放送中の朝ドラをはじめ、多くのドラマや映画で 独特の透明感と存在感を発揮している宮沢氷魚さん。 9月公開の映画に込めた思いや、多忙な日々のなかで 大切にしているルーティンを教えてくれました。

映画『グッバイ・クルエル・ワールド』インタビュー。「“目のお芝居”を意識して演じました」

男性正面
『グッバイ・クルエル・ワールド』宮沢氷魚さんインタビュー
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「シンプルに、脚本がおもしろかった。それにつきます」

9月公開の映画『グッバイ・クルエル・ワールド』への出演の決め手をたずねると、宮沢氷魚さんは即座にそう答えてくれました。

「普段の僕は、脚本を初めて読むときはゆっくり読みたいタイプなんです。朝にちょっとだけ読んだら、いったんとじて、また午後に時間をおいてから続きを読む。でも今回は一気に読んでいて、気づいたら『あっ、終わっちゃった!』って(笑)。それくらい、先が気になる作品だったんですよね」

●みんな問題や悩みを抱えているけど、それでも毎日を生きていかなきゃいけない

映画は、お互いに素性を明かしていない、ある強盗組織のメンバーがヤクザの資金洗浄現場から大金を奪うところから始まります。ところが、仕事を成功させてそれぞれの日常へ戻るはずだったメンバーは、その後もヤクザに追われることに。宮沢さんは、強奪の現場となったラブホテルの従業員で、次第に物語のキーパーソンとなっていく矢野を演じます。

「矢野はこの世界で生きる意味を見いだせず、死んでもいいとすら思ってしまっている人。でも、本当にすべてを諦めたわけじゃなくて、心のどこかでは生きたいと願っているんですよね。現実の世界でも、みんな問題や悩みを抱えているけど、それでも毎日を生きていかなきゃいけない。その気持ちには、僕も共感します」

矢野は言葉で多くを語らない役だけに、表情やたたずまいの微妙な変化まで意識したそう。

「とくに気をつけていたのは、目のお芝居。生きる希望を失っている序盤の矢野は目の輝きを失っているけれど、玉城ティナさんが演じる、美流(みる)という女性と出会って変わっていく。観た人に気づいてもらえるかは分からないですけど…(笑)。でも、それを意識しながらお芝居をすることで、僕なりの矢野が生まれたと思っています」

 

●朝食はトーストと卵、ベーコンが定番です

見上げる男性

現在は、朝ドラ『ちむどんどん』で演じているヒロインの幼なじみ役も話題に。忙しいなかでも、いいコンディションを保つために大切にしているのが、朝時間だそう。

 

「毎朝5時半に起きて、朝ごはんを食べて、20分くらいかけてちびちびコーヒーを飲んでから家を出るようにしています。以前は家を出る1時間くらい前に起きて、あわただしくシャワーを浴びて…という感じだったんです。でも、いったん現場に入ると、物事がすごい速さで進んでいくので、その前に自分の時間をつくったほうがいいと思って。ゆっくり体と頭を起こしてあげると、朝いちばんの撮影からしっかりテンションを上げられるんです。作品によっては、同じようにはできないだろうけど、ルーティンをつくることは大事にしたいと思っています」

一時期は自炊に凝っていたという宮沢さんですが、最近は夜まで撮影が続いて夕食をつくれないため、朝食に力を入れるように。

「トーストと目玉焼き、ベーコンが定番。2週間に1回スーパーへ行って食材をまとめ買いします。ベーコンはカリカリになるまで焼いて、キッチンペーパーで油をふき取るのがこだわりです(笑)。それと、おいしいコーヒー。別の作品で共演している黒島結菜ちゃんから、誕生日にケメックスの限定色のコーヒーメーカーをもらって。それでドリップコーヒーをいれると、すごくおいしいんですよね」

朝ドラをはじめ、近年は舞台に映画に…と多くの作品で存在感を発揮している宮沢さんですが、「自分自身では、まだまだ成長がたりない」と感じているそう。

「もっともっとうまくなりたいし、いい作品に出続けたい。ひとつ作品が終わったあとは、毎回反省するんです。もっとできたんじゃないか、なんでこれしかできなかったんだろう…って。その悔しさを次の作品にぶつけて、終わったらまた反省して。その繰り返しです。そのサイクルのなかで、少しずつ成長できたらいいんですけどね」

 

そう話す宮沢さんが、この先どんな俳優になっていくのか。ますます楽しみになりました。

 

発売中のESSE9月号では、ほかにも『グッバイ・クルエル・ワールド』についての宮沢さんなりの解釈や見どころも教えてもらいました。ぜひご覧ください!

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