コンパクトな家で広いLDKを実現するには、メリハリあるプランと工夫のある間取りが重要です。「建物をシンプルな箱型に」「長居しない場所は、可能な限り狭く」「廊下を減らす」といった工夫で、2年前に大手ハウスメーカーで2階建て住宅を新築した日刊住まいライター。各階約32畳の家に、必要な個室は確保しつつ、19畳のLDKをつくることに成功しました。詳しくレポート。

1階の間取り図
19畳の広いLDKを実現した筆者の家の1階の間取り図
すべての画像を見る(全6枚)

デッドスペースなし! 家の形を直方体の箱型に

家の形は直方体の箱型に

わが家は子ども2人の4人家族。2年前に大手ハウスメーカーで家を建てました。建物は総2階で、各階約32畳(16坪)です。

筆者が必須だと考えた場所は、LDK、主寝室、子ども部屋(2つ)、書斎、収納部屋(ファミリークローゼット、階段下収納、パントリー、床下収納、ウォ―クインクローゼット)、浴室、脱衣所、洗面所、トイレ2か所、室内物干し場、玄関、勝手口。

これを実現するには、各階32畳の中に割り振らなければいけません。そのためには間取りの組みやすさと、各部屋のデッドスペースを極力なくすことが重要。そこで、家の形は直方体の箱型にしました。

冒頭の立体図にあるように、実際、わが家の床面積はとても効率的に必要な場所に割り振られています。突起部分やカーブしているところが家にないので、大きな長方形に、複数の小さな長方形を組み込んだようなシンプルな間取りにすることが可能に。

シンプルな立方体のような外観だと、人によっては味気ないと感じるかもしれません。筆者の場合は、間取りのつくりやすさに加え、施工の費用が抑えられる面でも魅力を感じました。中途半端に見た目にこだわらず、機能性に全振りして、このデザインを選んでいます。

 

家づくりの基準は「生活で長く過ごす場所を広く」

1階の間取り

わが家の家づくりの基準の1つが「生活で長く過ごす場所を広くすること」です。LDKは家族の集まる場所で、家族一人ひとりの過ごす時間を合わせると、LDKがもっとも長くなるだろうと考えました。また、子どもと遊んだりするには、広い空間が必要だと考えたからです。

過ごす時間が長いからこそ、広くゆったりと過ごせる場所にしたい。その願いをかなえるため、そのほかの必要な部屋を確保しつつ、LDKの広さを最大限確保したところ「19畳のLDK」になりました。

なお、「生活で長く過ごす場所を広くすること」の基準をもとに、2階の主寝室、書斎、子ども部屋も広くしました。

 

浴室、洗面、トイレ…短い時間を過ごす場所は狭く

洗面所、脱衣所、浴室
洗面所から見た脱衣所と浴室

一方で、生活のなかで過ごす時間の短いところは、最低限の広さに。具体的には、玄関、勝手口、浴室、洗面所、トイレです。過ごす時間が短いからこそ、広さによる快適さよりも、問題なく使える機能性の快適さを重視しました。

玄関回り(靴脱ぎ場と廊下、トイレ)は、すべて合計しても3畳程度。しかし小さな棚をつけ収納をつくったので、狭くても不便に感じることはありません。浴室は1坪、洗面所と脱衣所もそれぞれ1畳程度の広さです。

 

広いLDKにするため、廊下を少なく

玄関前の廊下

廊下を部屋と部屋の「間」と考える方もいますが、わが家は部屋の広さの方を重視しました。具体的には、1階も2階も廊下を少なくし、その分を部屋の広さに充当。

1階にあるLDKに関しては、玄関もコンパクトにして、リビングまでの廊下を短くすることで広さを確保することができました。ただし工夫もしていて、短い廊下ながら、玄関からリビングへ視線が入らないような間取りにしています。