2年ぶりとなるエッセイ集『

どうやら僕の日常生活はまちがっている

』(新潮社刊)を上梓したお笑いコンビ・ハライチの岩井勇気さん。

たたずんでいる男性
ハライチ・岩井勇気さん
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作中では、岩井さんの何気ない日常と心情、妄想が淡々と描かれています。そんな岩井さんに、今の暮らしについても聞いてみました。

ハライチ・岩井さんインタビュー。今の暮らしぶりとは?

●普段から自分が芸能人だという意識がない

笑っている男性
――エッセイでひとり居酒屋デビューの話がありましたが、おひとり様はあまりしないんですか?

「ひとりでうまい飯って別に食べたくないんです。そこそこの飯をたくさん食べたいだけなので。食にあまり興味がないんですよね。外に食事に行くってなると、高くなくてもおいしいものを食べに行くわけじゃないですか。ひとりで食べにいって、『おいしい』を共有できるわけでもないのに、謎だな、と思うんです」

――作中にもありましたが、ひとりで仕事先に前乗りされたときは、大半ホテルで食事を済ませるんですか?

「そうですね。それか、大阪だったら、大阪の芸人、福岡だったら福岡の芸人に声かけちゃいますね。以前、広島に行ったときは、16時ぐらいから暇でやることがなくて、勇気を出してお好み焼きを食べに行こうと思ったんですけどやってなくて。で、普通の居酒屋のカウンターで食べてたいら、隣にいたサラリーマン2人組に『岩井さんですよね、応援してます』って声かけられたんですよね。それでこちらから『今なにしてるんですか』『ここ出すから、別のところに行こうよ』って2~3軒行きました」

――すごい。そんなふうに声をかけられると、警戒もしてしまいそうですが。

「あんまり自分のことを芸能人だと思ってないんですよ。芸能人っていう意識がある人っているんですかね」

――芸能人ってやっぱり生き方が少し違うのかな、とか…。

「違わないですよ! 今日着てるロンT、700円ですからね。ちなみに得体の知れない文字やロゴが入っているものは着ないです」

●岩井さんに「息子とのコミュニケーションの取り方」について聞いてみた

インタビューに答える男性
――エッセイの中ではお母さまとのやりとりが印象的でした。

「昔から、何か悪さをしたときにはボッコボコにされたりもしたし、ひどいことを言われたりもしましたけど、深く傷つけられたと思ったことはないですね。ケンカもしますけど、割とさっぱりしているから」

――なかにはお子さんとのコミュニケーションに悩んでいらっしゃるお母さんもいると思うんですが、岩井さんが息子の立場からアドバイスされるとしたら、どうされますか?

「俺がですか!? なんですかね…どうしたらいいんだろうなあ。なにが正しいんですかね。子育てって難しいですね。正直、なにかがあって、世界中が敵に回ったときに、母親だけは味方だけでいてくれるのかな? と考えたとき、『いや、向こう側につく可能性があるな』って思うんですよ」

――お母さんが敵側に?

「そう、『知らないよ』とか言って。母親っていう絶対無二な存在というか、息子のことも『人間』じゃなくて、『息子』と思ってるじゃないですか。息子も母親を『人間』じゃなくて、『母親』って思ってる。そうじゃなくて、人間対人間なんだ、って思うときがありますよね。母親だけはどんなことがあっても味方でいてくれるって言ったらステキだと思うんですけど、『息子も人間だ』ということですよね。ヒントになるかどうかはわかりませんけど」

●もしかしたら、思考が停止しているかもしれない

カベにもたれかかる男性
――タイトルにちなんで、最近、「これは違うだろう」「間違っているだろう」ということを社会や生活の中で感じたことをお聞きしたいです。

「間違ってる…うーん。日本って、『体(てい)』を大事にしすぎていますよね。この間、番組でMCをやっていたんですけど、僕の両隣に2人ずつ座っていて、一番左の席がVTuberだったんです。オンエア上はいるんですけど、声が上から聞こえるだけで、その場にはいないんですよ。なのに、VTuberとゲストの間にアクリル板があって、意味が分からない。もう怖い」

――視聴者からすると必要なん…ですかね?

「いや必要ないでしょ!(笑)バーチャルでもコロナがあるのかよ、って。そのVTuberを人間だと思いすぎているのか、なんなのか。体を大事にしすぎてるんだろうな、って僕は思ったんですよね。スタッフさんにも『これいる?』とは聞きましたけどね。今、こうして話しているときも写真撮ってましたよね。こうしてアクリル板があるんだったら、写真にも入れてないとやばいよな、と思うんですよね。これがちょっと怖いですよね」

――一応、アクリル板入れた写真撮りますか…?

「いやいや、いらないんですけど(笑)、コロナ対策じゃなくてただのクレーム対策じゃん、って思いますね」

――確かにそれは代表的な例ですよね。

「思考停止してるなーって。あと、この前、つけているマスクの紐がちぎれちゃって、コンビニに買いに行ったんです。そしたら『次回からマスクしてご来店ください』って言われて。だから、買ってんだろ! って。みんながそうしているから、というだけでやっているんですよね。きっと」

●うちの猫が一番猫らしいかも

振り返る男性
――最後に猫のお話お聞きしたいです!

「すみません、なんかこんなあとに猫の話(笑)」

――猫は実家に?

「はい。でも帰ってますよ。一昨日も帰りましたし。ひとり暮らしだと家を空けるから、体調悪くなっても気づけないじゃないですか。猫の体調の変化って本当にわからないじゃないですか。絶対に実家で何人かいるほうがいいんだろうな、と思いますね。こっちも忙しくて気づけないですし」

――かわいいからこそ、ですよね。最近、関係が変わったとかありますか?

「全然! 僕は実家の家族のヒエラルキーで一番下だと思うんで。めちゃくちゃ噛みつかれますし。一昨日帰ったときも、顎の下を触ってあげていたら、気持ちいいみたいな顔をしていたのに何の前触れもなく、ギャッて噛みつきますから。この気持ちよさそうにしているのは、油断させるためにやってるんだ、って思いますね。人の猫を否定するわけじゃないですけど、自分ちの猫紹介みたいの最近多いじゃないですか。すごいイチャイチャしながら撮ってたり、スリスリしてきたり、とか見てると、うちの猫は本当に猫っぽいな、と思います。これぞ猫だな、うちの猫が一番猫だ、っていう」

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ハライチ・岩井さん。エッセイ発売が与えたコンビのネタにマイナスなこと

累計10万部を突破したエッセイ『

【岩井勇気さん】

1986年埼玉県生まれ。幼稚園からの幼馴染だった澤部佑と「ハライチ」を結成、2006年にデビュー。すぐに注目を浴びる。ボケ担当でネタも作っている。アニメと猫が大好き。特技はピアノ。ツイッター(

@iwaiyu_ki

)。デビューエッセイ集『

僕の人生には事件が起きない

』が累計10万部を突破。