都心で家を建てようと思うと、どうしても土地の面積が限られていて……という悩みが多く出てきますよね。東京は渋谷区に住む神林さん夫妻もその1人。子どもができたのを機に、家を建てようと考えたそう。都心にある夫の勤務先まで徒歩圏内という好条件だったものの、高さ制限が厳しい、わずか“14坪”の狭小地。限られた面積で、どうやって広々とした家を実現したのでしょうか?ご自宅にお邪魔してみました。

目次:

わずか14坪の狭小住宅メインのLDKはワンルームに高い天井で、広々!地下でも高窓で明るく

わずか14坪の狭小住宅

マンションやハウスメーカーの戸建て、リノベーションなど様々な住まいを検討したものの、「いずれも素材やプランに制約があり、自分たちらしい家づくりには無理があると感じました」と振り返る神林さん夫妻。それもそのはず。
夫はテレビドラマの美術セットを手掛けるデザイナー、妻は広告業界に身を置くフリーランス。常に豊かな発想と美的センスを問われる職業柄、住まいにもオリジナリティに富んだアイデアを求めたのだそう。

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一見、地上3階建てのように見えますが、スキップフロアを採用した地下1階、地上2階建て。

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わずか14坪の中に、ビルトインガレージまで確保。中にはどのようなアイデアが詰まっているのでしょうか?

メインのLDKはワンルームに

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1階は、空間をまるまる使ってLDKに。「ワンルームのLDKですが、キッチンとダイニングがスキップしているので、視覚的にも体感的にも変化があるんです。」(夫)

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床の高さを変えることで、空間を緩やかに区切るだけでなく、ダイニングに座った人と目線の高さが揃う効果も。

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LDKは子どもたちの遊び場にもなるため、カウンターキッチンの背面を収納にして、絵本やおもちゃなどをしまえるように。1つの空間を何通りにも有効活用しているのは、サスガ!

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子ども専用の折りたたみ式ミニデスクは夫がDIYしたそう。調理中でも親子のコミュニケーションが取りやすく、すぐに取り出せてサッと片付けられるので、出しっ放しにすることもありません。

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狭小住宅でも、収納ももちろんしっかり確保。壁際にカウンター収納を設け、食器や電化製品、買い置きの食材などを収めています。

高い天井で、広々!

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また、2階の寝室は、梁を現しにして天井を高くすることで、広々とした空間へ。窓からたっぷりと光が差し込み、柔らかな印象を生んでいます。

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寝室は現在、家族全員で使っていものの、子どもたちが成長したら2部屋に分けることができるフレキシブルな間取りにしているそう。「住んでから、自分でいろいろと手を加えると思うから、空間はあくまでもシンプルにしたい」と、白と木のナチュラルな雰囲気のインテリアを配置。

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お気に入りの雑貨やグリーン、DIYの棚、子どもたちの絵を引き立てる“背景”となっています。

地下でも高窓で明るく

地階は、水回りと書斎を配置。

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書斎は半地下のため窓を設けることができ、明るさを確保しながらも集中できる“おこもり感”が実現しました。

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浴室は、間仕切りをガラスにすることで、空間に広がりを持たせ、高窓から光を取り込んでいます。洗面カウンターはオープン収納にすることで、圧迫感を軽減しているのもポイントですね。

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「家族が成長するように、家に手を加えて少しずつ変えていくことが面白い。この先どう変化していくのだろうとワクワクしています」と話す妻。少しずつDIYも取り入れながら、“自分たちらしい家”に仕立てているそう。

設計/岡村航太+大桑隆志(8d一級建築士事務所)
施工/東京組
撮影/飯貝拓司