パティシエを目指してフランスに渡り、在仏5年めを迎えるラボレル友里恵さん。フランス人に囲まれた職場でパティシエとして働きながら、現地の最新の「食」をレポートしてもらいます。今回はフランス人が愛してやまない、素朴なガトー(おやつ)のレシピを教えてもらいました。

フランス人が大好きなのはママンの味!

キャラメルやチョコチップ、キイチゴなどを乗せると、バリエーションが広がる。
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 宝石のようなケーキがショーウインドーを飾り、数多くの有名パティシエを輩出しているフランス。一方で、お母さんやおばあちゃんのつくる素朴なおやつは、幼い頃の甘い香りの記憶とともにフランス人に愛されています。

 プルーストの小説にはマドレーヌが子ども時代の思い出として登場し、またクレープをうまくひっくり返せたらすてきな花嫁になる、なんて古い迷信もあるほど。おばあちゃんからお母さんへ、代々受け継がれてきた素朴なおやつは、時代が変わっても、フランス人の心をつかんで離しません。

 昔ながらのおやつといっても、忙しいフランスのママンはお菓子づくりにそうそう時間は割けません。定番おやつのレシピは簡単なものばかり。そのなかでも、今回は、混ぜるだけの「ガトー・ショコラ」と「ガトー・ヤウルト(ヨーグルト)」を紹介します。

小さくつくるとかわいい!簡単「ガトー・ショコラ」

ガトーショコラの材料は、小麦粉以外すべて同量なので覚えやすい。

[材料]

・チョコレート 120g
・バター 120g
・砂糖 120g
・小麦粉 60g
・卵(溶いておく) 2個
・チョコチップやナッツ、キイチゴなど好みのトッピング

[つくり方]

(1)チョコレートとバターを耐熱ガラスボウルで合わせて、電子レンジ(500W)で、焦げないよう様子を見ながら、1分半~2分程度加熱し、溶かす。

(2)別のボウルに砂糖と小麦粉を入れ、卵を少しずつ加えながら、粉っぽさがなくなるまでざっと混ぜる。

(3)(2)に(1)を加えながら、混ぜれば生地の完成。型のサイズに合わせて等分しながら、型に生地を流し込む。

(4)160℃のオーブンで約15分焼く。

 ガトーショコラはもはや日本でも定番ですが、小さな型で焼けばちょっとした手土産にも。今回は、直径4cmのシリコン型を使って、約35個できました。中にアーモンドやチョコチップ、キイチゴなどを入れると、味の変化も楽しめます。

今回は、直径4cmのシリコン型を使って、約35個できました。

 ホールでつくる場合は、直径16cm型1台分の分量です。その場合は焼き時間を25分ほどにしてください。

ヨーグルト入りの「ガトー・ヤウルト」

焼きあがったら型から外して冷ます

[材料](直径18cm型1台分)

・プレーンヨーグルト 1/2カップ
・砂糖 1カップ
・塩 1つまみ
・小麦粉 1と1/2カップ
・ベーキングパウダー 小さじ1と1/2(6g)
・サラダ油 1/2カップ
・卵 3個

[つくり方]

(1)ボウルにヨーグルトを入れ、砂糖、塩、小麦粉、ベーキングパウダーを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。

(2)(1)にサラダ油を加え、よく混ざったら、卵を加えて、さらに混ぜる。

(3)全体によく混ざり、生地がなめらかになったら、型に流し入れ、180℃のオーブンで約30分焼く。

 ふんわりとやわらかく優しい甘さの「ガトー・ヤウルト」は、小さな子どもからお年寄りまで幅広く愛される、マミー・ガトー(おばあちゃんのおやつ)の代表。

軽量はヨーグルトカップでできるので簡単

 フランスの家庭では、さらに簡略化してヨーグルトの入っている容器でそのまま計量してしまうことも。豪快につくっても、失敗の少ないつくりやすいお菓子です。

生クリームや果物を添えればお洒落なおやつに

 生クリームや果物を添えたら、おしゃれなおやつに。

 お好みでジャムやチョコのソースをかけたり、バナナやリンゴを混ぜ込んで焼くのも人気です。砂糖の代わりにハチミツを加えても、コクのある仕上がりになりますよ。

 自宅にあるもので簡単にできる、フランスのママンの味。つくり方も簡単なので、お子さんと一緒につくってみてはいかがでしょうか。

【ラボレル友里恵さん】

早稲田大学卒業後、かねてからの夢であったパティシエを志し、日本の製菓店で修行後、2012年に渡仏。リヨン・パリと修行を重ね、現在もパリのパティスリーで働く傍ら、2013年よりフランスの食文化を中心とした記事を執筆。週末はフランス人の夫とともに、おいしいものを求めフランスの地方を巡る日々