「ものが多くてあふれている」「片づけが面倒、苦手」「時間がなくて片づけができない」…。片づけで悩む人が抱えがちな、これら3つの問題。解決策を、片づけのプロであるライフオーガナイザー・田川瑞枝さんが教えます。いたってシンプルな習慣を身につけるだけで、片づける手間と時間が日常生活から消えていくことに!

イスの背もたれ
イスの背もたれには、つい、コートなどをチョイ置きしがち
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片づけ極意その1:ものの帰る場所をつくる

「ものが多くてあふれている」という人の悩みで多いのが、部屋が狭い、収納が少ない、といった「空間」と「もの」のアンバランスな関係です。

あふれている、というのは「しまう場所がない」、あるいは、「決まっていない」ことが原因です。ぜひ、すべてのものに、帰る場所をつくってあげましょう。

みなさんは、おうちに帰ったらゆっくり休める自分専用のベッドやお布団はありますか? 筆者は、大部屋で雑魚寝はイヤなので、できればVIP待遇でゆっくり休める場所が欲しいです。これは、ものも同じ。一つひとつがゆっくり休めるように、居場所をつくってあげます。

 

ゲタ箱の中の筆者の靴

筆者のゲタ箱を例に説明してきます。わが家のゲタ箱は、天井までの高さがある大容量タイプ。でも、身長の低い私には、半分から下の位置が使いやすいのです。

ここが片づけポイント。

無理なく戻せる高さに収まる量だけに、靴を厳選します。筆者が持っている靴は10数足ありましたが、収納場所に合わせて9足に厳選しました。ゲタ箱には、持っている靴すべてが収まるスペースを確保します。

 

靴を一足使ったときのゲタ箱

この状態で靴を履くと、1足分あきが出ます。しかし、履いている間も、この場所はあけておきます。

あいているからとほかの靴を置くと、今履いている靴を戻す場所がなくなります。帰る場所がなかったら戻しようがないんですね。それが、三和土(たたき)に靴が出しっぱなしになる原因、ものがあふれる原因になります。

もの一つひとつに帰る場所をつくってあげる、ゆっくり休めるベッドを用意しておく。これが片づけの第一歩です。

そして、使う場所の近くに収納場所をつくるというのも鉄則です。すぐにしまえる場所があることで流れるように戻す仕組みができます。

 

片づけ極意その2:チョイ置きをやめる

「片づけが苦手、面倒」という人の多くは、仮に戻す場所が決まっていても、すぐに戻さない傾向があります。片づけよりも、まずは自分のやりたいことを優先してしまうからです。片づけの優先順位が低いのですね。

 

コート類がチョイ置きされたイス

たとえば、コートの場合。

帰宅すると、「疲れた、早くソファに座りたい!」と自分の気持ちを優先して、コートやジャケットをイスの背もたれについチョイ置きしてゴロリ。そんな人は多いのではないでしょうか。筆者も、かつてはそうでした。

ここが片づけポイント。

まずは自分の欲望を封印して、ものの方を優先します。先に、コートをハンガーにかけて休ませてあげてから、自分が休むことにしましょう。「あとで」、と先延ばしにしていたことの順序を入れ替えるのです。

もし、チョイ置きが当たり前のようになると、その場所は、ものの堆積場になってしまいます。筆者はこの状態を「積み重ね→罪重ね」と呼んで、自分を戒めました。

 

背もたれになにもない状態

チョイ置きしてしまうのは、気持ちのせいもありますが、「そこが、置きやすい高さ、場所だから」ということもあるでしょう。しかし、本来の置き場所の手前でラクをしたところで、片づきません。結局、あとでわざわざ時間を割いて、片づけというムダな作業を自分でつくり出してしまうのです。

苦手を言い訳にあとまわしにすることで、余計に面倒な事態を引き起こします。それが片づけは面倒という印象をつくってしまう結果に。チョイ置きをやめるだけで、筆者の印象では、片づけの5割がなくなります。