2歳、3歳、5歳。まさに遊びざかりの子どもたち3人と暮らす吉川さん夫妻が家づくりをスタートしたのは2年前のこと。夫は現役保育士、妻も元保育士という夫妻が思い描いたコンセプトは「家族みんなが遊べる家」です。そしてできたのが、大きな「ハコ」を子どもたちの居場所にした家。そんな遊び心いっぱいの空間をご紹介しましょう。

目次:

子どもたちの自由な発想で空間の使い方を変えられる!遊び場に団らんに、多彩に使える土間LDK

子どもたちの自由な発想で空間の使い方を変えられる!

「サイトを見て、面白い家をつくってくれそうだと直感して」と、設計は村井之俊さん+村井藍さんのユニットに依頼。設計にあたり、夫妻は「村井さんと一緒に子育てについてたくさん話をしました」と振り返ります。
そうして完成した2階建ての住まいは、1階にLDKと水まわり、2階に子ども室と寝室を配置したプランです。なかでもユニークなのが2階の子ども室。約18畳の広い空間に、木製の大きな「ハコ」が3つ置かれているのです。

吉川さんの家
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「ハコは1人1つ。中はベッドで、ハコごと自在に移動できます」と村井之俊さん。ハコはキャスターつきなので自由にレイアウトを変えられるうえ、壁に大小の穴が開いていて、くぐったりハコからハコへと移動したり、子どもの遊び場としても大活躍。ハコの配置や並び順によって、子どもたち自身で空間の使い方を決められるというわけなのです。

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ハコは合板のラフな表情をそのまま生かして。

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3人の子どもたちは、みんなハコが大好き。「自分の場所」ができたのがうれしくて、夜はきちんとそれぞれのベッドで眠るようになったそう。「ハコの上からベッドに飛び降りるなど、体を動かせるのもいいですね」と妻。
壁面にハコを縦置きすると、それぞれの開口が向かい合うのでにぎやかに。

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将来は柱の位置で間仕切りをつければ、小さな個室が3つできるプランです。さらに反対側の壁面には、造り付け収納と机が3つ並んでいます。

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机と収納の上部を階段のように上がればロフトに上がれる仕掛けで、家の中なのにアスレチック感覚!ロフトは夫の書斎スペースで、なんと夫は南西側のボルダリング仕様の壁から上り下りしているそう。

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2階の子ども室を見守れるよう、ロフトに壁は設置していません。

遊び場に団らんに、多彩に使える土間LDK

1階のLDKにも、子どもが上って行き来できる全長9mの壁面収納が。この棚の上は、遊ぶのにもぴったりのスペースです。

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きょうだいのお出かけグッズが、1人ずつ整理して置かれているのもかわいい。

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広いキッチンは右奥に容量たっぷりのパントリーを配置し、見える場所はスッキリ収めています。

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そしてリビング脇には、アールのついた広い土間!外のデッキと合わせて庭のように使えるうえ、キッチンからも目が届きやすいので子どもの遊び場にも安心です。

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「土間は丸いので、来客時に何人も段差に腰掛けられて重宝します。子どもだけでなく大人も楽しめる家ですね」と夫妻。
遊び心あふれる住まいですが、外観は黒い箱のようにシンプルに。外壁には彫りの深いガルバリウムスパンドレルを採用し、道路側はプライバシーに配慮して開口を少なくしています。

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子どもはもちろん、大人も毎日が楽しくなる住まいです。

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まさに子どもにとっては、家全体が遊び場のような吉川さん邸。取材中、ずっと3人の子どもたちのはしゃぐ声が聞こえていたのが印象的でした。

設計/村井之俊+村井 藍(アトリエ奏建築設計事務所
撮影/伊藤美香子
※情報は「住まいの設計2018年10月号」取材時のものです