子どものためには応援したいけれど、実際、なにかとお金がかかるのが中学受験。高い教育費は、家計の大きな負担になります。今回の相談者・小野寺玲子さんも、そんな事態に直面しているひとり。
「2人の子どもの中学受験で、貯蓄が激減してしまい、今後が心配です」
そんな悩める小野寺さんの家計診断を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんがしてくれました。はたして改善すべきポイントはどこにあるのでしょうか?

家計のお悩み

<悩める人を家計診断>2人の子どもの受験で貯蓄が激減。この先の教育費などが不安です

【相談者】

小野寺玲子さん(仮名) 神奈川県・45歳(会社員)
夫46歳(会社員)、長女15歳、二女13歳

【お悩み】

長女が小4から受験塾に通い始め、私立中学入学までに600万円以上も費やしてしまいました。姉の姿を見た二女も私立中学を目指し、同様に600万円以上の出費で貯蓄は激減。中学の学費が2人で年200万円かかり今後が心配で…。

【小野寺さんの家計収支】

<収入>
夫の月収(手取り) ¥200,000
妻の月収(手取り) ¥150,000
児童手当 ¥20,000
収入合計 ¥370,000

<支出>
住居費(ローンは完済、管理費・修繕積立金) ¥30,000
食費 ¥80,000
外食費 ¥10,000
電気料金 ¥5,000
ガス料金 ¥5,000
水道料金 ¥5,000
通信費(ケータイ8台分、プロバイダー、NHK受信料) ¥60,000
新聞代 ¥6,000
雑費 ¥60,000 

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教育費 ¥80,000 

←check3

クルマ費 ¥10,000
駐車場代 ¥15,000
こづかい(夫) ¥100,000 

←check2

    (妻) ¥10,000
生命保険料 ¥10,000
学資保険料 ¥20,000
貯蓄 ¥0

支出合計 ¥506,000
収支 −¥136,000
ボーナス収入 ¥2,000,000
現在の貯蓄 ¥3,000,000

夫のこづかいなどムダな出費を10万円カット!

周囲に合わせ、長女を受験塾に通わせた小野寺さん。当然受験塾では、全員が合格に向け走っているため、一度通い始めるとやめにくくなります。
しかも、姉は行かせてもらえたと思えば、どうしたって妹もあとを追いたくなるものです。合格後のこともしっかり考えて決断すべきでした。
月13万円もの赤字が出ている現状が続けば、貯蓄300万円は2年弱で底をつきます。食費やケータイなどの通信費も目につきますが、すぐ取りかかれる改善策を考えましょう。

まず、現実を夫婦で直視。10万円ものこづかいを使う夫にも、赤字を数字で見せ緊急性を理解してもらいましょう。さらに、ムダが多い雑費も見直して出費を減らす努力が必要です。子どもの習い事も、1つに絞る方向で。

これらを改善すれば、全部で10万円は出費が減らせます。高校に入ると、国や自治体から助成金があります。今ある貯蓄で高校まで乗りきれば、学資保険で200万円ずつ用意できている大学の学費をまかなうメドも見えてきます。

●【check1】雑費を細かく分け予算を決めて。子どものこづかいは定額制に

小野寺家では、食費と外食費以外の支出を雑費としてまとめているのでムダが出やすく、出費が膨らみがち。「日用雑費」「交際費」「教養娯楽費」「被服費」に分け、それぞれ1万円と予算を決めましょう。さらに、必要に応じて雑費から手渡している子どものこづかいは、中3の長女5000円、中1の二女3000円の定額制に。
全部の見直しで、1万2000円のカットが可能です。

●【check2】家計の現状を書き出して話し合い、夫のこづかいを半分に

営業職のため、どうしてもつき合いが多い夫のこづかい。でも、この10万円は、せめて半分の5万円に。
ボーナス200万円はすべて学費に消えていること、夫婦の手取り年収620万円の半分が教育費で消えていること、学校の備品や修学旅行などにもお金がかかること、今の赤字を続けると2年たらずで貯蓄がなくなることなど、現状を整理して紙に書き出し、夫に手渡しましょう。口で言うより説得力があり、ケンカを防ぐ効果もあります。

●【check3】習い事は1人1つに絞り高校になってから再開を検討

長女はベースギターと声楽、二女は塾とピアノに通って月謝が合計8万円という小野寺家。「楽しそうなのでやめさせにくい」と言いますが、このままでは大学進学を諦めさせることにもなりかねません。
今は赤字縮小を最優先に、話し合ってどちらか1つずつに絞り、4万円減に。子どもが高校生になれば就学支援金(標準額で年間11万8800円)+自治体の助成金が出るので、どうしても習いたいようならその時点で再開の検討をしてみては。