費者庁、厚生労働省といった関係省庁の、継続的な意見交換と安全かつ有効な製品の基準づくりが課題となると思います。

●「次亜塩素酸」を過剰に有害視すべきではない

新型コロナウイルス感染症の終息までには、まだしばらくかかることが予想されます。また、季節型インフルエンザ感染症やノロウイルス感染症は、今後も毎年発生することは間違いありません。感染経路となる室内環境(密閉空間)を対象とした、安全かつ確実に病原微生物を殺菌・不活化する薬剤は不可欠です。

「塩素=塩素ガス」を想起して過剰に有害視される方もいます。反対意見を述べる方は、日本の優れた上水道にしても、水泳プールの安全性の担保にしても「次亜塩素酸」は普通に使用されている不可欠な存在であり、安全な使用法と抗菌スペクトルが広いという科学的データを示す学術論文は、世界中から沢山出されていることに真摯に耳を傾けるべきだと思います。

※本記事は、「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」の内容を一部抜粋・要約したものです。

「弱酸性次亜塩素水によるエアロゾルの制御」についてさらに知りたい方はこちらもぜひチェックしてください。

●教えてくれた人
【川上裕司さん】

博士(農学)。(株)エフシージー総合研究所暮らしの科学部(フジテレビ商品研究所)取締役・部長。環境微生物を専門とする。エフシージー総合研究所公式サイト内で「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」のコラムを掲載中