新型コロナウイルス対策で、世界的にロックダウンや外出自粛が続いています。
アメリカ・シアトルで暮らすライターのNorikoさんに、アメリカでの「ステイホーム」中の過ごし方についてレポートしてもらいました。

虹の絵
子どもたちによる虹の絵がいたるところに出現しているそう
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アメリカ・シアトルのステイホーム状況。子どもたちがしていることは?

●「オンライン疲れ」を吹っ飛ばせ

新型コロナウイルス感染防止のため、自宅待機命令が5月31日まで延長されたシアトル。公立校も閉鎖となり、9月初めの新学年スタートまでの期間は通学できません。おうちにこもる子どもたちは、オンラインで受け取る教材で自学自習の日々。
働く親も同じく、日中はテレワークで自宅に缶詰めです。家族全員がずっとオンラインで座りっぱなしの毎日では、肉体的にも精神的にも疲れが溜まってしまいますよね。

シアトルは、ロックダウンが続くヨーロッパの一部やニューヨークほど厳戒態勢は取られていません。人と距離を置く「ソーシャル・ディスタンシング」は守る必要がありますが、自宅待機命令中でも近所の散歩や食料の買い出しに出かけるのは自由です。
そのため、夕方になると、近所では散歩やサイクリングに繰り出すカップルや家族の姿を見かけます。

散歩をする子ども

わが家も同じく、近所の散歩を通してリフレッシュ。五感をフル稼働させ、肌で日光を、目で新緑を、鼻で季節の花々の香りを、耳で小鳥のさえずりを、口で新鮮な空気を感じ、ストレスを発散させるようにしています。

車社会のシアトルでは、なかなか近所を散歩するという習慣は持ちにくい状況でしたが、このパンデミックのおかげで知らない道を歩く楽しみができました。ちょっとした「遠足」ですね。

公園の遊具

公園の遊具も使えなくなり、遊びに出かける場所がなくなった小学生の息子も、散歩中にいろいろな発見をして楽しんでいます。たとえば、車の通行量が減ったせいか、動物が気軽に道路に出て来ては人間をほっこりさせる、かわいいサプライズも。庭で放し飼いになっているニワトリを始め、野生のリス、ウサギ、タヌキも現れます。

また、不思議な落とし物は、いろんな想像をさせてくれます。片方だけ、ぽつんと縁石に置かれたナイキのスニーカー、消火栓の上の小さなレゴなど。息子と「どうしてここにあるのかな?」と話を膨らませています。

●パンデミックで子どもたちの間で流行するもの

アメリカに限らず、世界各地でトレンドとなっているのが、窓に飾る虹の絵。息子のクラスでもみんなが虹の絵を描き、家の外から見えるように飾りました。医療従事者、配達員などとして働く人に、ありがとう。そして、パンデミックが早く収束しますように。そんな思いを込めて。

チョークアート

また、虹は窓だけでなくドライブウェイにも出現しています。色とりどりのチョークで描かれた、子どもならではの「チョークアート」。虹以外に、いろんな形やメッセージがあり、道行く人々を癒してくれています。

クマのヌイグルミ

そして最近は、家や車の窓際にクマのヌイグルミを置く家も。小さな子どもたちは「あそこにいる!」と、散歩中にクマを見つけては喜んでいます。この宝探し気分に浸れる「テディベア・ハント」は、ニュージーランド首相も参加したことで有名になりました。もともとは英国作家による赤ちゃん向けの絵本『きょうはみんなでクマがりだ』の、家族でクマを探しに出かけるストーリーがモチーフ。

クマに限らず、たとえば近所ではパンダやウサギ、スター・ウォーズのキャラクターのヌイグルミなどを見かけます。

路上のミニ図書館

図書館も書店も閉まっている今、以前から利用されていた路上のミニ図書館「リトル・フリー・ライブラリー」も活躍しています。これは、近所の人に向けて善意で家の前に設置する、読み終えた本を共有するための無料本箱。この取り組みは北米各地で計10万か所以上にも広がっています。息子も小さい頃、絵本を見つけてはよく持ち帰ったものです。

●手づくりのパンやお菓子でストレス解消

手づくりお菓子

残念ながら、わが息子はチョークの落書きやぬいぐるみ、絵本に夢中になるには、やや歳を取り過ぎているようです。

わが家で今、ブームとなっているのはパンやお菓子を手づくりすること。ほかの人も同じことを考えるようで、外出自粛が呼びかけられ始めた3月、すでに店の商品棚からはイースト、小麦粉がすべて消え失せ、「今日はなんとか卵が買えてラッキー!」という状況でした。

4月に入ってからはオンラインなどで買えるようになってきましたが、ベーキング商品は5月の現在も品薄状態が続いています。商品棚に残っているのが、健康志向により一大ブームとなっていた「グルテンフリー」関連品だけ、というのはなんとも皮肉な話。アメリカでの買い物事情が様変わりしています。

床掃除

さて、週末の新たなルーティンとなった、夫のパンづくりと息子のお菓子づくり。私も息子のヘルプとして参加しています。たくさん失敗をしながらなので、キッチンは大変なことになりますが、そこは目をつむって。パンデミックがなければ、週末はいつも日本語の補習学校への通学やお出かけで終わってしまっていたので、こんな風にゆったりと家の中で親子の時間を持つことはなかったかもしれません。

息子の新しいチャレンジとしては、このほかに、夏に向けて野菜の種をまき、育てることがあります。これもまた、デジタルストレスを減らしてくれそうだと期待しています。シアトルでは5月5日から自宅待機命令が緩和され、戸外のアクティビティなどが少しずつ解禁となっています。9月には予定通り学校が開校になることを祈って、今は巣ごもり生活をエンジョイするのみです。

【Norikoさん】

アメリカ・シアトル在住で現地の日系タウン誌編集長。フリーランス・エディター/ライターとしても、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『

アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~

』(海外書き人クラブ)、共著書に『

ビックリ!! 世界の小学生

』(角川つばさ文庫)。