7月13日発売の「住まいの設計2019年8月号」では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する連載「アンガールズ・田中が行く!建築家の自邸探訪」が掲載されています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は、庭の苔づくりを楽しむ戸田晃さんのお宅を訪問。苔好き同士、大いに盛り上がりました。

目次:

鳥もカエルもやってくる懐かしい風景を再現離れの和室や業務用キッチンなど、見所がいっぱい2階のテラスからも中庭を眺められる街並みに潤いをもたらす、ゆったりとした外観

鳥もカエルもやってくる懐かしい風景を再現

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18年前、古くなった妻の祖父母の家を自宅兼事務所に建て替えた戸田晃さん。敷地は南北に細長い形状で、北側の玄関を入ると土間の通路がまっすぐに伸び、LDK、中庭、和室をつないでいます。

靴のままでOKの通路は、室内でありながら外でもあるような大らかな空間。

中庭に出た田中さんは、「いやぁ、すごい! いい感じで木陰ができていて、パッと見ただけでも10種類以上の苔がありますよ。睡蓮鉢もある。ボクがやりたいこと、全部やってるじゃないですか~」と興奮気味。

離れの和室や業務用キッチンなど、見所がいっぱい

中庭の奥には趣のある離れの和室があり、ここからの庭の眺めも格別。さらに、庭の向こうに家族が集まるリビングダイニングも見えます。

和室の障子やリビングのガラス戸、欄間などは、戦後に建てられたという元の家のものを再利用。「何十年も家族が使い続けたものですから。使えそうな建具などを取っておき、それに合わせて躯体をつくった感じです」と戸田さん。

大きな開口部を設けて中庭と一体化する住まいにしたかったため、1階はRC造とし、2階は木造の混構造を採用しています。

こちらは業務用の中古品を組み合わせたオリジナルキッチン。18年経っても古さを感じさせません。

シンク下に置かれていた黄色い箱は「バイクのサイドに取り付けるケース」(妻)で、当時からパスタなどの麺類や米の収納に利用しているそうです。

2階のテラスからも中庭を眺められる

和室の上には浴室や洗面室から出られるテラスが設けられ、中庭を介して1階ともつながっています。コンクリート打ち放しの壁からの持ち出した階段を上がっていくと、上部には大きな天窓が。2階の廊下の床にはグレーチングが用いられ、階下に光を届けています。

「ちょっとドキドキする~」(田中さん)と言いながら下が透けて見える廊下を進むと、奥には洗面・浴室があり、広々としたテラスに出られます。

「この家は、いろんな方向から庭を眺められるんですね。最近、すごく気になっているんです、中庭。外からの視線をカットできて、中はこんなにも開放的」と、中庭を見下ろす田中さん。

「本来なら南側に開口部を設けたいけれど、残念ながらウチの場合は、南側の家の裏側しか見えなくなってしまう。だから高さを抑えた壁を設け、視線を遮りつつ採光を確保しています」と戸田さん。

中庭を囲むように各室を配置することで、様々な庭の表情を楽しめるようになっています。

街並みに潤いをもたらす、ゆったりとした外観

戸田さんが自分で剪定しているという大きなブナやアオハダの緑が映えるシンプルな外観。手前の小屋(?)は、建物と同じ比率でつくられているそう。

「言われないと分からないけど、面白い(笑)。ゆったりしていて、街並みにも貢献していますね」と田中さん。

小屋の周りの前庭には緑の小径も。2 つ並んだインターフォンも味わい深い。家じゅうに光が回って自然を感じる家でした、と田中さん、

【取材協力】
戸田晃建築設計事務所

東京都八王子市上野町64
戸田晃さんは1959年東京都生まれ。'93年、あるて工房建築設計室を設立。2002年に戸田晃建築設計事務所に改称。

撮影:山田耕司/ヘアメイク:石川真理
※情報は「住まいの設計2019年8月号」取材時のものです