コロナ禍でネット通販を活用する機会が増えたのではないでしょうか? ちょっとした日用品から価格が高いものまで購入ボタンひとつで注文できるので、便利になった反面、冷静な判断を失いやすくなっていることも多いです。
節約アドバイザーの丸山晴美さんは、ネット通販の場合の「ダークパターン」に警鐘を鳴らします。このダークパターンとは? ネット通販で損をしない見分け方とは? 我々が買い物の際に注意したいことを教えてくれました。

パソコンの前にカードを持つ女性
ネットで衝動的に買い物をしてしまうのちょっと待って!(※写真はイメージです)
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不利な条件なのに買わされちゃう?ネット通販の「ダークパターン」にご注意

パソコンやタブレット、スマホ端末から注文ができ、指定の場所、時間に配達してくれるネット通販を活用している人も多いかと思います。
ネット通販は価格の比較ができたり、特定の日に買い物をするとポイントが増えるなど使い方次第ではお得になりますが、知らず知らずのうちに無駄なお金を支払っていたケースもあります。

●つい衝動的に買わせようとする「ダークパターン」とは?

「ダークパターン」とは、消費者を不利な決定に誘導する表記やサイト設計を指す言葉で、ネット通販が主流になってきた近年、問題になっています。
たとえば、インターネットショッピング中に「在庫あとわずか」「1時間限定セール」「現在100人の人が閲覧しています」また、「カートに入れると15分までは確保されます」といったメッセージ表示を見たことはありませんか? このような表示は、心理的に早く買わないと損をしてしまうかも、といった気持ちが湧いてきて、慌てて購入にすすんでしまいがちです。じつはこれは「あおり」と呼ばれる「ダークパターン」の一つです。

タイムセール特価
数量限定、時間制限があるため通常価格よりは安く売られているケースがあるが、その分衝動買いになりやすい※ダークパターンの一例として作成

また、「サプリメントが初回限定で500円」とうたったネット広告を見たことがある人も多いかも知れません。じつはこれも「ダークパターン」であるケースがあります。その理由は、500円のお試しサプリの注文と同時に定期購入が条件となっているパターンが多いからです。これらは一度契約をしてしまうと、それを途中で撤回するのは難しく、このような手法は「誘導」と呼ばれ、消費者を不利に追い込みます。

1回目500円 2回目4980円
※ダークパターンの一例として作成

たとえばこちらの広告。一見おトクに見えますがこのプランの場合、500円のお試しは、1回だけではなく、4回の定期コースを申し込んだ場合のみ初回が500円になるプランであることがわかります。赤いラインをひいた小さい字もしっかりと読むことで、未然にトラブルを防ぐことができます。また、スマホで字が見えにくいときはPCから確認するなど対策を取りましょう。

加入は簡単なのに、退会する際はその手順が複雑であったり、なかなか解約をさせてくれない引き止めがあったりします。さらに退会が電話に限るなど、辞めるハードルが高く設定されているケースも多く存在します。

これらは「ダークパターン」の代表的な例であって、ほかにもたくさん存在しています。なかには勝手に商品や手数料が加えられている悪質なケースもありますので、最後の最後まで注意深く注文画面に進む必要があります。
もちろん本当に在庫が僅少かもしれませんし、その時間限りのタイムセールかもしれません。だからこそ初めて買い物をするサイトでは注意深く、購入する必要があるでしょう。

そして通信販売には、特定商取引法上のクーリング・オフ規定がない点にも注意しましょう。返品ができるかその可否はサイトごとに規定されていますので、返品期間などの返品条件は必ず確認しておくことが大切になります。

●「ダークパターン」で迷ったら購入前にやって欲しいこと

必要なものを安くお得なタイミングに購入するのであれば、賢いお買い物と言えますが、一方で無駄な出費になってしまうこともあります。購入に迷ったり、あおられていると感じるなど違和感を覚えたり、初めて利用するサービスや商品なら必ずこの3つの行動をとることをおすすめします。

(1) サービスや商品、ショップの情報を検索する

その商品やサービス、ショップの対応がよいか悪いかなど、利用者の意見がわかるのであればしっかりと見ましょう。ショップのサイト内のコメントは信憑性に欠けることがあるので、必ずWeb検索窓から検索をかけるようにしましょう。商品名に検索予測が出たらそのワードも一緒に検索してみるとよいでしょう。

(2) 決済前に現金を出す

ネットでの決済はクレジットカードなど数字上のやりとりになることがほとんどで、現金を使う感覚が薄れがちです。そのため、目の前に現金を出すことでこれからこの金額を支払ってもよいかを再確認しましょう。

(3) とりあえず「ブラウザを閉じる」

購入や契約に迷うなら、冷静になる時間を持つようにしましょう。商品はカートに入れたままで、一旦ブラウザを閉じます。一晩寝かせてそれでも迷うのであれば、さらに三日三晩寝かせてみましょう。それでも欲しいのであれば買うなどのルールを決めてみてはいかがでしょうか。

ほかにも、同じ商品が他のサイトでは安く売っていたりすることもあるので、比較サイトなどで確認する癖などをつけて、上手なつき合い方を身につけていきましょう。