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夏季は布マスクで十分。熱中症を避けつつ免疫力が上がる生活を

ESSEonline編集部
2020.08.12
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新型コロナウイルス感染症の感染者数が増えていると、日々報道されています。不安をあおるような情報も少なくありません。

長年に渡って一般住宅、大学病院、老人介護施設など異なる環境に存在する「真菌・細菌・ダニ・微小昆虫」などを総合的に調査・研究してきた博士(農学)の川上裕司さんに、マスクの着用方法をはじめ、この感染症に対してどのような心がまえでいるといいのかを解説してもらいました。

運動をする女性
過剰なマスク着用には注意が必要です(写真はイメージです)

マスクの過剰な着用は危険。3密を極力避けながら免疫力を高める生活を

●マスクの過剰な着用を煽る不可解な情報

先日、買い物のついでに、東京都武蔵野市にある井の頭自然文化園に寄ってみました。
驚いたことに、小雨まじりのなか、池の周りを散歩する方の多くがマスクをして歩いていました。園内にはられていた注意書を読むと「園内ではマスクを着用すること。マラソンをする人は、マスクかフェイスシールドを着用すること」と書かれていました。調べたわけではありませんが、都内のほかのオープンスペースの公園でも同じような注意書がはられているかもしれません。

これは過剰な注意喚起だと思います。新型コロナウイルスの感染経路に関する公園管理者の誤った解釈によって、一般の方々の不安を煽る悪しき所作の一例でしょう。

テレビ番組で、感染症の専門家と称する方が、「マスクの表面にはウイルスが付着している可能性があるので、マスクの表面には触らないように(外し方から置き方まで)」と医学的根拠が示されていないことを真顔でクドクドと解説していました。
マスク表面からの感染リスクが本当に高いのでしょうか? それを述べるならば、額、眼、頭髪へのウイルス付着の可能性もマスクと同様で、よく頭髪や顔面を触る方の場合、髪に触れた際には必ず手洗いをするか消毒用エタノールで手指消毒をしなければ、感染リスクが高いということになります。
マスクとともに防御用のフェイスシールドと帽子を被らないと、怖くて外出できないと言うのでしょうか?

屋外での不必要なマスクの着用は止めましょう
図40

ザーザー降りの雨の中や炎天下で、マスクをして歩く方の姿を見かけますが、不要なマスクの着用は意識的に止める方が賢明です(図40)。
夏季のマスク着用による感染対策の意味は、冬季とは異なります。「自分の唾(飛沫)を飛ばさないこと。また、他人の唾(飛沫)を吸い込まないこと」です。

その観点から夏季は布製マスクで十分です。会議などで複数の方と会話をして飛沫が不安な場合に限って、そのマスクを外して表面に消毒用エタノールを噴霧した後、チャック式のポリエチレン袋に収納し、新しいマスクをすれば、それで十分です。
どうしても、手指からの感染が心配な場合には、アトマイザー(小型スプレーボトル)に消毒用エタノールを入れて持ち歩き、感染が気になる箇所に手指が触れたときに、手指にシュッとひと噴きすれば効果的です。

●自分自身が新型コロナウイルスの感染症とどう向き合うかが大切

現状を鑑みると、新型コロナウイルス感染症の終息までには、あと1年間はかかると考えていいでしょう。現代を生きる人類が初めて経験した「世界的なパンデミック」ですから、さまざまな意見が飛びかうのは当然のことです。
「感染症の専門家」と呼ばれる医師や研究者の考え方、「免疫学」の医師や研究者の考え方、そして、「ウイルス学」の研究者の考え方はそれぞれ異なります。筆者は、環境微生物学の研究者で、それぞれの意見を客観的に見ようと日々、心がけていますが、本当になにが正しい対策であるかは、終息後に分析してみないと答えは出ないように思います。

ではどうすればいいでしょう。
以前のコラムでも述べましたが、人まかせにするのではなく、「自分自身がどう向き合い、生活するのか=自分がどう闘うのか」を考えて、日々の生活を極力平穏に過ごすことが大事だと、筆者は考えます。
「今日は感染者が何人出ました!」という情報ばかりに気を取られていると、どうしてもマイナス思考に陥って、かえって、免疫力を落とすことに繋がります。

「病は気から」という諺は、だれでもご存知だと思いますが、どの専門の医師に聞いても「精神的なストレスは、疾病を助長させる」と言われます。
極論ですが、「不顕性感染(無症状)して、免疫がついたら儲けもの」くらいに考えて、「感染したらどうしよう、家族にも、職場にも迷惑をかけるし、やっぱり感染したら大変だ!」と自分を追い込むような考えはしないようにしましょう!

筆者がこれまで述べてきた「3密を極力避けて、普通に通勤通学して、十分な睡眠、バランスのいい食事、適度な運動をして、お笑い番組などを観て笑う」ことが真っ当な感染対策だと思います。完全テレワークではなく、週に1日か2日程度組み込むのが体を休める観点からも妥当だと、筆者は考えます。

●自分の力、免疫力を上げて感染防御力を強める

最後に、筆者がおすすめする書籍を紹介します。本間真二郎著『感染を恐れない暮らし方 ~新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫~』(講談社刊)です。
著者の本間真二郎医師は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health,NIH)でウイルス学とワクチン学の研究に従事し、その後、札幌医科大学で新生児集中治療室の室長を務め、現在は栃木県那須烏山市にある七合診療所所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らし方を実践されている方です。
本間医師は、本書の中で以下のように述べています。

“新型コロナウイルスの感染対策には2種類あることをまず念頭に入れてください。一つは感染を防ぐという対策。もう一つは感染をしても大丈夫という対策で、私は2番目を強調しています。感染を防ぐのは自分の外側である『他者の軸』で、自分の力、免疫力を上げて感染防御力を強めるのは内側で『自己の軸』です。もちろん感染対策には両方が大事ですが、ほとんどの人は最初の方の感染をいかに防ぐかという視点しかないように思いますね。リスクが高い人でも自然に沿った生活をすることによって、重症化のリスクをかなり下げることができると思います”

ウイルス学とワクチン学(免疫学)の研究に従事され、更に、臨床の現場で多くの患者さんの治療にあたり、自然派生活を送っておられる本間医師の考え方に、筆者は強く感銘を受けました。「感染症の専門家」と称する多くのテレビ番組コメンテーターとは、言葉の一つ一つの深みが違います。コロナ渦の生活に疲弊していると感じている方は、ぜひ、一読することをおすすめいたします。

※本記事は、「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」の内容を一部抜粋・要約したものです。「新型コロナウイルスの情報になにが不足しているのか?」についてさらに知りたい方はこちらもぜひチェックしてください。

●教えてくれた人
【川上裕司さん】

博士(農学)。(株)エフシージー総合研究所暮らしの科学部(フジテレビ商品研究所)取締役・部長。環境微生物を専門とする。エフシージー総合研究所公式サイト内で「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」のコラムを掲載中