今話題の「蒸しショウガ」を知っていますか?ショウガにひと手間加えると、じつはダイエット効果の高い食材に変えることができるのです。ダイエットにありがちな「味がイマイチ…」という心配も無用。おいしいうえに、さまざまな料理に使いやすいため、ダイエットがラクに続けられるのです。

 正月太りをした人にうれしい、蒸しショウガの魅力とつくり方を紹介します。

蒸しショウガ
今注目されている「蒸しショウガ」
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1日2gの蒸しショウガを食べて脂肪や糖質を燃やす

 ガマンもムリもせず、ラクにやせたいと考える人に、今注目されているのが、「蒸しショウガ」。漢方や自然療法にも詳しい医師・石原新菜さんによると、蒸しショウガにはうれしい特長があるそう。

「ショウガは、漢方薬の約70%の基本成分としても使われているほどさまざまな薬効があり、その二大成分がジンゲロールとショウガオールです。ジンゲロールは体の表面や末端に血流を促して体を温めるのに対し、ショウガオールは体内の脂肪や糖質を燃やして体温を上げるので、ダイエットに絶大な効果があります。

 ただし、生のショウガにはショウガオールはわずかしかなく、ジンゲロールがほとんど。蒸して乾燥させることで、ジンゲロールがショウガオールに変化し、含有量が劇的に増えるんです。しかも、ジンゲロールとショウガオールの相乗効果で、薬効は10倍以上にもアップします」

 蒸しショウガに含まれる成分には、ダイエットはもちろん、免疫力アップや老化防止、更年期の不快な症状の改善など、うれしいパワーが。

「とても身近な食材なので、食事や飲み物に安心して入れられるのもメリットです。オーブンで簡単につくれるので、試してみてはいかがでしょう」

●蒸しショウガの正体が漢方薬!?

蒸しショウガとは
蒸しショウガとは

 ショウガは、漢方にも欠かせない素材。生のショウガを干したものを生姜というのに対し、加熱・乾燥させたものは乾姜と呼ばれ、より高い薬効をもつ漢方薬として珍重されています。

 この乾姜こそが、蒸しショウガの正体。西洋医学の病院でも使われる漢方薬「柴胡桂枝乾姜湯」には乾姜が配合されていて、とくに体が弱っている人に処方されます。つまり、蒸しショウガは昔から認められている、トップクラスのパワー食材なのです。

<ジンゲロールの効能>

●殺菌作用
●頭痛や吐き気を抑える
●血流を促進して体を温める
●免疫力を高める
●抗がん効果など

<ショウガオールの効能>

●ダイエット効果

ジンゲロールが血流を促進して体を温めるのに対し、ショウガオールは体内の脂肪や糖質を燃焼させて体温を上昇させます。太りにくく、やせやすくなるうえ、代謝もぐんと上がるので、美肌づくりにも効果が。また、体内の余分な水分を排出する作用もあるので、女性に多いむくみ解消にもひと役買います

●血液サラサラ効果

ショウガの血液サラサラ効果は、医薬品のアスピリンの約80%の作用があるといわれるほど。また、血栓を溶かす酵素は体温37℃前後でもっとも活発になるといわれ、ショウガオールを取り入れて体温を上げることで、傷んだ血管に血栓が詰まって起こる、心筋梗塞や脳梗塞などの予防にも役立ちます

●コレステロール値を下げる

ショウガには胆汁(肝臓で生成される消化液)の流れを促進させ、血中のコレステロール濃度を下げる働きがありますが、蒸しショウガにするとその効果も倍増。さらに体内の余分な脂肪と糖質を燃焼させるので、血糖値を正常にととのえ、血管の老化防止にも。糖尿病などの生活習慣病の予防・改善にも働きます

●アンチエイジング

代謝や血流を改善し、体内の脂肪や糖質を燃やして余分な水分を排出するため、体を老化から守る抗酸化にも大きく作用し、アンチエイジングの強い味方に。また、免疫機能の要ともいわれる大腸の働きを正常にととのえるので、便秘解消をはじめ、花粉症などのアレルギー改善にも効果が期待できます

