ブームの「ひとり旅」。この夏は思いきって海外に行ってみたいと考えている方もいるのでは? 「初めての海外ひとり旅なら、ベトナムがおすすめです」と語るのは、ひとり旅歴25年の漫画家・まえだなをこさん。ここではまえださんに、ベトナムの魅力とひとり旅の楽しみ方を伺いました。

ホイアンの風景
ホイアンの風景(写真/まえださん提供)
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なぜ、ひとり旅初心者に「ベトナム」がいいのか?

――これまでたくさんの国でひとり旅されてきたまえださんですが、ひとり旅初心者に、ベトナムがとくにおすすめな理由を教えていただけますか?

まえだなをこさん(以下、まえだ):近年、東南アジアの国でも物価が上がっていますが、ベトナムはまだまだコスパがいいという印象。料理がおいしいし、おしゃれだし、治安も比較的悪くないですし、ノスタルジーなロマンがあって、ひとり旅でも楽しみやすい国です。

とくにおすすめしたいのが、ベトナム中部のダナン~ホイアン。空港から街が近いし、物価も大都市と比べてさらにリーズナブルです。海がそばなのでシーフードがおいしいですし、ツアーオフィスを兼ねているところも多く、旅行しやすいですね。

たとえばのプランですが、まず1日目は空港からダナンのホテルまで送迎のタクシーを利用。ゆっくりビーチをながめながら、ミークアン(魚介系スープの名物麺料理)を食べて、エステに行って、のんびりと1泊。

2日目はホテルからタクシーでホイアンへ移動。1時間くらいで着きます。バインミーを食べ比べて、塩コーヒーを飲んで、市場でお土産を買うなど、街歩きを楽しむ。こんな風に、最短2泊でも十分楽しめます。

――新刊『おいしいベトナムひとり旅』(扶桑社刊)では、2024年に行かれたベトナム旅について細かくレポートされていますよね。とくに食事の描写が魅力的でした。

まえだ:ベトナム料理は辛すぎたりしょっぱすぎたりせず、マイルドなものが多く、だれが食べても「おいしい」と思うんじゃないかなと思います。

ベトナムは南北に長い国で、地方ごとに特色があって全然タイプが違う料理が食べられるのもおもしろいところ。北部はさっぱり塩系、中部は辛め、南部は濃く甘めの食べ物が多いです。

バインミー
ホイアンで食べたバインミー(写真/まえださん提供)

フランスや中国の影響を受けた料理も多く、臨機応変に他国の食文化を取り入れて新しいメニューができていくのも興味深いです。ベトナムサンドイッチとして知られるバインミーも、フランスとの融合メニューです。

あと、たいてい料理には食べ放題の野菜やハーブがついてるので、野菜不足になることがないのも、旅行者にはありがたいです。個人的には、ベトナム旅行中は日本にいるときより健康的な食生活だったかもしれません。

ベトナム料理でおいしかったのは…

バイン・カイン・クア
ハノイで食べたバイン・カイン・クア(写真/まえださん提供)

――とくにおいしかったものを教えていただけますか?

まえだ:本に載せたお店と食べ物は全部おいしくておすすめです。さらにそのなかで言うと、ハノイで食べたもちもちカニうどんです。「Banh Canh Cua(バイン・カイン・クア)」というのですが、もっちもちの麺に、でっかいカニ肉がゴロリゴロリと入ってました。ゴロゴロじゃなくゴロリゴロリです。これが日本円にして210円というのが信じられない。カニのだしもおいしくて、全部飲み干しました。

デザートだと、ホイアンのChe Ba Thoというお店で食べたチェーです。路上にあるお店なんですが、トッピングされている豆やイモ類がすべて炊き立てで、ホクホクしていました。こういうスイーツも鮮度が大事なんだなと実感しました。

飲み物では、塩コーヒー。塩の入ったクリームがコーヒーの上にのっているものです。塩と聞くとびっくりするかもしれませんが、実際飲むとまろやかな味でおいしいです。日本の夏も今こんなに暑いですし、塩分補給に向いていると思うので、日本でもメジャーになってほしい飲み物です。