医師が語る体外受精のリアル。成功率はこの10年で倍に
2019.11.07

子どもがほしい夫婦が不妊治療を続けるなかで選択肢となる「体外受精」。しかし、具体的な治療内容やどのような場合に選択するのかなど、詳細についてきちんと知らない…という方も多いのではないでしょうか。
現在妊活中の方も、検討中の方も、まずは体外受精について正しく理解しておきましょう。
杉山産婦人科理事長で、不妊治療の専門家である杉山力一先生に伺いました。

体外受精について正しく理解しておきましょう
お金も時間もかかる体外受精。夫婦で話し合いましょう ※写真はイメージです

1回の体外受精に何日かかるの?-体外受精のスケジュール-

体外受精とは、「体外に取り出した卵子と精子を受精させ、受精に成功した受精卵を子宮内に戻し、着床を促す治療方法」です。その流れは、「排卵誘発→採卵・採精→受精→胚培養→胚移植」というステップに分かれます。

体外受精のステップと通院スケジュールを照らし合わせて、体外受精とはどんな治療なのかイメージしていきましょう。

●1.体外受精治療開始1日目~3日目:検査

月経開始から1日~3日目にあたるこの時期には病院にて検査を受け、ホルモン値を確認します。そしてホルモン値に問題がなければ第1のステップである「排卵誘発」が始まります。

●2.体外受精治療開始4日目~8日目:排卵誘発

排卵誘発とは、「排卵誘発剤」と呼ばれる薬や注射を使って、卵胞(卵子)を発育させ排卵を促し、質のいい卵子が採取できるように準備をすることです。検査の結果、排卵誘発を行うことになった場合、合計0~3回の排卵誘発を行います。
注射は病院で行う場合と自宅にて行う場合があり、忙しくて病院に毎日注射を打ちにいけないという方は専門医の指導のもとご自身で注射を打っていただくことも可能です。

●3.体外受精治療開始9日目頃~:排卵日の決定

排卵誘発を行った後は、第2のステップである「採卵」「採精」を行う日を決定します。採卵日は卵胞の状態によって決めていきますが、決定までには2、3回の通院が必要です。検査の結果ホルモンや卵胞の状態がよいとされた2日後に採卵を行います。

●4.体外受精治療開始11~16日目ごろ:採卵

採卵は、膣の洗浄を行った後、採卵針を用いて卵胞から卵子を採取します。このとき、痛みを伴う場合がありますので、麻酔の有無をあらかじめ相談しておくことをおすすめします。
採卵の際には入院は必要ありませんが、朝来院し午後は安静に過ごすという流れで治療が進むため、お仕事をしている方はお休みする場合が多いようです。

また、採卵と同じ日に採精も行います。病院の採精室にて採取する方法と、採卵当日の朝に自宅で採取した精液を持参する方法を選べるので、事前にパートナーと相談しておきましょう。

●5.体外受精治療開始12~17日目頃:受精・胚培養

受精・胚培養
※写真はイメージです
採卵が終了すると、第3のステップである「受精」が行われます。
受精に成功した受精卵は、専用の培養液で培養されます。これが第4のステップである「胚培養」です。培養中に受精卵は細胞分裂を開始し、「胚」と呼ばれるようになります。胚培養の期間は2~3日または5~6日とされています。
受精・胚培養の期間は通院の必要はなく、自宅にて受精結果を待つこととなります。

●6.体外受精治療開始14~21日目ごろ:(新鮮胚の場合)胚移植

胚培養が終わると、再度通院し第5のステップである「胚移植」を行うことになります。
胚移植とは培養した受精卵(胚)を子宮内に戻すことです。
胚移植後には妊娠しやすい子宮環境をつくるため、黄体ホルモン剤の投薬・注射を行いながら、妊娠結果を待ちます。

●7.体外受精治療開始28日~35日目ごろ:妊娠判定

妊娠判定
※写真はイメージです
採卵からおよそ2週間後・前回の月経からおよそ1か月後にあたるこのステップでは、血液検査によって妊娠しているかを判定できます。妊娠していた場合には1、2週間後には胎児の心拍が確認できます。

続いて、体外受精にかかる金額や成功率などをみていきます。

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