打ち合わせや情報収集を重ねても、家を建てたあとで「失敗した」と後悔する部分はあるもの。ハウスメーカーで家を建てて今年で丸10年になる日刊住まいライターもそのひとり。建てるときには、本やネットから情報を仕入れ、設計士とも討論を重ねて、納得のいく家を手に入れたつもりでした。しかし、キッチンで後悔している部分が、3つあるそう。自分らしい、いい家を建てる、参考にしてください。

キッチンの通路
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キッチン通路幅が足りない!冷蔵庫と食器棚の扉のことを考慮しなかった浅型の食洗機を選択したら、鍋やフライパン、大きな皿を洗えない!オイルキャッチ機能つき換気扇は、効果がなく掃除しづらいだけだった!自分のスタイルにあっているかどうか、妥協せずに考えることが大切!

キッチン通路幅が足りない!冷蔵庫と食器棚の扉のことを考慮しなかった

キッチンの通路を100㎝にしたのに、冷蔵庫が出っ張ってしまった

家を建てる前は、アパートを借りて暮らしていました。アパートでは、夫が料理の手伝いなどでキッチンに立つと、とても窮屈。ハウスメーカーで家を建てるにあたっては、早い段階で設計士に、「キッチンの通路幅を広めにとりたい」と、伝えていました。

構造的にはもう少し広くとることも可能でしたが、「通路幅が広いと、食器棚に手が届かなくなり、ムダな動きが増えたり、使い勝手が悪くなったりする」と設計士に言われて100㎝にしました。

確かに、食洗機で洗った食器を一歩も動かずに食器棚に戻せることや、食器棚側に設置してあるゴミ箱に、ストレスなくゴミを捨てられることはよかったと思います。

しかし、その100㎝幅は冷蔵庫の奥行きについては、考慮されていませんでした。結果、家族がよく利用する冷蔵庫とコンロの間に限っては80㎝に。筆者が調理中に、後ろの冷蔵庫をだれかが開けようとすると、とても窮屈。そのたびにお互いに、狭くてストレスを感じてしまいます。

冷蔵庫がいちばん奥にあるため、食事前になると飲み物を取りに来る人が、筆者の後ろを通ります。また、調理台の上で食材を切っているときに、箸や取り皿を取りに来た子どもに食器棚を開けられると、扉を開けたぶん、狭くなった通路が子どもと筆者でぎゅうぎゅうに。危険ですし、やりにくさを感じます。あと15㎝くらい広く幅をとりたかったというのが正直な感想です。

幅を希望通り広くしていたとしても、設計士が言ったとおりの後悔をしていたかもしれません。しかし最初に希望していたことを、設計士の言葉で覆してしまったからこそ、余計に強く残念に感じるのがこの通路幅の広さです。

設計士の話では、キッチンの通路幅は70~120㎝の間で設定するそう。メインで使うのがひとりなら、90㎝くらいで十分だという方が多いとのことでした。

浅型の食洗機を選択したら、鍋やフライパン、大きな皿を洗えない!

後ろで食器棚を開けられると窮屈

食洗機は、雑誌やネット、先に家を建てた友人からの感想などを総合的に判断して、深型にしようと思っていました。しかし、設計士には浅型をすすめられました。

設計士もすでに注文住宅を建てられており、「深型にしても案外、鍋やフライパンまでは洗わない」とのアドバイス。また、ハウスメーカーでは浅型の食洗機が標準装備だったことも理由です。深型にするとグレードアップ扱いになり、標準装備を選択した場合と比べて、価格面の差がかなり大きかったからです。

しかし、実際に暮らし始めると、浅型では鍋やフライパン、大きな皿を洗えないことに不便を感じることに。

最近、食洗機の乾燥機能が弱まってきたことをきっかけに本体を交換しました。その際にも新しく購入するものは深型にしようか考えましたが、浅型から深型に変更するとなると、下の引き出しの部分から丸ごとの交換になります。そして費用も割高に。あとづけ感が強くなって、見た目もよくないということもわかったので、浅型のままにしました。

最初の時点で深型を選んでおけば、鍋やフライパンだけでなく、菜箸も箸設置スペースに立てて置け、長い皿もそのまま洗うことができたのにと後悔しています。

オイルキャッチ機能つき換気扇は、効果がなく掃除しづらいだけだった!

オイルキャッチ機能つき換気扇

家を建てた当時は、オイルキャッチ機能つき(換気扇内にたまった油がトレイの中に集まり捨てられるため、手入れが簡単になるという機能)が流行っていました。

同時期に家を建てた2人の友人も、4年前にリフォームをした実家の換気扇も、オイルキャッチ機能を選択。換気扇の掃除は少しでも簡単な方がいいと思ったことと、標準で選べる換気扇のなかに選択肢があったため、筆者もなにも迷うことなく選びました。

購入して10年たつわが家では、たまに1滴、油っぽいものが落ちていることはあります。しかし、トレイにオイルがたまったことはありません。故障かもしれないと、半年、1年、3年、メーカーに不良品ではないかと問い合わせをしたり、ハウスメーカーの定期点検で伝えたりしていましたが、以下のように言われました。

  • 調理内容や使用方法によってはオイルトレイに油がたまらない場合がある。
  • 不良の場合は、設置面の継ぎ目から汚れが吹き出すような感じになる。その現象が出ていないようなら不良とは考えづらい。

そもそもわが家では、揚げ物はたまに唐揚げやフライドポテトをするくらい。フライは外で食べるか総菜でというスタイルなので、一度に大量の油が換気扇に流れ込む機会は多くありません。シロッコファン自体の吸い込みパワーも強いらしく、そちらで油が処理しきれていてトレイに流れる油はないのでしょうとも言われました。

オイルキャッチ機能がついていることで換気扇内部の構造が若干複雑になっているため、逆に掃除がしづらいというデメリットしか体感できていません。設備を選ぶときには、自分の料理のスタイルをもっと考慮すべきだったなと反省しています。

自分のスタイルにあっているかどうか、妥協せずに考えることが大切!

ダイニングからキッチンの通路を見る

専門家のアドバイスを採用して後悔しても、それは専門家や教えてくれた人が悪いわけではありません。一般的に最適とされていることが、自分の家には当てはまらないことはあるもの。

自分のライフスタイルをいちばんわかっているのは、やはり自分なのではないでしょうか。確信を持つのは難しいかもしれません。でも、自分のスタイルにあっていると感じたら、妥協せずに進める。それが、家づくりには大切だと経験しました。