短時間で簡単に完成します!蒸しショウガのつくり方

 ショウガを蒸して乾燥させるのが本来のつくり方ですが、乾くのにやや時間がかかるのが難点。そこで考案されたのが、低温のオーブンで加熱&乾燥する方法。これなら短時間で簡単に完成します。

[蒸しショウガ 材料とつくり方]

(1)ショウガ100gはタワシで洗って汚れている部分を除き、水気をふく。皮つきのまま、スライサーなどでできるだけ薄く切る。

ショウガ100gはタワシで洗って汚れている部分を除き、水気をふく。

(2)オーブンの天板にクッキングシートを敷き、(1)のショウガをできるだけ重ならないように並べる。

オーブンの天板にクッキングシートを敷き、(1)のショウガをできるだけ重ならないように並べる。

(3)80~100℃(または低温)に予熱したオーブンに(2)を入れ、1時間加熱する。カラカラに乾けば完成。十分に乾燥していない場合は、ざっとかき混ぜて上下を返し、10分刻みでさらに加熱する。

80~100℃(または低温)に予熱したオーブンに(2)を入れ、1時間加熱する。

(4)冷めたらポリ袋に入れ、手やめん棒などで細かく砕く(またはフードプロセッサーにかける)。保存用ファスナーつきポリ袋や保存ビンに入れ、保存する。

冷めたらポリ袋に入れ、手やめん棒などで細かく砕く

◆オーブンがない場合のつくり方

(1)蒸気の上がった蒸し器に、上記のつくり方(1)のように切ったショウガを並べ入れてフタをし、中火で30分蒸す。

中火で30分蒸す。

(2)ショウガを取り出し、ぺーパータオルを敷いたザルなどに重ならないように並べ、天日で1~2日、室内なら1週間干す。乾燥が不十分だとカビやすいので、カラカラになるまでしっかり乾燥させる。

カラカラになるまでしっかり乾燥させる。

蒸しショウガの正しい食べ方。料理なら仕上げに、飲み物なら飲む直前に加えるのがポイント

 風味がよいのも蒸しショウガの特長。乾燥しているので使いやすく、携帯することも簡単にできます。生のショウガ同様、さまざまな食材とも合うので、料理や飲み物、スイーツなどいろんなものにひとふりしてみるのもあり。

Q:1日にとるべき量は?

A:決まりはありませんが、生のショウガ2かけ分(20g)を蒸しショウガに換算すると2g程度になります。この分量を目安にお好みで。毎日続けてとることで効果が期待できます

Q:保存期間は?

A:しっかり乾燥させて保存用のファスナーつきポリ袋や保存ビンに入れて密閉すれば、常温で3か月間は保存可能。湿度が高いときは、乾燥剤を入れておくと、さらに安心です

Q:おすすめの食べ方は?

A:長時間煮たり炒めたりすると、ショウガオールが再びジンゲロールに戻ってしまいます。できるだけそのまま、料理なら仕上げに、飲み物なら飲む直前に加えるのがポイントです。食べ方としては、以下のような例があります。

●ラーメンに

キャベツやニンジンなど好みの野菜をサラダ油で炒め、塩、コショウで味をととのえ、表示どおりにつくったラーメン(生タイプ・塩味)にのせます。蒸しショウガ適量をかければ特製ジンジャータンメンのでき上がり。「うどんやそば、パスタなどにひとふりしてもおいしいですよ」

●ふりかけに

蒸しショウガ、ゆかり、いりゴマ(白)各大さじ1を混ぜ合わせるだけで絶品ふりかけに。「チリメンジャコや鮭フレークとも相性よく、おにぎりの具にも」

●ディップに

マヨネーズ、プレーンヨーグルト各大さじ1、蒸しショウガ小さじ1を混ぜ合わせ、塩、コショウ各少しで味をととのえたら、蒸しショウガ入りマヨディップの完成。「大根やニンジン、セロリなど好みの野菜をスティック状に切ってどうぞ」

【監修/石原新菜さん】