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コロナウイルス対策の正しい手洗い。日本の水道水が優秀な理由とは

ESSEonline編集部
2020.06.05

新型コロナウイルスの感染対策として、手洗いうがいに加え、消毒剤を使うことがうたわれています。

「一般の方々が生活のなかで正しく意識しなければならないのは、除菌と消毒という2つの用語です。これを意識することで、神経質になりすぎたり、消毒剤を過剰に使用することを緩和し、適切な対処に繋がります」と話すのは、長年に渡って一般住宅、大学病院、老人介護施設など異なる環境に存在する「真菌・細菌・ダニ・微小昆虫」などを総合的に調査・研究してきた博士(農学)の川上裕司さん。

生活環境での手洗いの正しい手順と消毒剤の使い方について、詳しく寄稿していただきました。

手を洗う子ども
帰宅したらまず手指の消毒を。その後、手洗いへ(写真はイメージです)

新型コロナウイルス感染対策。夏に向けて「次亜塩素酸ナトリウム液」でふき掃除を

●除菌、消毒、手洗いの意味

殺菌、消毒、除菌、抗菌といった用語が日常で何気なく使われています。しかしながら、新型コロナウイルスの感染症対策において、一般の方々が生活のなかで意識しなければならないのは、除菌と消毒という2つの用語です。

日々励行している手洗いが「除菌」にあたります。近年、市販されている洗剤などの商品に「除菌」という用語が表示されていることもあり、殺菌や消毒という用語としばしば混同されることが多いようです。しかしながら、「除菌」の本当の意味は微生物を対象物から物理的に取り除くことです。
また、殺菌と近い意味のため、間違って使われることが多い「消毒」の本当の意味は、病原性のある微生物を対象物から害のない程度まで数を減らしたり、無毒化することです。

●消毒の方法

科学的消毒法 消毒薬を用いる方法
表9

表9に消毒剤を用いる際の解釈とその目的のために使用する消毒剤の種類を示します。ここに示す「高水準」とは病院の手術室などの清潔区域での消毒を意味するので、新型コロナウイルス感染症対策として必要な水準は「中水準」です。
前述のとおり、生きている(活性のある)ウイルスの数を減らし、不活化させて感染できないようにするための処理が消毒であり、100%死滅させることが目的ではありません。これは対策のためにとても大事な概念です。

新型コロナウイルスはエンベロープウイルス(インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなど)ですので、消毒用エタノールによってエンベロープを破壊して不活化することができます。

●まず消毒してから手洗いを

手指消毒と手洗いの順番について
図24

図24に筆者が推奨する手洗いと消毒剤を使用する手順を示します。筆者も日々自宅や職場で励行していることです。

まず大切なことは玄関のシューズボックスの上などに、消毒剤を置くことです。多くのオフィスビルの玄関口にも自動消毒剤噴霧器が設置されていることを目にします。帰宅したら、靴を脱ぐ前に手指に消毒剤を噴霧して、とくに指先の消毒に心がけてください。その後、すぐに洗面所へ行き手洗いとうがいをしっかり行いましょう!

先に手指の消毒をしなかった場合、洗面所に行くまでの間に、玄関のたたき、ドアノブ、テーブル、イス、そして、うがい用のコップにウイルスが移染することが懸念されます。

水道水の流水を使った手洗いの仕方は、たくさん情報が出ていますので、ここでは割愛します。大切なことは洗浄剤を使ってよく泡立てて洗うことです。

●日本の水道水には正しく塩素が含まれている

この機会に、日本の水道水は歴史的にみて、感染症を考慮した世界一優れた水道水であることを再認識しましょう。なにが優れているかといえば、塩素濃度の管理が、1957年(昭和32年)に制定された水道法によって、「蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上1mg/L以下(0.1~1ppm)に保持する」と定められ、遵守されているからです。

東京都水道局では、残留塩素濃度を水道法で定められている0.1mg/L以上、水質管理目標設定項目の目標値である1mg/L以下を蛇口において常に確保できるように管理しています。塩素濃度が管理された日本の水道水を使って手洗いをすることは、塩素管理に不備がある諸外国に比べて、ウイルスを不活化するために優位であると言えます。

しっかり手洗いを励行すればそれだけで十分ですが、家族が多い家庭や子どもがいる家庭では、食事をする前に消毒用エタノールを手に噴霧するとさらに安心です。

●夏季へ向かって消毒剤の使用についての提案

新型コロナウイルス感染症は、終息には至っていませんが、第1波を超えることができました。今後は、良識ある免疫学の専門家が指摘してされているように、「集団免疫の獲得」が終息の1つのカギとなると筆者も考えます。

前回も述べたように、夏季の気候はヒト側に優位であることは間違いありませんが(恐らく集団免疫獲得の観点からも)、注意すべきは高温多湿の環境を好み、夏季に活性が高まるノンエンベロープウイルスが原因となる夏風邪(6月末から7月にかけて流行する風邪症候群)です。
アデノウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなどによる感染症で、発熱、腹痛、下痢、喉の痛みなどの症状が出ます。また、稀に、夏季にインフルエンザに感染する方もいます。

賢明な読者の皆さんは、お気づきのことと思いますが、「PCR検査をしないかぎり、新型コロナウイルス感染症と見分けがつかず、更に、夏風邪が回復した直後の弱った身体に新型コロナウイルスが感染する」ことが懸念されます。

そこで、筆者が推奨したいのは、これからの季節は「次亜塩素酸ナトリウム液」(市販のキッチン用漂白剤を0.05%に希釈した液:保健所推奨)を意識的に使用することです。
とくに、ドアノブやテーブルなどの生活環境中の消毒処理は、エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの両者に対して効果のある「次亜塩素酸ナトリウム液」を染みこませた布でふき取るといいでしょう。この場合、必ずゴム手袋をして使う必要があります。

※本記事は、「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」の内容を一部抜粋・要約したものです。

●教えてくれた人
【川上裕司さん】

博士(農学)。(株)エフシージー総合研究所暮らしの科学部(フジテレビ商品研究所)取締役・部長。環境微生物を専門とする。エフシージー総合研究所公式サイト内で「新型コロナウイルス感染症対策~IPM研究室~環境微生物学の研究者~の立場から~」のコラムを掲載中

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