住宅ローンを契約した場合、長期に渡りローンの返済をすることになりますが、返済中に万が一の不幸に襲われる可能性も考えられます。そんなときに、保険会社が契約者の残りのローンの金額だけ保険金を支払う制度が団体信用生命保険です。民間の金融機関の場合、住宅ローンを契約する際に団体信用生命保険(=団信)が必須となっていますが、持病などがあると加入できない場合があります。具体的には糖尿病や脳卒中の既往歴があると加入できない場合が多いです。そんなときどうすればいいかを今回はご紹介します。

目次:

1. 団信加入の審査はどのように行われるか2.審査に落ちたときの対処法3.まとめ

1. 団信加入の審査はどのように行われるか

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生命保険に加入するためには、健康状態や過去の病歴などを保険会社に告知する必要がありますが、団信でも同じような審査が行われます。

1-1 審査は告知書をもとに行われる

団信の審査は「告知書」だけで行われます。

告知書に書かれている内容に該当するのであれば、それが軽度の異常であっても、正直に告知しなければなりません。

逆に考えると、告知書に書かれていないことは、告知する必要はないのです。

健康診断の結果に異常があったり、治療中の病気や定期的に飲んでいる薬があったりする場合でも、それだけで即、団信への加入を拒否されるわけではありません。

あくまでも、病名や治療期間、薬の種類などを総合的に判断して加入の可否が決められるので、告知しなければいけない病歴や病気があったとしても、その内容によっては問題なく団信に加入できる場合もあります。

団信の審査のために特別に健康診断を受けたり、勤務先などで行った健康診断の結果を提出したりする必要はありませんが、金融機関によっては提出を求められる場合があります。

1-2 年齢による保険料の差はない

生命保険では加入時の年齢によって保険料が変わります。

一般的に年齢が若い人は安く、年齢が高い人は高くなります。

いっぽう、団信は、借入金額によって保険料が決まり、年齢による保険金額の差はありません。

2.審査に落ちたときの対処法

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審査に落ちてしまったら、住宅ローンは利用できないの?と不安になるかもしれませんが、審査に落ちても住宅ローンを利用する方法はあります。

その方法をご紹介します。

2-1 ワイド団信に申し込む

「ワイド団信」とは、通常の団信よりも加入条件が緩和されている団体信用生命保険です。

団信に比べて加入条件が緩くなっています。

血圧症や糖尿病などの持病があっても、金利を上乗せすることで入りやすくなっていて、通常金利に+0.3%程度の上乗せがされています。

ワイド団信は取り扱っていない金融機関もありますので、団信の審査に不安がある方はワイド団信を取り扱っている金融機関を探してみるとよいでしょう。

2-2 団信加入義務のない住宅ローンに申し込む

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民間金融機関が取り扱っている住宅ローンを利用する際には、団信の加入が基本条件となっていることが一般的ですが、フラット35は団信に加入せずに住宅ローンを利用するという選択が可能です。

フラット35で団信の加入をしなかった場合、通常の新機構団信付きの商品より0.2%お得に住宅ローンを利用できます。

ただし、加入しなければ契約者が死亡・高度障害といった万が一の事態に陥っても返済義務は残りますので、通常の生命保険でカバーするなどの対策を練っておくべきです。

ほかにも、連帯保証人を立てる(連帯保証人に返済能力が必要)とか、配偶者が正社員の場合は配偶者名義で住宅ローンを申し込むなどの方法がありますので検討してみてはいかがでしょうか

3.まとめ

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住宅ローンを契約して晴れてマイホームを手に入れても、返済中に万が一の不幸に襲われる可能性も考えられます。

繰り返しになりますが、団信は住宅ローンの契約者に万が一のことがあった場合に、保険会社が契約者の残りのローンの金額だけ保険金を支払う制度です。

団信に加入できない場合は、ほかの保険商品に加入する、ほかの人の名義で団信に加入するなどの対策をしておきましょう。

ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員  吉井 希宥美