モラハラだった夫と離婚し、現在はシングルマザーとして娘を育てるテルミーさん。モラハラ元夫とのエピソードや子育てについてについて投稿しているインスタグラムが人気を集めています。
この連載では、振り返ると、おかしなところが多かったという夫との結婚生活をイラストとエッセイでつづります。今回は「後悔していること」について。

離婚した元夫から突然届いた養育費の値切り交渉

先日、「転職したから試用期間の間、養育費を半額にしてもらっていいか?」と、元夫からメールが来ました。介護の仕事に就いたそうです。
今までの仕事はパソコンを使う仕事だったので、思いもよらない職種に驚きました。

元夫は運転が荒く、私が助手席に乗っている際、自分の不注意で歩道を歩くおばあさんをひきそうになったときにも、「ひき殺すぞクソババア!!」と声を荒らげていました。
そのことを思い出し、
「ひき殺すぞクソババアって言ってた人が介護!? 真逆じゃん!」と返信すると、「そんな時代もありました…」と。

数々のモラハラ、毎日の暴言、数年に1度は手を出すこともあった、私と過ごした15年間は、彼のなかで完全に過去のものとなっていて、まるで聖人のような返信がきました。

そして、本人に向かって「ひき殺すぞクソババアって言ってた人が介護なんてね」って、すんなり送れた自分にも少し驚きました。
逆ギレされるかもしれないから、怖くて絶対言えなかったのに。
離婚したのに怖いもクソもないわなと、離婚して4年半で、やっと彼と対等な立場になれたような気がしました。

離婚したことで、ただひとつ後悔していること

離婚したことで、ただひとつ後悔していること

離婚したことについて後悔はないと今まで思ってたけど、じつはひとつだけあります。

わが家には娘の授乳時の写真や動画がひとつもありません。

当時、元夫から、「授乳なんてはしたないもの絶対に写真もビデオも撮るな」ときつく止められていたからです。

胸が映らないようにするから、娘だけでも写真に撮らせてくれと頼んでも絶対にダメでした。

乳首がちぎれるぐらい口にくわえて引っぱられたことも、私と目が合うとニヤリと笑ってたことも、飲みながら寝ちゃってたことも、やっと寝たと思って乳首を離した途端に泣き出したことも、当時は当たり前の毎日の出来事だったけど、娘が大きくなった今思い出したら宝物のような記憶です。

消えつつある授乳の記憶を思い出すたび、悲しくなってしまうのです。なぜバカ正直に元夫の言いつけを守ってしまったのか。

2度と戻らない、かわいいかわいい授乳の写真を撮っておけばよかったと、深い後悔が今も残っています。

・授乳の写真は撮るな ・娘には絶対ファストフードを食べさせるな ・お祭りの屋台のものは絶対に食べさせるな ・スーパーの試食はさせるな

そんな、どうでもいい制約がすごく多くて、それを私もバカ正直にすべて守っていました。

でも離婚した今となっては後悔してしまうんです。どうせ離婚するなら、理不尽な言いつけなど守らなければよかった、と。
離れてしまえば、元夫にはあの頃みたいな恐怖心は感じません。「ひき殺すぞクソババアって言ってたのにね」と、送ることだってできます。当時の私も、ほんの少し勇気を出せばよかったのに。それが、離婚にまつわるただひとつの心残りです。

【ヨシダテルミーさん】

19歳で初めてつき合った男性と28歳で結婚し、33歳で離婚。現在はワーキングマザーとして、小学生の娘と2人暮らし。インスタグラム

(@teruminoyoshida)

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