結婚を機に現在の住まいでもあるマンションを新築で購入したKさん一家。その後、夫の転勤によりイタリアで約5年間を過ごしたのちに帰国し、ほどなくして長女が誕生しました。「小学3年生くらいまでには部屋を持たせてあげる」と約束していた夫。学区が変わらず、夫妻の通勤にも便利な今の家に住み続ける選択をベストとし、テレビ番組を通じて知ったブルースタジオに連絡。工事費1,120万円(設計料別)で築20年の住み慣れたマンションを、今のライフスタイルに合わせてリノベーションしました。

目次:

約60平米の空間を活用するための収納術ダイニングテーブルと一体化したキッチンカウンター差し色には鮮やかなカラーを大胆に

約60平米の空間を活用するための収納術

LDK
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玄関から入るとまず目に飛び込むのは、縦に伸びるキッチンカウンター。

キッチンカウンター

カウンターを中心に右手側がLDK、壁面収納をはさんで左側がプライベートスペースとなっていて、視線の抜ける空間が広がります。リノベーションで使い勝手が向上したという壁付けのキッチンは、「ダイニングテーブルがすぐそばなので、つくったものを配膳するのも、食べ終わった食器を片付けるのもすごく楽なんです」と妻。

コレクション収納

「娘さんの部屋をつくるためのリノベーションでしたが、ご主人が長年コレクションされてきたミニカーをどうするかということも、ミッションのひとつでした」と設計を担当したブルースタジオの石井健さんは振り返る。ブルースタジオは、約60平米という空間を有効活用すべく、廊下をなくして大きな壁面収納でLDKとプライベート空間を仕切る提案をしました。そしてミッションのひとつでもあったミニカーは、もともと夫が所有していたコレクションケースごと壁面収納に組み込んでしまうことに。このケースの色に合わせて、棚や床の色も決めていきました。サイドから陳列するデザインのコレクションケースのため、壁面収納から前に引き出して使えるように設計されています。

コレクション

200個以上コレクションしているというミニカーは、勤務先の車種をはじめ、世界各国の名だたる自動車メーカーのものがそろいます。

壁面収納

壁面収納は、どこに何を入れるかをかなり細かく計算したうえで造作しました。そのおかげで、棚のサイズに合った収納ボックスや本が整然と収めることに成功。右側の扉はスライド式になっていて、中には掃除機や薬箱などを収納しています。

ダイニングテーブルと一体化したキッチンカウンター

アイランドキッチン

照らし出されたガラスブロックが美しいキッチンカウンター。キッチン側の下部はすべて収納になっていて、食器やレンジなどが整然と収まっています。「重い買い物袋を下げて帰宅しても、すぐにカウンターの上で仕分けできるのがいいんです」と妻。
スペースが広いので、長女が友人を招いてお菓子づくりをするときなどにも重宝しているそうです。

コーヒーマシーン

キッチン家電などを使う際のことを考えて、卓上にコンセントを設置しています。スタイリッシュなメタルボディが美しいコーヒーメーカーは、イタリアの家電メーカー デロンギのものです。

イームズ

ダイニングテーブにはイームズのサイドシェルチェアを3脚色違いで合わせました。K邸では各自にテーマカラーがあるそうで、それに沿ってチェアの色も決められているとのこと。

差し色には鮮やかなカラーを大胆に

ワークスペース

こちらは夫が趣味で描いているという絵画が飾られた空間。正面の白い壁の向こうがエントランスです。ティファニーブルーで塗装された壁にはワークスペースを設置しています。

ティファニーブルー

そのワークスペースのデスク部分の蓋を持ち上げると、中には長女の電子ピアノが収められていました。同じくティファニーブルーで彩られた空間は他にもあります。北側に位置する夫妻の寝室は、ダークブラウンのカーペットとリネン類が用いられ、落ち着いたトーンでコーディネートされています。こちらの壁の一面だけに、ワークスペースと同じティファニーブルーを取り入れています。ベッドの右側にはクローゼットがあり、夫妻の衣類はすべてそこに収納しているそうです。

室内窓

LDKと長女の部屋をつなぐ小窓には、雑貨や小物などもディスプレイすることができ、お互いの気配をさりげなく伝えるのに一役買っています。

折り上げ天井

日当たりのいい場所につくられた長女の部屋は、青空をイメージしたというU字型の天井が印象的。大きな梁を生かした折り上げ天井の内側は、本棚として使用しています。

水まわり

長女の部屋の真向かいには洗面室と浴室があります。
洗面台はLDKの壁面収納と同じゴム集成材で造作し、床を石張りにすることで高級感のある雰囲気に仕上げました。また、シンプルなデザインで統一されたトイレには、サンワカンパニーの吊り棚「グロッシー」を組み合わせました。
壁には夫が海外で撮影した風景や写真、家族の思い出を大小さまざまなフレームに入れて飾っています。

テラス

Kさん宅は角部屋に位置するため、西側には広々としたルーフバルコニーも。リビングから出入りが可能で、 夏には花火も楽しめるとか!

夫はリノベーションを振り返って、「環境を変えずに、娘には念願の個室を持たせてあげることができましたし、私自身も大事なミニカーのコレクションを飾ることができるようになって、非常に満足しています」と嬉しそうに話してくれました。

設計 ブルースタジオ
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.17」取材時のものです