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夏は熱中症対策に「布マスク」の活用を。屋外ではつけないことも大事

ESSEonline編集部
2020.06.13
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新型コロナウイルスの感染防止にマスクは有効ですが、夏場にマスクを着用することで、熱中症を引き起こすおそれもあります。

厚生労働省も、「屋外で人と十分な距離が確保できる場合にはマスクを外すこと。高温多湿の中でのマスク着用は体に負担になるので避けてほしい」とコメントを発表。
屋外で他の人と2メートル以上の距離が取れる場合はマスクを外すこと、着用時には負荷のかかる作業や運動を避け、適宜外して休憩を取ることの推奨、エアコンによる温度調節やこまめな水分補給など、従来の熱中症予防策にも取り組むことを求めています。

マスクをつけてもらう子ども
夏場は熱中症にも注意が必要です

夏場のマスク着用に注意。とくに幼児や小・中学生に屋外でのマスク着用を強要しない

長年に渡って一般住宅、大学病院、老人介護施設など異なる環境に存在する「真菌・細菌・ダニ・微小昆虫」などを総合的に調査・研究してきた博士(農学)の川上裕司さんは、「屋内では不織布製と布製を使い分け、屋外では外すことをすすめます」と話します。
厚生労働省の指針も踏まえて「夏場のマスクの使用方法」について解説してもらいました。

●屋外でのマスク着用について検証

サーモグラフィ画像
図26

図26をご覧ください。筆者の自宅から最寄駅まで徒歩で約15分かかりますが、それに合わせてマスクを着用して15分間歩き、その後、顔面のサーモグラフィ画像を撮影しました。
この画像を撮影した5月28日午後2時に、サーモレコーダーで測定した撮影地点の気温は27.7℃、湿度48%でした。

夏日とは言え、これから梅雨に入り、刺すような陽射しとなる真夏の気候より気温・湿度とも低く、汗ばむ陽気というよりもさわやかな天候でした。また、風速3m程度の風(木の枝や洗濯物が揺れる)が吹いていました。風速が1m増えるごとに、体感温度は1℃下がると言われていますので、体感的には測定気温よりも低く感じました。
このような気象条件での検証でしたが、不織布のマスクと布製マスクを比較してみると、不織布マスクの方が布製マスクよりもマスク内と目元から額にかけて温度が、若干高くなっているのがお判りいただけると思います。

この検証とは別に、不織布マスクと布製マスクを比較するために、それぞれ3種類ずつ異なる形態のマスクを着用して、晴天の屋外を歩いて体感的な違いについて調べてみました。その違いについて端的に言えば「不織布マスクは顔面との隙間が少なく素材的にも密閉性があるため、布製マスクよりも暑く感じる。また、不織布マスクはマスク内に汗をかくと、布製マスクのように直ぐに吸収されにくい」ということです。
恐らく、読者の皆さんも同様の使用感の違いを認識されているのではないでしょうか。

●夏季は不織布マスクと布製マスクを使い分ける

マスクの使い分けの一例
表10

筆者は、これまでのコラムでも、新型コロナウイルスの感染症対策として、マスクの着用が一定の効果があることを啓発しています。
表10に筆者が推奨する不織布マスクと布製マスクの使い分けについて示します。感染リスクが高いと思われる場面ではしっかりマスクを着用し、それ以外の場面ではマスクを外すことが大切です。
前述したサーモグラフィ画像でも示したとおり、真夏の屋外でのマスクの着用は熱中症のリスクが高く、逆に、感染リスクが極めて低いことを考慮して着用しないようにしましょう。

職場においては、それぞれの職場での決まりがあるかもしれませんが、「自分のデスクで黙ってパソコンで仕事をするときにも、絶対にマスクをすること!」といった決まりを社内でつくり、全社員に四六時中マスク着用を強要することはパワーハラスメントだと考えます。デスクトップパソコンのモニターは飛沫の阻止効果があるはずです。
出勤時から帰宅するまで1日中マスクを着用することは、呼吸を妨げることの連続ですので、体調不良を引き起こすこともあります。

布製マスクは、スポーツ用の素材などを使ったフィット感と吸収速乾性、さらに抗菌性を付加した優れた日本製商品が多種類販売されています。夏季は自分に合った布製マスクを使うことをおすすめします。

●幼児や小・中学生に屋外でのマスク着用を強要しない

インフルエンザウイルスも飛沫感染と接触感染が主たる感染経路ですが、冬季の暖房によって乾燥した密閉空間では空気感染することが知られています。新型コロナウイルスの場合も、同様のことが懸念されますが、夏季の開放空間で空気感染することはないことを認識することが大切です。
気温30℃・湿度50%以上の高温多湿な環境下では、インフルエンザウイルスはほとんど生存できません。新型コロナウイルスも同様です。

筆者がとても心配しているのは、小学生や中学生の通学時と授業中のマスク着用です。

雨降りの中ではマスクはしない、水筒は天候に関係なく持参する! 教室では布製マスク着用し、窓を開けて換気する!
図28

図28をご覧ください。筆者は、天候に関わらず通学時のマスク着用は止めるべきだと啓発します。とくに、雨天の日までマスク着用を強要することは、新型コロナウイルスの感染予防として意味がないと思います。また、毎日水筒を持たせて、子どもたちにこまめに水分補給させてほしいというのが切なる願いです。

マスク着用に関する学校の取り決めは、地方自治体の教育委員会や学校長の考えに依るところが大きいと思います。しかしながら、過剰なマスク着用は前述のような理由で筆者はおすすめしません。同意見として、小児科や内科の医師は、おおむね次のように啓発しています。

【夏場は高温多湿な気候と、それに伴う発汗によって身体から水分が排出され、熱がこもって熱中症のリスクがあります。とくに、体温調節が苦手な幼児と高齢者は注意が必要です。マスクを無理に着けさせる必要はなく、手洗いや換気の徹底などを優先すればいいでしょう】

「子どもは通学時に友達同士が至近距離でしゃべったり、ふざけ合って身体を接触させることが多いから通学時にもマスク着用すべきだ」との意見もあるかもしれません。しかしながら、そこまで心配するような方々は、「密閉度が高い不織布マスクを必ず着用し、通学時・授業中・帰宅時に必ず新しいマスクと交換しなければならない」といった極端な議論に発展しかねません。

読者の皆さんもご存知のとおり、中国で、生徒がマスクを着用したまま激しい運動を行って突然死する事故が相次いで発生しています。あってはならない事故であり、筆者も胸が痛みます。
同様の事故を再び起こさないように、炎天下の中、マスクを着用して校庭を走り回るようなことを決して子どもたちにさせてはなりません。

※本記事は、「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」の内容を一部抜粋・要約したものです。

●教えてくれた人
【川上裕司さん】

博士(農学)。(株)エフシージー総合研究所暮らしの科学部(フジテレビ商品研究所)取締役・部長。環境微生物を専門とする。エフシージー総合研究所公式サイト内で「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」のコラムを掲載中