新しいものに飛びつくのではなく、「生活にフィットしていて、長く使えるもの」を求める風潮が高まっています。とはいえ選択肢が多くて、もの選びは簡単ではありません。
ここでは静岡県・沼津市で雑貨店を営み、センスのよい暮らしぶりが書籍にもなっている後藤由紀子さんに、目利きならではの、台所道具の選び方を教えてもらいました。
後藤由紀子さんに教わる! 長く使える台所道具
●嫁入り道具の鉄瓶がヤカンに
すべての画像を見る(全4枚)後藤家のヤカンは、結婚したときに、岩手出身のお母様が嫁入り道具として贈ってくれた鉄瓶。
「『できるだけシンプルなものを!』とお願いした甲斐あって、気に入って結婚以来20年以上使い続けています」
普段、そんなに大量のお湯を必要とすることはないので、サイズ的にも問題はないそう。鉄瓶ですが、大きくないので重くなく、お茶をいれるのも、カップラーメンのお湯を沸かすのもすべてまかないます。
「貧血気味なので鉄分が取れるのもいい、と思っていますが、なにより味がおいしい。この鉄瓶でわかしたお湯はおいしいので、白湯もよく飲んでいます」
使い続けてきたことで、愛着もいっそう。どこそこの名品ではないけれど、母にもらった嫁入り道具というエピソードと、今まで使ってきた年数を思うと、後藤さんにとっては名品なのだとか。
とくに手入れを気にすることもなく、毎日使っているせいか、一度も錆びたことはありません。
●計量カップでお茶をいれる
お茶をいれる道具といえば急須ですが、後藤さんはなんと、計量カップを愛用。
「お茶どころの静岡に住んでいるので、お茶は身近な存在。夏には、水出しのお茶をいれるのですが、ふと、無印良品で買ったガラスの計量カップに茶葉を入れて水を注いでみたら便利なことに気がついて。フタがないので、家にあった小皿をのせてみたら、ぴったり! 以来、わが家の水出し茶は、計量カップ+小皿を茶器にするのが定番です」
ふとした思いつきから始まった道具使いが、以来、後藤家の定番に。
「このセットだと洗いやすいし、ティーバッグと同じように手軽。使い勝手に大満足です。専用の道具なんて、わざわざ買わなくてもいいんですね」
ちなみに、茶葉を使って水出しにした緑茶は、お茶の甘味が出て本当においしいそうです。手軽なティーバッグを使うことが多かった後藤さんも、このセットで入れたお茶の味には、びっくりしたとか。
●便利な家電にはお金を出す価値あり!
「ブランドものはいらないし、名品への憧れもそんなにないけれど、家電にはお金を出す価値があるかも」と後藤さん。
仕事で機会があり、高機能な炊飯器をしばらく使っていたら、おいしくてラクなことに驚いたそう。
「私は家事を家族にお願いするのが苦手なのですが、理由はやってくれなくてイライラするのが面倒だから。その点、スイッチ一つで私の願いを叶えてくれる家電は、気楽に頼れる心強い存在です」
「できるだけ手料理を」ということを心がけているけれど、「ご飯は土鍋で炊かなくちゃ」というほどのこだわりはもたないという後藤さん。
「高機能な最新モデルの炊飯器を使ってみたら、ワンランク上のお米なのかと思うほどおいしいことを発見。土鍋炊きを頑張るよりも、無理なく、ほどほどにおいしいご飯が食べられるなら利用しています」
高いか安いかだけではなく、暮らしを潤してくれるかどうかという、道具選びの考え方を伺いました。
ほかにも、毎日を楽しくしてくれるようなヒントが、後藤さんの書籍
『おとな時間を重ねる 毎日が楽しくなる50のヒント』(扶桑社刊)に掲載されています。こちらもぜひチェックを。