とはいえ生活水準をいきなり下げるのは、なかなか難しいもの。ムダなく家計をスリム化し、黒字運営するにはどうしたらいいのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが、「夫の年収が100万円もダウンし、貯金に手をつけることもしばしば。赤字続きで悩んでいます」というESSE読者の相談に答えます。
年収が100万円もダウン。赤字続きで、貯蓄がどんどん減っています…
松川奈央さん(仮名) 千葉県・39歳(アルバイト)
夫40歳(会社員)、長男10歳、二男5歳
夫の年収が100万円もダウン。毎週3万円を口座から引き出し生活していますが、ネット通販や生協などの買い物の引き落とし分がたりなくなり、貯金に手をつけることもしばしば。月の収支は赤字で、貯蓄が目に見えて減り不安です…。
<収入>
夫の月収(手取り) ¥300,000
妻の月収(手取り) ¥20,000
児童手当 ¥20,000
収入合計 ¥340,000
<支出>
住居費 ¥60,000
食費 ¥40,000 ←check3
外食費 ¥10,000 ←check3
電気料金 ¥10,000
ガス料金 ¥6,000
水道料金 ¥3,000
通信費(固定電話・携帯電話1台分・
プロバイダー) ¥16,500
新聞代 ¥3,700
日用雑費 ¥10,000 ←check3
レジャー・交際費 ¥10,000 ←check3
子ども費(幼稚園・小学校) ¥42,000 ←check1
(塾・習い事) ¥17,000 ←check1
クルマ費 ¥6,000
使途不明金 ¥44,000 ←check2
こづかい(夫) ¥28,000
(妻) ¥10,000
生命保険料(夫) ¥20,000
貯蓄 ¥20,000
支出合計 ¥356,200
収支 -¥16,200
ボーナス収入 ¥600,000
現在の貯蓄 ¥6,000,000
習い事は1人1つにし、週予算2万円を厳守!
松川家の収入から固定費を引くと、食費などに使えるのは10万円弱。週3万円引き出している現状では合計で4万円以上オーバーすることになり、通販や宅配の支払いも入れると、赤字は家計表以上に多そうです。
収入が大きく減ったときは、予算を見直すことが大事。負担が大きいのは、約6万円と夫婦の月収の18%を超える教育費です。習い事は1人1つにして、優先順位の高い方に絞り込みましょう。将来の教育資金のためにも、思いきりが必要です。
そのうえで、生活費の予算は週2万円×5週に修正。仮に通販と生協で5000円を使ったら、残り1万5000円で買い物を。簡単でいいので買ったものをメモすると、不明金がなくなって出費が縮小します。
予算が守れれば、今の貯蓄の2万円をキープしつつ、収支はトントンまで改善できます。下の子が小学校に入って幼稚園月謝が不要になれば、その分貯蓄アップが可能に。
小学生までの子どもがいる家庭の教育費の目安は、手取り月収の10%。子ども2人でも最大で12%以内に抑えないと、貯金ができません。
松川家も、収入の激減で教育費が手取り月収の18%を超えたことが、赤字の大きな原因です。現在、習い事は、長男が塾とスイミング、二男が体操をしているそうですが、将来のために、習い事は1人1つに絞って。
毎週3万円引き出すものの、なにに使ったかわからないうちにお金がなくなってしまうという松川さん。原因を探るには、買ったものを書き出すのがいちばん。
店と金額だけでもいいので、1、2か月記録を。「買い物の回数が多い」「コンビニでのムダ買い」など、自分のクセがわかります。そこから「買い物は2日に1回」「目的なくコンビニに行かない」などルールを決めれば、ムリなく出費がダウンするはず。
収入から住居費や水道光熱費、こづかいなど、毎月変わらない費用(固定費)を引くと9万7800円。松川家の場合、教育費を減らした分と合わせた10万円を食費や日用雑費、レジャー費などの生活費の予算に。週2万円×5週でやりくりしましょう。
週始めに2万円を財布に入れ、残金を確認しながら買い物し、通販や生協で注文したら、その分もとりおいて口座に戻します。慣れるまで面倒ですが、次第に予算感覚が身につきます。予算が余ったら、プチぜいたくを楽しむとやる気がアップしますよ。
●教えてくれた人
【畠中雅子さん】
ファイナンシャルプランナー。新聞・雑誌・ウェブなどに連載をもち、全国でセミナーや講演を行う。著書に『覚えておきたい!お金と節約の基本88』(扶桑社刊)など
<イラスト/平井きわ 取材・文/ESSE編集部>