調査結果では6割の夫婦がセックスレス
だれにも相談できないけれど、じつは悩んでいる人が多いセックスレスの問題。「夫婦愛に関する調査」(2016年・アンファー調べ)では、じつに6割の夫婦がセックスレスという結果に。
ESSE onlineでも、20~50代の読者173人にアンケートを実施。少なくない人がセックスレスに悩む現状が見られました。
今回は、夫への不信感からセックスレスになってしまった2人の方に、その経緯と現状についてお話を伺いました。
美和子さん(仮名・40代前半)の場合:「姑から攻撃されても守ってくれなかった夫。今はただ経済的な面でしか必要としていません」
美和子さんを傷つけたのは、姑の言動だけでなく、まったくフォローしてくれない夫の態度だったと言います。
「ひどいことを言われても理解してくれなくて、ましてや守ってもくれない」というなかで、美和子さんが夫の誘いを断ると、夫は一日じゅう口をきかずにブスッとしていたそう。そんな夫を見て、両親から美和子さんが責められるという、悪循環の毎日を過ごしていました。
そしていよいよ夫の両親と別居となったとき、「『今度なにかあったら別居する』という約束があったうえでの決断だったのに、自分の両親には『美和子のわがままで家を出る』と説明したんです。『ああ、まただ』と、心から悲しくなりました」という美和子さん。夫は自分の兄弟にも同様の説明をしたため、美和子さんは夫の一族みんなから悪者になってしまったそう。
いい格好がしたいからか、波風を立てたくないからか、本当のことを話してくれない夫に対して、「守ってくれないなら、私はあなたの妻でもなんでもない、ただの同居人」と再三訴えましたが改善せず、夫婦仲が悪化してセックスレス状態に。
「断ると夫はムッとしていますが、なんの愛情もないので、応える気はありません」という美和子さんですが、子どもはそれでも父親が好きだから、離婚する気はないそう。
「夫の両親と同居を解消して3年になりますが、夫はいまだに実家優先。お正月は実家と旅行で、私と子どもは置いてけぼりです。行き先も知らされていませんでした。私ももう勝手にどうぞという気分ですね。セックスに関しても、外でしたいならご自由にという気分。お金さえもってきてくれれば、もういい」
早紀さん(仮名・40代前半)の場合:「子どもが生まれてから、夫の思いやりのなさに失望。断固拒否です」
夫も毎日帰宅が遅いハードワーカー。お互いの忙しさゆえのセックスレスかと思いきや、「夫を男性として見られないんです」という答え。
そもそも産後間もなく、夫の思いやりのなさに傷ついたという早紀さん。「私も仕事をしていますし、忙しいのはお互いさま。なのに、家事を手伝うなどの気づかいがなく、夫は自分のことだけ」という日々のなかで、夫から責められるような言葉を投げかけられて、すっかり気持ちが冷めたのだそう。
夫の非協力的な態度にイライラしたり、家事の負担が大きくて疲れているのに、セックスの要求をされても…という早紀さんの思いは、はたから見ていても十分に理解できるものです。
じつは、早紀さんの夫は10歳近く年下で、まだ結婚4年目。だけど、スキンシップをしようとも思えないのだそう。
夫からの要求をかわすために、夫が帰ってくる前に寝てしまう毎日。夫の本音は聞いていないものの、「彼はきっとしたいんじゃないかな。でも私はNO!」と早紀さん。
世のなかには、セックスレスが原因で離婚する夫婦も。しかし早紀さんは、「積極的に別れたいわけではないし、家族としても大切なことは間違いないですが、夫がそこまで思っちゃったらしょうがないかも。でも、私は感情が伴わないセックスをしてまで、無理をしたくはないんです」と答えます。
「仮に夫が欲求不満から浮気しても、怒れないでしょうね。そこまで放っておいている私が悪いし。でも周りに状況を話すと、『うちもそんなだよ』って言われます」という早紀さんに、悲壮感はありません。イヤなことはイヤとはっきりし、子どもを優先させる日々は、むしろ充実しているようでした。
アンケートを見ると、夫への愛情がなくなってセックスレスになるのは、レアケースではありません。なかには夫からDVやモラハラを受けたり、無理やり行為を強要されるケースも。
愛情や思いやりのともなわない性行為は暴力です。セックスレスという環境が、女性たちの心を守っている、という見方もできるのかもしれません。
<取材・文/松崎祐子>