2016年4月に起きた熊本地震で大きな被害を受けた、熊本県のシンボル熊本城。「5月の連休明けから、天守閣の解体工事が始まりましたが、復旧に向け日々変わっていく今だからこそ、見ておきたいと訪れる人も多いんです」と語るのは、熊本在住のライター・松野久美さん。修復のための本格的な解体工事が始まる直前の熊本城の様子とともに、レポートしてもらいました。

熊本城の、今しか見られない姿
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復旧が進む熊本城の、今しか見られない姿をレポート!

 県民から深く愛される熊本城。私は地震の直前の、桜が満開の時期に訪れたばかりだったので、被害を受けた姿はとてもショッキングなものでした。現在、天守閣エリアなど城内は修復工事のため多くの場所が立ち入り禁止になっていますが、隣接する二の丸広場や加藤神社など近くまでは行くことができます。

修復工事のため多くの場所が立ち入り禁止に

 再建目標が3年と発表されている天守閣は、多くの市民からの要望に応えて工事中の姿も見られるよう透過性のあるシートが使用され、修復されていく様子がわかるようになっています。そんな熊本城を間近で見られるスポットをご紹介します。

●熊本城を見に来たら、まずは二の丸広場へ!

熊本城を見に来たら、まずは二の丸広場へ!

 二の丸広場とは熊本城に隣接する広大な敷地で、ピクニックやお花見にも利用される県民の憩いの場。ここから大天守、小天守、宇土櫓(うとやぐら)が一望できます。熊本地震前は、この二の丸広場入り口から城内へ入れたのですが、残念ながら今は崩れた石垣がそのままになっており立ち入りできません。なので、二の丸広場からフェンス越しに眺めることになります。

 写真は天守閣の解体工事に入る直前の時期のものですが、この日はとても天気がよく、ちょうど週末が重なっていたため人出は予想以上! 県内、県外、個人、団体問わず、本当に多くの人でにぎわっていました。

県内、県外、個人、団体問わず、本当に多くの人でにぎわっていました。

●熊本城の歴史や文化を聞きながらのツアーも

 二の丸広場から、熊本城の周辺をぐるっと一周しながら気ままに散策できるのですが、公式ボランティアガイドの無料ツアーに参加している人も多くいました。ガイドの方は黄色いジャンパーが目印。「

くまもとよかとこ案内人の会

」の方で、熊本の歴史、文化を始め、熊本城の被災状況、修復の様子を教えてくれるそうです。

ガイドの方は黄色いジャンパーが目印

 60分ほど熊本城周辺を回りながら、ガイドブックやネットからは拾えないエピソードを聞けるかもしれません! 興味がある方はHPをチェックしてみてくださいね。(※ガイド料は無料ですが、ガイドさんの交通費として2,000円が必要だそうです)

●被災前の熊本城の姿は、フェンスでもチェックできます

フェンスでもチェックできます

 熊本城を囲むフェンスには、写真つきのプレートが取りつけられています。建造物の名前、歴史と一緒に、同じ場所から見た熊本地震前の姿や、被災状況などが紹介されてます。個人で見て回る場合でも、ここから情報を得ることができます。

●いちばんの熊本城ビュースポットは加藤清正公をまつる加藤神社

加藤清正公をまつる加藤神社

 二の丸広場をフェンスづたいに進んでいくと、熊本城城主・加藤清正公をまつる加藤神社へたどり着きます。こちらにはとっておきのビューポイントがあるんですよ。

熊本城の近望の名所

 境内の右手側には「熊本城の近望の名所」という看板が立ち、ビュー&フォトスポットになっています。熊本地震以降は、ここがもっとも、熊本城を至近距離で見られる場所なんだそうです。崩れた石垣や、日々変わっていく天守閣の様子をしっかりと見ることができます。

●城内のあちこちに残る震災の爪あと

 熊本城周辺では、いたるところで、崩れた石垣がそのままの姿で残されているのを確認できます。熊本城の特長でもある「武者返し」と呼ばれる石垣も多くの場所が被害を受けました。

「武者返し」と呼ばれる石垣も多くの場所が被害を受けました。

 こちらは崩落した石垣の石が仮置きされている場所。すべてナンバリングされて並べられており、番号の通りに積むと元の位置に戻すことができるようです。

たくさんの応援を受け、熊本城も、熊本の人々も元気が出てきています!

 私が訪れたこの日は、二の丸広場には「熊本城復興応援メッセージ展示場」が期間限定で設置されていました。国内外から届いた多くの応援メッセージ、折り鶴などがずらりと紹介されています。

 ちょうどこの期間に訪れた人がつくった折り鶴も。熊本への支援はさまざまな形で聞いていますが、直筆のメッセージや手づくりの折り鶴を直接見たことで、さらに元気をもらえた気がしました。みなさんも、夏休みなどにぜひ、熊本城の今を見に来てくださいね。