漆塗りの曲げわっぱに美しく詰められたお弁当、野菜たっぷりで色どりも鮮やかなつくりおきおかずの数々…。料理のプロのSNSかと思いきや、じつはこれ、現役大学生の弁当太郎さん(@everyday.lunchibox)のアカウント。なにかと忙しい大学生がどうやってここまで料理の腕を上げることができたの? お弁当をつくり始めたのはどんなきっかけがあったの? 気になるその背景をうかがってみました。

弁当がずらり
弁当太郎さんのアカウントより。定期的にいつものお弁当の写真が投稿されています
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つくりおきで話題の男子大学生に聞く、毎日の料理のこと

主婦顔負けの弁当のでき上がりに、目を離せなくなっている人も多いのではないでしょうか? 彩りなども意識され、アイコンで見ると圧巻です。なぜ、このような投稿をするようになったのでしょうか?

●きっかけはお母さんのお手伝いから

 

弁当太郎さんがお料理を始めたのは高校生のとき。お母さんのお手伝いがきっかけだったそう。

「当時母親が体調を崩し自分も家事のサポートをするようになり、その一環としてごはんの準備を手伝うようになったのですが、それが結構楽しくて。徐々に自分でも料理するようになった感じで、今に至っています」

思春期真っ只中の男子高校生が自主的に親の家事の手伝いをするなんて、それだけでも拍手喝采したくなる男の子ママも多いはず。弁当太郎さんがお手伝いから始めた料理に対して“楽しい”というモチベーションを保てたのには、ご両親からなにか特別な働きかけがあったのでしょうか。

「特別な教育とかはなにもなかったと思いますよ。手伝いも義務ではなく、できることだけやっていました」

卵焼きを切る
写真はイメージです

料理の技術も親から指導をうけたわけではなく、弁当太郎さんが自ら興味を持ち、SNSや動画配信などを見て自己流で身につけたのだとか。

「どうして料理が楽しいと思うようになったのか…。考えてみると、自分の場合は小さい頃から家で食べる手づくりのごはんがおいしいなーって思っていて。料理ができるようになればその大好きなごはんを自分でもつくることができるっていうことが、大きかった気がします。とくに、一緒に住んでいた祖母はとても料理上手だったから、そういう気持ちが強くなったのかもしれません」

 

子ども時代から積み重ねられた普通のおうちごはんの記憶が、自分にとってはいちばんの食育になっていたのかも、と語る弁当太郎さん。親の立場からすると、子どもに食の大切さや楽しさやを伝えるためにはなにも特別なことなんて必要ないんだねと痛感させられるのと同時に、毎日時間に追われながら必死でつくっているごはんがしっかり子どもの記憶に残るんだと思うと、なんだか心が温かくなるような背筋が伸びるような。