2021年度の税制改正点を示す税制改正大綱が発表されました。そこには、住宅購入希望者にとってうれしいニュースが!「今回の改正で、2020年12月末で終わる予定だった住宅ローン控除の特例の1年間延長が決定しました。また控除条件であった床面積の下限も緩和するので、住宅購入希望者には朗報です」と話すのは、FP2級の資格を持つ海田幹子さん。さっそく2021年住宅ローン減税の詳細と耳寄りな改正のポイントを教えてもらいました。

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目次:

住宅ローンを組む人にはうれしい住宅ローン減税の特例延長住宅ローン減税期間13年の特例の延長が決まり最大80万円戻ってくるローン控除対象住宅の条件が40㎡以上に緩和。より小規模な住宅もOKに!

住宅ローンを組む人にはうれしい住宅ローン減税の特例延長

まずは住宅ローン減税がどんな制度なのかをみていきましょう。

住宅ローン減税ってどんな制度?

住宅ローン減税制度とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といい、住宅取得者の金利負担を軽くするため、住宅ローンの残高に応じて税金を控除してくれる制度です。

期間は住宅ローンを組んでから10年間で、年間最大40万円(長期優良住宅などは50万円)の控除が可能。年末の住宅ローン残高か住宅取得対価のどちらか低い金額の1%が、所得税から控除されます。もし、控除額が所得税よりも高い場合は、住民税からも一部控除可能です。

新築住宅だけではなく中古住宅(一定の条件あり)の購入、増築・リフォームで補助金を差し引いた工事費が100万円以上の場合も適用されます。

住宅ローン減税制度の特例って何?

2019年10月1日、消費税を8%から10%に引き上げたことにより、控除期間が一時的に10年間から13年間へと3年間延長されました。この特例を受けるためには、2019年10月1日~2020年12月31日の間に住宅ローンを支払っている住宅へ入居することが条件です。

11年目~13年目は、「建物取得価格(上限4000万円)の2%÷3」もしくは「年末ローン残高(上限4000万円)の1%」を比較して、低いほうの金額(3年間最大で80万円)が控除されます。

住宅ローン減税期間13年の特例の延長が決まり最大80万円戻ってくる

2020年12月に発表された21年度税制改正の大綱で、2020年12月末で終わったはずの“住宅ローン減税が10年間から13年間に延長した特例”が延長し、2022年12月31日までの入居でも適用されることになりました!

注文住宅の契約期限は2021年9月末まで、分譲住宅・中古住宅の契約期限は2021年11月末までとまだ猶予があります。住宅購入を考えている人にとって朗報ではないでしょうか。

住宅ローン減税はどのくらいお得?年収別シミュレーション

住宅ローン減税のお得度を電卓で計算

ここで、控除期間10年間と13年間ではどのくらい控除に差があるか、年収別の目安を見てみましょう。

【条件】

  • 借入額 4000万円
  • 建物の取得価格 4000万円
  • 借入金利 1%(全期間固定金利)
  • 返済期間 35年間
  • 元利均等返済
  • 扶養親族1人
  • 一般住宅

■住宅ローン控除期間13年間だとどのくらいお得か?

年収400万円 年収500万円 年収800万円 年収1000万円
控除期間10年間 165.0万円 237.0万円 349.2万円 349.2万円
控除期間13年間 214.5万円 308.1万円 429.0万円 429.0万円
49.5万円 71.1万円 80万円 80万円

どの年収を見ても、控除期間13年間のほうがお得になることはいうまでもありませんが、「控除期間10年間」の制度時に住宅を購入するよりも、“控除期間13年間”の制度時に住宅を購入するほうが、最大80万円お得になります。

年収によって控除金額に差が出てしまうのは、納めている所得税に差があるから。1~10年目までの住宅ローン減税額は、「最大控除額40万円」「住宅ローン残高の1%」「所得税+住民税の一部」の中の一番小さな値のものが採用されます。そのため年収が低い場合、高い場合よりも控除額が少なくなるのです。

ローン控除対象住宅の条件が40㎡以上に緩和。より小規模な住宅もOKに!

住宅ローン控除の特例適用が1年延長したことに加えて、住宅ローン控除を受けるための床面積条件も緩和されました。従来、「床面積は50㎡以上であること」が条件でしたが、世帯合計所得金額が1000万円以下の人に限り、下限が40㎡になります。

40㎡といえば、1LDKや2DKでもよく見る広さ。単身世帯や二人暮らし世帯の方も当てはまりやすくなり、家がお得に買えるチャンスですね。

住宅ローン控除の特例適用の延長、控除適応条件の床面積の緩和は、住宅購入希望者にとってうれしいニュース。注文住宅の契約期限は2021年9月末なので、まだ時間があるとはいえ、早めに動くほうがよいでしょう。所得税控除がより受けられる時期に、住宅購入を検討してみてはいかがですか?

●教えてくれた人/海田幹子
ファイナンシャルプランナー2級の資格を持つwebライター。ライフプランニングや住宅ローン、資産運用などお金にまつわる内容を多数執筆。私生活では2児の母。わかりやすくてためになる記事を心がけている