「家づくりの支払いのタイミングは?」「ローンでカバーできる範囲はどこまで?」。気になる人は多いでしょう。宅地建物取引士で二級建築士の資格をもつ日刊住まいライターが、ハウスメーカーで自宅を建てたときの体験を交えて解説。リアルな金額も公開します。太陽光発電の補助金申請では、想定外の事態が。資金繰りであわてないよう、ぜひ参考に。

工事現場
家づくりでは、引渡し前に着手金や中間金が発生するので、あわてない資金計画が大事
すべての画像を見る(全7枚)

延床30坪、総額2000万円の予算で家づくりをスタート

筆者は妻と3人の子ども(13歳、10歳、6歳)の5人家族。7年前にハウスメーカーで家を建てました。

それまでは賃貸アパートで暮らしていましたが、2人目の子どもが生まれ、手狭になったからです。加えて当時暮らしていたアパートは断熱性能が低く、冬はとにかく寒い。家族をもっと快適な環境で暮らさせてあげたいという思いもありました。

幸い親の土地に建てられることになりましたが、建築費はローンを組まなければなりません。頭金や無理のない返済ができるよう、30坪前後の延床面積の家で総額2000万円を上限に決め家づくりをスタートしました。

住宅展示場を回り、想定していた予算感にあった、ハウスメーカーで家を建てることになりました。

 

総工事費用は1770万円。支払いは全部で4分割

工事請負契約書

最終的に総工事費は約1770万円に。住宅取得にかかわる税金、それに入居後にも家具や家電の購入など、大きな出費が予想されます。手持ち資金は600万円程ありましたが、可能な限り頭金には入れない方向で、金融機関と協議しました。

そして、総工事費1770万円のうち、ローンで1483万円。残り300万円弱を自己資金から回すことで着地。

そしていよいよハウスメーカーへの支払いです。「支払い」というと、サービスの受け渡しと同時、または、事後にお金の支払いが発生することが一般的。ですから家づくりでも、家が完成してから一括払いすればいいと思っている人もいると思います。

ところが、家づくりの場合、完成前にかなりのボリュームで支払いが発生します。

上の写真は、わが家を建築したときの工事請負契約書です。建築会社によって支払いのタイミングや回数、名称は違う場合もありますが、わが家の場合は、契約金、着手金(前払い)、中間金(中間払い)、最終金(完成払い)といった名称で、4回支払いを行っています。

多くの人が住宅ローンを利用すると思いますが、このローンについては、家が完成してから実行されるケースが多いので、家づくりをしている間は、つなぎ融資や自己資金を持ち出すなど、別の形で資金繰りをしていく必要があります。

 

ローン実行前の支払いは「つなぎ資金」の申し込みが必要になる

家づくりの途中

支払った時期がわかるよう時系列にしてみましょう。下が筆者の家の契約から引き渡しまでの流れです。

・2013年3月 契約を結ぶ。(ここで自己資金から契約金20万円支払う)
・2013年4月~7月 プランの打ち合わせ、基本設計完成
・2013年8月 住宅ローン審査(通過)
・2013年9月 実施設計スタート
・2013年12月 変更契約(一部変更合意)
・2014年2月上旬 地鎮祭・工事スタート(この時点で着手金570万円を自己資金で支払う)
 ※このあたりで申請する補助金の予算がなくなる情報あり
・2014年2月上旬 (あわてて)つなぎ融資審査・申し込み
・2014年2月下旬 中間金を支払う(1日でも早く領収書を得るため、つなぎ融資を待たずに中間金570万円を自己資金で支払う)
・2014年2月下旬 つなぎ融資実行
・2014年4月 工事完成 
・2014年5月 住宅ローン実行
・2014年5月 最終金を支払う(引き渡し)

 

つなぎ融資

まず、工事が始まる前に契約金、着手金は自己資金で590万円を支払いました。その後、住宅ローンが実行される前に、中間金(中間払い)が発生します。この2つの費用を捻出するために、ローンを組んだ金融機関に、実行までのつなぎ融資を申し込みました。

そして引き渡し時に住宅ローンが実行され、一時的に支払っていたつなぎ融資の返済と最終金として残金の支払いが行なわれ、すべての決済が完了しました。

上の写真はそのときの返済予定表です。1140万円のつなぎ融資を2か月間借りた形になり、つなぎ資金の融資手数料とその間の金利負担はコミコミで約5.1万円(利子約4.1万円、融資手数料1万円)となりました。

余談ですが、業者によって「完成払い」「精算払い」「出来高払い」というようにさまざまな呼び方があります。注意しなければならないのが、ローンを使っている場合に、引き渡し時の精算によって増額した場合にはローンを増額(改めて審査が必要)するか、自己資金を多くするなどの資金の手当てが必要になることです。

 

地盤改良費

多くの場合、当初の見積もりどおりとはいかず工事が終わるまで金額が確定しないので、終わってみてから精算された結果、大幅に増額してしまったということもありえます。

わが家の場合、上の写真のように、契約時点では最終金486万7400円だったのが、実際には精算時点で574万7130円に増額していました。この部分は自己資金の持ち出しです。